第10期予選時の投票状況です。25人より58票を頂きました。
# | 題名 | 作者 | 得票数 |
---|---|---|---|
23 | 手術 | シャクハッチ・マスカキコフ | 5 |
24 | ファミリーレストランで | (あ) | 5 |
30 | 欅並木の芽吹く街にて | 海坂他人 | 5 |
34 | フロントガラス | 逢澤透明 | 5 |
15 | 嫁月余話 | 野郎海松 | 4 |
25 | (削除されました) | - | 4 |
7 | (削除されました) | - | 3 |
16 | 千文字の永遠 | P | 3 |
27 | 踏切 | 曠野反次郎 | 3 |
32 | 昼の月 | ワラビー | 3 |
4 | エレベーター | 林徳鎬 | 2 |
6 | ダークネス | マーシャ・ウェイン | 2 |
28 | 2-C | ジョン・フリッパー | 2 |
33 | 古城にて | るるるぶ☆どっぐちゃん | 2 |
2 | バイバイ、スキャットマン | はっすぃ | 1 |
5 | 有閑社員 | も。 | 1 |
8 | メロンの味 | 宇加谷 研一郎 | 1 |
10 | きみのポワゾン | 模造人間P | 1 |
13 | 神様ヘルプ! | 五月決算 | 1 |
17 | カニ・プラ・マンション | 山川世界 | 1 |
19 | トモダチ | 西直 | 1 |
21 | 落としもの | 赤珠 | 1 |
26 | めざせ、3択のクイズ王! | 妄言王 | 1 |
- | なし | 1 |
あまり明るい話の無い第10期にあって、この作品のもたらす笑いは貴重です。「下の桜海老は洋子を慰めた」「まさに麺達である」「マイドリーム。」の意味の無さにシビれました。(この票の参照用リンク)
ネタもわかりやすくバカバカしくてよかった。バカバカしいし、文章が雑であるし、「麻酔」の点にまちがいがあるのだが、豪放なアイデアにして、じつはかなりよくできたショートショートだと思う。そして結末の見せかたもきれいである。が、それよりもなによりも痛快なバカバカしさに一票。(この票の参照用リンク)
ふと気づいたら800字くらいの感想を書いていました。
でも、「面白い」とか「好み」とかの感想のほうがいいような気もしますね、やっぱり。好き嫌いがはっきり分かれる作風だとは思いますけど。
文章が汚いという意見がありましたが、半分以上わざとそうしてるんだと思います。そうした意味のないわけのわからなさを「面白い」と思う人と「くだらない、ふざけるな」と思う人で別れるんでしょう。
極論を言いますが、きちっと整えられた文章なんて、ある意味つまらない。(この票の参照用リンク)
単純にバカ話。だけど、いろいろ工夫されている。面白かった。(この票の参照用リンク)
医療過誤、英語コンプレックス、千昌夫、麺達、超能力、甘栗むいちゃいました、
宗教法人の非課税……と様々な角度から現代社会を鋭く斬った野心的な作品。
高野のメスに負けず劣らず鋭い切れ味に敬服。
レーザービームならぬレーザーメスといったところか。(この票の参照用リンク)
ありふれた日常に非日常がさらりと入りこんでくる。かといってドラマチックというほどでもない、ほどよいシュール感がよい。プロローグのようであるが、これから始まるであろう物語を、あくまで余韻として読者の想像にゆだねることができるのも、さほどドラマチックでないがゆえだ。大きな満足はなくとも読者に不満を与えない好作。(この票の参照用リンク)
「Boys be...」系な話にも思えるけど、青春って、いいなぁ、と。
初っぱなの「来ている」「している」「している」の3連発、「(水はセルフでおかわり自由である)」という説明調など気にならない点がないわけじゃないんだけど、いいじゃん、試験前で焦っているし、胸の大きい子だし、ということで、文章がキャラクタの意識の流れに合っている。
ありそうだが、まずなさそうというバランスが絶妙。
「僕」の絶対に落とせない試験前の憂鬱さが、ぶっ飛んでしまう様子が微笑ましかった。
<久遠>(この票の参照用リンク)
