第25期予選時の投票状況です。20人より46票を頂きました。
# | 題名 | 作者 | 得票数 |
---|---|---|---|
23 | 宿命 | 桑袋弾次 | 5 |
6 | 夏祭り | とむOK | 4 |
22 | 風の惑星 | 朝野十字 | 4 |
13 | 青を纏って | 広田渡瀬 | 3 |
29 | 拾捨 | くわず | 3 |
32 | 夕間暮れ | 曠野反次郎 | 3 |
4 | 椿 | 長月夕子 | 2 |
8 | taboo | ザラメ | 2 |
12 | 月魚 | 安南みつ豆 | 2 |
15 | 寝汗 | 戦場ガ原蛇足ノ助 | 2 |
20 | 俯瞰 | 市川 | 2 |
24 | (削除されました) | - | 2 |
31 | 燃えていく | るるるぶ☆どっぐちゃん | 2 |
7 | しばらくよろしく、遠藤くん。 | めだか | 1 |
9 | ステーキ | 三浦 | 1 |
14 | 相田七丁目一番地 | 真央りりこ | 1 |
16 | 酷熱カプリッチオ | 野郎海松 | 1 |
17 | 髪 | ゆう | 1 |
18 | 黒い郵便屋さん | 巻 | 1 |
25 | ブレイクダウン | 西直 | 1 |
26 | パレード | 川野直己 | 1 |
27 | 弟の郵便 | 海坂他人 | 1 |
30 | 帰路 | 五月決算 | 1 |
今期で一番良かった作品。この話にこのタイトルを持ってくる辺りも上手いし、妻のエピソードの持ち出し方も上手い。テンポも良いので、よく1000文字に収まったなあと感心もした。
縮毛のように、周囲と外見が違うのは幼児だろうとひどいコンプレックスだろう。あれあれと軽く流していながらも悲しみも感じられ、たいへんおもしろかった。(この票の参照用リンク)
ひさびさのショートショート系快作。難点として助教授云々の部分は意味が通じないが、そこを無視すれば面白い。オチをつけた後にとどめの一節をつけ加えたのが良かった。(この票の参照用リンク)
哀しみを、おかしみとして書いているところが最高です。(この票の参照用リンク)
ちゃんと言われた通りに頭をとかした、ってのがオチなのかな。するとマナちゃんは母親の失踪の理由を知っていたことになり、物語の色彩がいよいよ狂気を帯びてくるわけですが。それはそれとして、ハーレーのサイドカーで保育園に行くのは一度やってみたかった。道が狭いと大変なんじゃないだろうか、あれは。(この票の参照用リンク)
いいなぁ。とてもいいと思った作品群。「椿」「宿命」「酷熱カプリッチオ」の中から「宿命」を選びました。上手いだけでなく、自然です。「マナちゃん、急げばまだ間に合うよ」は錯乱に関わらず、父親だったら言いそうだなと思いました。(この票の参照用リンク)
これまでいくつもあったカップル会話モノの中でも一、二を争う出色の出来。尺のなかに世界が収まりきらず、今にもはちきれんとする元気さ・健康さが魅力。(この票の参照用リンク)
最近、笑ってしまうほど楽しめる作品がない中、久しぶりに笑いました。(この票の参照用リンク)
楽しそうでいいですね!
と、こんな感想が似合いそう。
ただ、これは個人的な意見なのですが、オチ物として読むと弱い感じなので、わざわざ落とさなくてもよかったんじゃないかなと思う。ちゃんと落ちているかを気にする方もおられるかと思うので、あくまで個人的意見に過ぎませんが(皮肉などではなく、私は落ちてるかどうかは気にならないってだけの話)。(この票の参照用リンク)
登場人物に好感を持った。
そういうことは珍しいので、票入れます。(この票の参照用リンク)
言いたかったことは、他の方が書いてくださったようなので省略。微粒子セトロンで、重力に関する読者の素朴な疑問を粉砕し、更に世界観に引き込む手際に一票を。語り口も爽やかで凄く好きです。(この票の参照用リンク)
なんだか宮崎駿作品の登場人物たちの顔が浮かんできてしまったのだが、良いものは良いのである。もう千字でこれだけの世界観をこしらえて、王道的なストーリーまで作ってしまっているのだから、文章の端々に「ヒロは十四歳のおとなしめの少年。」とか「あっけなく反対派は消滅、」などの説明調があったって意に介するに足りない。これだけでもいいが、長編にも展開しうる題材ではなかろうか。(海)(この票の参照用リンク)
もうダントツでこの作品。
世界観が好きだし、さわやかなボーイミーツガールストーリー。
マンガ(視覚化)にしても映えるし、長いお話の序章としても読めるし。(この票の参照用リンク)
『短編』の醍醐味といえる、色々と作品とは関係ないけど楽しんだ作品群。
「タクシーは青春を乗せて」「夏祭り」「青を纏って」「俯瞰」「風の惑星」
このなかから「風の惑星」を選びました。
「タクシーは青春を乗せて」 身に覚えがあります。
「夏祭り」 人物像が臭い立ちます。
「青を纏って」 山はその死体の数だけ、青く複雑に美しい。
