第10期予選時の、#34フロントガラス(逢澤透明)への投票です(5票)。
(あ)的第1位です。
非常に辛い話ですが、救いがあります。最大の救いは文章が回想シーンで終わっていることだと思います。そこで誰が出てくるとか、その人がどういう行動を取ったかよりも、男が回想に没入できたこと、そしてその没入が『読者の読了』という行為によってほぼ永遠に続くことが救いだと思うのです。
細かいところでは、「トウコもテルも死んだおまえのせいだ」の部分。間に読点がないことで非常に強い効果が出ており、初読時にはおろおろしてしまいました。
参照用リンク: #date20030607-061651
去る者日々に疎しとは言い古された事であるが、時が止まった俊明にとって、自ら招いた事故で亡くした妻子は決して疎くなる事がない。彼にとって、残っている記憶は今や生命そのものであって、彼がこの世を去る時までトウコとテルもその中で生き続ける。甘美な刑罰ともいうべき状態である。
それにしても単純な教訓だが、離婚なんて事はするものではないとつくづく思った。(海坂)
参照用リンク: #date20030606-195104
どうも私はこういう作品に弱いらしい。読み終わった後、主人公の夢の中の幸福と目覚めた後の失望が何度もリフレインしてどうにもいかなくなった。
ちなみに他にも気になった作品が多々あったのですが、どうしても決められなかったので痛み分けとさせていただきました。(赤)
参照用リンク: #date20030606-191029