個人的には、「短編」における楽しみのひとつが、この作者の作品を読むことだといえるほどになっている。拙作と広い意味でカブっていて、しかも「負けた」と思った。拙作との比較で、拙作は「ただ面白いだけ」であり「ファミリーレストランで」はただ面白いだけではない、という感想を見かけたが、そのとおりだと思う。他の作者との比較で「負けた」と思ったのは初めてかもしれない(いつもは自作と比較することすら思いつかない)。 文章をバラしての分析とかをする気が起こらない。ただただ「雰囲気がいい」というかんじ。日常のテンポで非日常をわずかに滑り込ませている。という形でありながら、よくよく考えてみると完全に非日常だというユニークさかな。(この票の参照用リンク)
食べ物屋で働く佳人を好ましく想って、その顔見たさに毎日のように通い、ひとつ交遊を発展させてみようというような事は、昔の、街の食堂や喫茶店ではよくあったように思うが、今日び応対が悉く型に嵌められてしまった全国展開の店では、そんな風情はじつに難しい。このごろ私にも街のカフェにそういう存在が居るので、つくづくそう思う。
それだけに、真夜中という時間帯も相まって、夢のような情緒が心にしみた。(海坂)(この票の参照用リンク)
ありえないけど非現実的だけど非常識だけど、そこが面白かった。最後が妙にリアリティのある終わり方になっているけど、状況を冷静に見渡す視線が面白さの元になっているようなので、私的に良しとしました。(この票の参照用リンク)
なんとなくの一言で済ますつもりだったが、あまりにも失礼だと思いなおしてない頭を絞って考えてみた。こうなりたい、という同性へ憧れが上手く書かれているのだと思う。家に誘われて断るのは何故だろうと思わないでもなかったが、異性より同性に好かれる人間というのは確かにいるだろう。(この票の参照用リンク)
作品世界に広がりを感じさせつつキチンと収束させている。視野を狭くして煎じ詰めて読めば「……で?」という気もしないではないが、ちょっと一歩引いて見れば、今回ダントツに魅力的なお話である。文章としてもイイ。うん、イイ。自分的優勝。(この票の参照用リンク)
宝塚歌劇のような女性的な文体も、ボーイズラブ風の内容に合っている。お互いの気持ちだけが揺れて、結局何も起こらないところもいい。(山)(この票の参照用リンク)
この独特の文体には引き込まれます。
一つの世界を完璧に創り上げていると思うし、読者をその中に誘い込む魅力があると思う。
特別変わったことが起きているわけではないのに、ドラマチックでドキドキしました。
文句なしに、今期最高の作品だと思います。(この票の参照用リンク)
男子校の汗臭い匂いがどこからも感じられないのが良かった。これなら潔癖症な人でも許容範囲に収まることでしょう。丁寧な語り口と描写とまとまりの良さに一票。(この票の参照用リンク)
Terrifying!
覚えていられるのは過去の記憶だけ。Mystery のネタに使えそうだ。
J.F(この票の参照用リンク)
(あ)的第1位です。
非常に辛い話ですが、救いがあります。最大の救いは文章が回想シーンで終わっていることだと思います。そこで誰が出てくるとか、その人がどういう行動を取ったかよりも、男が回想に没入できたこと、そしてその没入が『読者の読了』という行為によってほぼ永遠に続くことが救いだと思うのです。
細かいところでは、「トウコもテルも死んだおまえのせいだ」の部分。間に読点がないことで非常に強い効果が出ており、初読時にはおろおろしてしまいました。(この票の参照用リンク)
去る者日々に疎しとは言い古された事であるが、時が止まった俊明にとって、自ら招いた事故で亡くした妻子は決して疎くなる事がない。彼にとって、残っている記憶は今や生命そのものであって、彼がこの世を去る時までトウコとテルもその中で生き続ける。甘美な刑罰ともいうべき状態である。
それにしても単純な教訓だが、離婚なんて事はするものではないとつくづく思った。(海坂)(この票の参照用リンク)
どうも私はこういう作品に弱いらしい。読み終わった後、主人公の夢の中の幸福と目覚めた後の失望が何度もリフレインしてどうにもいかなくなった。