「俯瞰」 前半の研ぎ澄んで切れる言葉がすてきです。
「風の惑星」
セトロンが本当に存在するとしたら面白い。分子より大きな微粒子が大気中に存続するには、大気型惑星の木星や土星ではなく、太陽クラスの重力下で運良く恒星にならないという条件が必要です。ここでは強大な重力で、生物スケールは微生物クラスになり、存続期間はミリ秒より短いでしょう。この小さく儚い恋は、『キスはどうやってするの』とか、『お別れがいえないわ』とか、少女のような心配が、考え出したら止まらない。止まらない。ひとり妄想の中で爆笑の連続でした。作者も気付かれている様で、これがベースにあって作品の儚さがあるのかなとおもいました。(この票の参照用リンク)
「サナトリウムと雨音」「贖罪のやぎの死とヒポポタムスの悲劇」「taboo」この三作の中で散々迷った。将来性を買うなら「サナトリウムと雨音」か「taboo」だろうし、ナンセンスと個人的な趣味で選ぶなら「贖罪のやぎの死とヒポポタムスの悲劇」だ。「恋愛と妄想は紙一重」な最後が、平凡ながらも今の気分だったので投票することにした。(この票の参照用リンク)
切ない。今期の中で1番胸を突く作品でした。もう1歩踏み込んだ心理、情景描写(特に氷に閉ざされた山)があったら、より魅力的になると思います。(この票の参照用リンク)
風景画のものかと思っていたら違っていて驚かされた。
「山で亡くなった妻をさがしにきた」と読んだんだけど、でもそんなことはどこにも書いてないですね。そう読んでいない人もいるだろうし、むしろそちらのほうが多いのかもしれない。まあ、わからないのだけれど、驚かされた、あるいは勝手に驚いた、ということで票を入れます。
ただどちらにしろ、ラストはもう少し工夫できたんじゃないかなと思う。(この票の参照用リンク)
見ず知らずの他人の心情を穿ってみせ、またその自覚もある割には、『私は気圧されたように直立し』と自分のことを他人事のように語ってみせる。初めに『妻が〜余計な世話を焼いた』と一言述べておいて、それ以降の『妻』という文字に鬱陶しさを込めている。他のところで奇異に感じられる描写もないではなかったが、技術的に面白いところがあって参考になりそうだった。(この票の参照用リンク)
どこか、つげ義春を思わせる。これも初読で一票かなと思った。文章が好きです。(この票の参照用リンク)
好きになれない作品群。「石を見ておもうこと」「ブレイクダウン」「夢日記」「拾捨」。
この中から「拾捨」を選びました。
「石を見ておもうこと」 やもりが石になってはいけませんが涼しそうです。
「ブレイクダウン」 感情でなく状態を一人称で語り『無機質でないけれど感情もない』のは流行?
「夢日記」 故人を偲び遺志を完結させることは、人の営みとして夢と儚いのでしょうか。
「拾捨」
作品を貫く「私も感じているから、他人も感じるはずだ」という感覚は、論理的におかしいが人情として理解できます。こういった感情のダブルスタンダードは、アメリカ社会の全体主義部分に顕著で、極端な行動を生む(ような気がします)。日本では、感情ではなく礼という掟にすぎず、構成する社会で人が違えば、掟が違うだけです。古き良き日本らしくなくて複雑な気持ちです。(この票の参照用リンク)
夕暮れ時には二つの属性がある。一方には極端さ、強烈さ、狂おしさがあり、何もかもを赤に染め上げてしまうこの時刻、あたりをさまよう人間たちは極端に考えが偏ってしまい、この先何が起こっても不思議ではないはず、と思わずにいられなくなるだろう。他方、夕暮れには反対に、曖昧さ、移ろいやすさ、という属性もあって、不確かな昼と夜との境界線上ですべては両義性を帯び、またすべてが一方から他方へと移ろう中での過渡的な様相を呈しているとも言える。夕暮れ時の狂おしさと、曖昧さと――ところで、これらの属性は、そのまま曠野氏の小説群にもあてはまるのではないだろうか?(でんでん)(この票の参照用リンク)
おさめ方が不可解で逆に引っ掛かった。「ええ?」という感じ。何かがありそうなんだけど、実は何もないのかもしれない。何度も読んでしまったので一票。
これと「寝汗」で迷った。
「寝汗」はネアンデルタール人のネタが馬鹿馬鹿しくて大受けしてしまったんだけど、その印象が強かったせいか、後半キレがないような気がした。もうひとつ何かあればと思った。
この二作品に限らず、今回選ぶのにけっこう迷った。(この票の参照用リンク)
三番目は迷っていたが二読目でこの夕間暮れの世界が気に入って一票。これもどこかつげ義春っぽい。こういう世界に弱いので。ただラストがいまひとつ腑に落ちなかった。(この票の参照用リンク)
「すずをはったような目」「―どんなに擦っても落ちはしない」という表現が美しく、印象に残りました。道を踏み外した時、女の顔が鏡に浮かぶ設定も面白かったです。ただ、最後の小糠雨の場面の「女」が、行き倒れた「女」と重なってしまい、分かりにくくなってしまったのが個人的には残念でした。(この票の参照用リンク)