ちなみに他にも気になった作品が多々あったのですが、どうしても決められなかったので痛み分けとさせていただきました。(赤)(この票の参照用リンク)
記憶障害という山を別ルートから登った。文章も無駄なく引き締っているので、読者を混乱させない。(山)(この票の参照用リンク)
この作品は「シチュエーション萌え」ではなかろうかと思う。あまり難しく考えずとも面白く読めました。亡くなった友人の娘を引き取るという状況は現代ではあまりなさそうであり、旧かなの時代だからこそマッチすると思います。ひとつ残念なのは「菊には月形の血が流れて居りますもの」の科白にひそむ意味を私が読み取れなかったことなのですが、それが分からなくとも面白かったので1票(この票の参照用リンク)
読みづらいと思う人もいる文体だと思うが、結構スムーズに読めた。その独特の文体がある時代をかもし出して、いい味を出しているのではないだろうか。(この票の参照用リンク)
折り目正しいよい印象の作品です。ただ前と後ろを合せるのはこの作者の十八番なのかもしれませんが、この作品に限って言えば、少し過ぎているのではないでしょうか。900字足らずの全文の前後を、70字同じ文で挟むというのは。(この票の参照用リンク)
文語を真面目にとると、あるいは話を真面目にとると、面白くないかもしれないが、冗談が全体を支配していると思って読むと、面白い。しかも、下品だったり、差別や自虐での笑いだったりもしない。そこはかとなく、面白い。(この票の参照用リンク)
作品の重さに比べて、このタイトルはアンバランスに思えました。
むしろ作中にある「おまえに聞かせる話はない」にしたほうが言外に語っているような……。
もっとメリメを読みたくても、数少ない作品しか残していないので、どこかメリメに通じる印象が貴重です。(この票の参照用リンク)
もっとお話を聞かせて
ロマンティックだ。あらすじみたいだという感想が散見されたが、なぜそのように感じる人がいるのかむしろ不思議だ。
今回はこの一作のみで。他、気になった作品は以下の通り。
妻を返せ
これは初読時そんなに悪くないと感じた。わからないという感想があるようだが、妻が殺されコートの中に隠されたことは、私には明らかなように思えた。しかしそうだとすると、「まさか…。いや、もうどうでもよい。どちらにせよ罰が当たったのだ。」のくだりが不自然ではないか。これでは疑念を感じたがどうでもよくなったのか罰が当たった確信を得て断念したのかわからない。どちらとも取れるというわけでもなく単に言葉が矛盾している。彼の作品ではこのような細部の杜撰さによって全体の印象が大きく損なわれるケースがしばしば見受けられるように思う。
神様ヘルプ!
読んでいて面白かった。実際にこういうことありそうだなと思う。しかし再読すると、困った時の神頼み、というだけのような話で(いやそこがいいのだという意見もあっていいと思うが)一票入れるまでにはいかないかなと思った。(偉そうでごめんなさい)これに入れるとなると他にも入れなきゃならない作品が増えるし。個人的には語り手が男性で下心もあったほうがもっと毒が出て好みの話になったんじゃないかと思う。
干渉
文章もいいし雰囲気もいい。いつの間にか私が消えてなくなるのもいい。でもこういう不条理風ショートショートって、一昔前のSF作家が書き倒してるんだよな。
トモダチ
私が西直氏を買わないのは、彼のスタイルが、人間の根源的不条理とか悪意とかからは程遠い場所にあって、ちょっとひねくれ気味の若者に、ひとふりふたふりセンチな被害者意識を振り掛ければ簡便にできてしまうようなインスタントな憂鬱であるように見えるからである。もしそうだとすれば、この作風で押し進もうとすると、たちまちに、意外と余裕があり自己肯定的な作者の自我と正面衝突してしまう。つまりこのスタイルは早晩行き詰まってしまうだろうという気がするのである。(余計なお世話もいいとこだな)
フリー
なんのひねりもないところがむしろ素直と感じられ読んでいて楽しかった。(この票の参照用リンク)
(あ)的第2位です。
この話の場合、舞台設定が重要だと思うのですが、私は明らかに現代ではなさそうで、少しとっつきにくいその時代に、筆力で引っ張られてきました。そしてその異世界をリオの人生を通して十分に堪能できました。「お話」の効能である非日常の体験が味わえる、よい作品でした。(この票の参照用リンク)
最近、街なかで浮浪者を見かける事がとみに増えると、あまり観察しては悪いようでもあり、明日は我が身かも知れぬという漠然とした不安もあり、軽い嫌悪感を覚えつつ目を逸らすのが常なのであるが、この作品を読んでからは、彼らにもこれから人生の終わるまでにどこか活躍の場があればよいが――そしてそれは自分自身にもそうあってほしい――と祈るような気持ちになるのである。
大げさに言えば、今期唯一、「人生」というものを考えさせられた作品であった。(海坂)(この票の参照用リンク)
「起承転結」ではなく「序破急」かと思ったが、どうも違う。
どちらかというと「プロローグ−章−エピローグ」のプロローグ部分をばっさり削ったような。
何と言いますか、「小説は、どこまで削り落とせば小説ではなくなるのか」とでもいうイメージは、「俘囚(海野十三)」の「最小整理形体」の小説版か。
普通、「思考線(……とか――とか)」で区切るところを「( )」で区切っているところが面白いし、効果もあったと思う。
最初「ボク達」「西光院君達」がいたのに、最終的に「僕」が「西光院君」に見守られながら、読経の声と共に一人で消えていく。
意識を共有する「ボク達」ではなく、単体の集まりの「ボク−達」であり、それぞれの「ボク」がそれぞれの「西光院君」に見守られているのだろう。
死ではあるものの、「解脱」であり、恐怖は感じない。
「闇と孤独」で自己の存在が消えるという話なのに、「恐怖と絶望」を感じさせないとは!
香川県観音寺町は実際にあるようだ。
四国の霊場かと思ったが、インターネットでは西光院は見つけられなかった。
また、その土地以外の西光院の名を持つ仏閣は多く見つかったが、本尊は毘沙門天だったり観音菩薩だったりして特定できなかった。
「西光」は人名でもあり、「西方浄土の光」でもあるんだろうけど、これも特定できず。
「園芸論」同様、「やられた」感が残った。
<久遠>(この票の参照用リンク)
Oh, Sad!
初読では What is this? というところだったが、他の人の感想を読んでからあらためて読み直してみると、Very good!
そのせいで残念ながら外れたのが Mr.Yaroo の『嫁月余話』。初読時は引き込まれたが読み返してみても面白くない。文章はよかったのだが、That's all。
J.F(この票の参照用リンク)
( )の技巧でしょう。もちろん、この記号だけの功績ではないが、この作品の味わいの半分くらいが、このカギカッコにかかっている。画が頭に浮かんできたのもいい。(この票の参照用リンク)
この実験的な形式の中で、ここまでの叙情性を表現できるのはすごいと思う。
読んだあとに、いつまでも切なさが残ります。(この票の参照用リンク)
分かりにくい話と思ったのだけど、小学生らしさが表現されているのと、『無関心眼鏡』がツボにはまったので一票を投じた。内容はともかく、雰囲気が好き。(この票の参照用リンク)
「それを許すなら僕達が死んだって五百文字以上残るとも言えるよね。」にノックアウト。(この票の参照用リンク)
さらっと読めました。
この人の作品よく読むから自分と合ってるのかもしれない(この票の参照用リンク)
ああ、電車ってそんなかんじだなあ。とほんとうにそうだったか定かでないけど、現実にはそうでなくてもどこか他の現実ではそんなかんじだったと思わせる。登場人物とか背景はどうでもよくって。この話はかなりいい。(この票の参照用リンク)
短編という狭い範囲でテクノにも似た踏切の音を流し、最後には錆がきしむ音でしめている。絵として、とてもノスタルジックで情景が浮かびやすい。カンカンと鐘の音が鳴っているにもかかわらず静けさが伝わってくるような不思議な作品でした。んで1票(この票の参照用リンク)
ある意味、失礼な言い方にあたるかもしれないが、(あ)作品のような味わいがあって好き。「イルカさーん、素敵よ!」のセリフは、読者によっては浮いていると減点の対象にすると思うが、その浮きかたが印象的。この作品も頭に画が浮かんだ。(この票の参照用リンク)
シンプルにして美しい。題材も語り口もシンプルで、嫌味が何ひとつとしてなく、それでいてお上品ぶった印象もなし。1000字という制限された世界のお手本ともなりうる作品である。たまにはこういうストレートな、頭ではなく感覚で読む作品を推したい。(この票の参照用リンク)
昼の月が何の隠喩なのか微妙に解らないが、イメージははっきり浮かぶし雰囲気もいい。ただ時間を五、六、二十分と具体的な数字で表現するのは、できるだけ避けた方がいいと思う。(山)(この票の参照用リンク)
何を暗示しているのか知らないけれど、不思議な魅力がある作品だった。(この票の参照用リンク)
「想像と好奇心」の話だと思った。作品中の美は「想像と好奇心」が無ければ生まれない。話者が美しさを強調するのは、「想像と好奇心」の消滅を惜しんでいるからだと読んだ。実験がエスカレートだけではなく、エレベートしてしまったことを話者は悔やんでいるのかもしれない。エレベートは持ち上げることだが、この話のエレベーターは下降している。下降するエレベーターのように理論は利用され、結果的に、本来の美すらも否定されて消滅してしまった。エレベーターの実験は、理論の破滅を暗示することになった。
「想像と好奇心」は、白い箱のように無限の広さがあり、どの方向に進むのかわからない。『エレベーター』中では葬られてしまったが、話者が惜しむように、魅力がなくなることはない。惹かれない人間もいないだろう。その辺りを気づかせてもらい、アクシデントはあったが、やはり今期で一番おもしろく読んだ作品だった。改稿前だったら今期どころじゃなかったかもしれない。(この票の参照用リンク)
二票までは簡単に決めたんですが、三票目が決めにくい。
『ダークネス』、『有閑社員』、『干渉』、『ファミリーレストランで』、『もっとお話を聞かせて』、『踏切』、『2−C』、『欅並木の芽吹く街にて』辺り。
『2−C』にしようと思ったんですが、ぎりぎりで『ダークネス』に。イメージを言葉にしようとする意志とか意欲とかは大事にしてほしいと思いますし、私自身も大事にしたいと思っています。(この票の参照用リンク)
折角経過見れるようになったのに、誰も投票してないみたいだから先陣を。感覚でも考え方でも作者の持つものが独特で、それを共有できたときに得した気分になれる、又は単純な真実を言い当ててるってのが基準。これはそのどちらも適度に満たす。
例外も当然あるけど、傾向として年寄りの書いたものは発見が少ない。よく書けてるものほど新しくないことが顕著に表現されている。だからやっぱ新参に期待。(この票の参照用リンク)
こういった、形式に依存しているような作品はあまり評価しないことが多いのですが、この作品は面白く読みました。もちろん中身が面白かったからであり、思わず「この人はこの人とどういう関係?」と前後を往復しつつ何度か読み返させられてしまいました。おそらく一番注目が行くのは亮太・千沙・杏子(&務?)の関係なのでしょうが、私は龍介・聡子の今後を応援したいところ。(この票の参照用リンク)
ていねいによくつくりこんである。不景気のような時事をうかがわせるネタから恋愛のような普遍のネタ、あるいはUFOやミサイルのようなイカレたネタまで、バラエティーのゆたかさは、この生徒たちの個性のゆたかさでもある。しかし授業が始まり出席簿が閉じられるとき、彼らの個性もまた出席簿のなかに封印され、「2-C」というひとつの集団が動き出す。おそろしいかんじがした。(この票の参照用リンク)
「二日で覚えられるほどの城」というのが、「複雑なのか」は気になったが。
産まれて初めて良くしてもらった老婆の必死さを考えて、問わず。
王という存在を認識できなくても親切心を生きるよりどころにできる老婆と、親切心さえ利用して生きるよりどころとしての王という存在を認識しなければならない少年と少女は、どちらが幸せなのだろう。
荒れ果てた古城にめしいた老婆は安住の地を見ることができた。
その老婆を見つめる少年と少女の目は、どこかに続く道を見ていながら、その道の先は見えず、歩みだそうとはしない。
彼らの目は老婆のそれよりも、暗闇しか見ることができないのかもしれない。
<久遠>(この票の参照用リンク)
毎度のことだがこの作者の作品の圧倒的な読後感には恐れいる。私自身作者の意図を全て読み解いた気はさらさらないのだが、それでなお後ろ髪を引かれずにはいられない。堪ったものではない。(この票の参照用リンク)
スキャットとタイトルにあるのにぜんぜんリズムを感じさせない会話に笑った。といって、受けた訳ではないが。(この票の参照用リンク)
よく働ける人も、働かなくて済む人もうらやましい。
それはさておき、悲壮感の無さに元気づけられるのでいい作品だと思う。(この票の参照用リンク)
(あ)的第3位です。
全くの推測なのですが、「こういうお話を読みたい、だから書くんだ!」という特に強い思考のもとに制作されたような気がします。私もこういう『些細なことが輝いているような若さ』とそれがもたらす『何もない雰囲気』が好きなので、ここで是非一票を投じたいと思います。
ただこの作品が万人受けするかというと、疑問が残り、僭越ですが好みであるがゆえに一言言いたくなってしまいます。
作者の思い入れは十分感じられたので、今度はぜひ凡庸という評価にも反発してもらいたいと思うのです。書く姿勢を読み手寄りに移動(例えば娯楽性を強める)、コンテスト勝ち抜き志向(文章形態を整える)など、宇加谷さんの第9期と第10期が割と同じ毛色をしているだけに、色々期待してしまいます。第9期は「小説家」がひどく雑味でしたが、基本的に私は楽しく読みました。(この票の参照用リンク)
正直に言って読み切った、という充実感には満たされない。それでもコレを推すのは、不協和音を活かした現代合唱曲のように、鼻につくとかちょっとアレだとか生理的にネガティブな要素に価値を見出そうとする挑戦的姿勢が非常に挑戦的だったから。(この票の参照用リンク)
昔の友人と会っても、信仰に関わらず大抵話が長続きしない。
私はそこで諦めてしまうので、この作品の『私』は偉い。(この票の参照用リンク)
面白くて私個人の好みに合うという単純な理由です。
ただ、題名も作品の一部であることを考えると、もう少し別の題名はなかったのかという気もします。(この票の参照用リンク)
Cute!
度を越した擬人化であまりにも猫らしくない猫のくせに、猫らしい可愛さを発揮して手を舐めるってのが too sneaky!
J.F(この票の参照用リンク)
(投票状況を見ずに書いています)
十期は個人的には駄目(常連実力者達のそこそこ面白い、だけど突き抜けてはこないまあまあの作品が粒ぞろってしまって、読んでいて実力差だけ感じてしまってテンションだけが下がって、なんか一番損な回だったかもしれない。作品の方向性も似てしまったのも痛い)だったけれど、でもこの作品を読めただけで十期は、読む価値があったな、と思えました。
とても良かったです。どのように解釈しても悲しく、でも優しいお話だったな、と思いました。他の方の感想を読むと、なんか記憶がどうとか水晶が何なのか理解できなかったとか書いてあって、なんでそんなこと言うのかな、ちゃんと読んであげてよ、とかていうかこの作品の出来に嫉妬してそんなことを言ってるんじゃないの?とか思ってしまい、悲しくなりました。
「エレベーター」も大変面白かったのだけれど、推薦作に比べると説明過多かな、と思いました。解釈出来てしまうと、解釈後の楽しみがあまりないなあ(「落とし物」は解釈後も楽しめる)という感じで、投票には至りませんでした。あとは「踏切」もなかなか良かったです。でも個人的には千字書いて欲しかった。まあここら辺は非常識な注文なんでしょうね。でも、このネタなら千字書けたって! 超名作になったって! って言いたいな(笑)(この票の参照用リンク)
反則です。妄言王さんのは今までいまいちピンと来なかったんですが、こういうのは好きです。笑いました。あと、羽賀ケンジは羽賀研二です。(この票の参照用リンク)
なしです。もう元気ゼロです。まじでしょうか?まじです。(この票の参照用リンク)