短い物語の中で、日本情緒あふれる作品でした。(この票の参照用リンク)
正直内容を理解したかどうか問われると自信ないですが、粛々としたセリフ回しでありながら、そこから立ち上がって来るものが歌謡曲的な感じで、まんまショーを観せられている気分になりました。(この票の参照用リンク)
上手いとか下手とか良くわかりませんが、舞台装置やら色やら人物やら、とても好きです。この世界を崩さずに実際の舞台で再現して欲しいくらい。 [shocone](この票の参照用リンク)
女の子の眼の内側から眺めた世界が、彼女なりの誠実さで破綻することなく語られており、不思議な懐の広さで読む側の主観を覆っているように感じた。全体を包むのではなく、コンタクトレンズをぽとりと眼球に添わせたような、片括弧の視点がよかった。
また、造語については、月草や水カゴなど統一したイメージを持たせにくい語を使うことに対して、重要な想像上の生き物である月魚には、赤やガラス、飴色などの、イメージが確かに伝達されやすい表現が用いられていて、描写における技巧のたしかさや心配りが感じられた。
「ブレイクダウン」の少女たちはいまに、明日にでも大人になり始めようとしてしまうだろうと思う。「月魚」の少女には限りなく停滞に近い時間の流れを感じた。「椿」の娘は、徐行していたその時間を、行き倒れの女によって加速させられている。「髪」の竹子さんはすでにその速度を自律できる年齢で、髪を切るほんのひと時だけ速度を緩めているのだろう。
それぞれが日常生きる中のドラマであるようで、今期は女性が主人公の作品がよかった。この中で、そのドラマが匂うように映り、一際うつくしく描かれたこの作品に票を入れることにしたい。(市川)(この票の参照用リンク)
はじめに読んだ時は、「月魚」というファンタスティックな生き物(なんだろうと思うが)にまず魅力を感じたが、よく読んでみると裏に主人公の少女の物語が隠れている。孤児であったのか、または親戚に引き取られたのか、とにかく新しい父親と共に生活を始めた、その手探りの稚い不安が微かに暗示せられている。
技法としてはとにかく「月魚」という綺麗なイメージをつかまえた所がまず手柄であり、それに「ロビンソン」という現実を噛み合わせたのがまた上手い。ちなみに私の地元にはこの店が無いのだが、幸い旅先で見たので何のことか判ってよかった。(海)(この票の参照用リンク)
読み終わって、自分の身体までべたつくような感じがいい。(この票の参照用リンク)
のっけからあっけに取らて、一体どこに落ち着くのかと読み進んだら最後まで飛んだままどこにも着地しない模様。あっけに取らせ力に一票。 [shocone](この票の参照用リンク)
22期、24期に続いて、今期もやはりこの人の作品に心を動かされた。極端に微視的あるいは巨視的なレンズを通してみた世界は魅力的な変形を被らずにいられない。延び拡がるレールは超低速で撮影された植物の成長を見るようだし、列車は逆に金属やガラスの構成要素に解体され、原型をとどめておくこともできない。視界に映るものはやがて、ものであることすらやめ、いくつかの円と放射状の波線に還元されていく・・・と見えた瞬間、文脈から切り離された独白が不意に挿入され(「鳥の気持ち、あるいはありんこの気持ち。/海は近いよ。でも、どうすることもできないんだもの。」)そこから魔法のように、足下の熱の感覚へ、「私」へと、戻って来る。言葉を酷使すること、すでに使い古された、所与のものとしてでなく言葉を捉えようとする試みにおいて、作者はいつも先頭を走っている。(でんでん)(この票の参照用リンク)
今回は本当に多いですね。読めば読むほど、迷ってしまいます。
最初にいいなとおもったこれに一票。文章の密度が好きです。(この票の参照用リンク)
係助詞ではなく、格助詞を用いて完全に別次元な空間を構築したほうが好みかな。ごく短い物でしか使えない技だが一応書いてみる。(この票の参照用リンク)
前期がよかったので期待した安南みつ豆が期待外れ。キレイキレイに作ろうとして失敗した印象。これは出来のいい方の失敗作だが他にもツクリが見えて興醒めの作品が散見された。それらより更にひどい、ツクリどころか何も作っていない垂れ流し作品も多かったが、芸のない芸人と滑る芸人とどちらがましか論じるのも空しい。
そんな中で誠実に作品世界を作り上げ語っている本作品に一票を投じる。(この票の参照用リンク)
率直な印象として、今期は前期と比べ、やや低調かと感じた。その中で、まず今作に一票。
るるるぶ☆どっぐちゃんさん(敬称を付けるとへんな具合ですかな)は、これまで僕にとってわかりにくい書き手だったが、今作には瞠目。黒板に書き連ねた数式、ヘッドホンから漏れる「音楽ではないかもしれない」音、随所に小技の効いた黙説法をちりばめながら、次第に超現実的な情景へと昇華していく構成は手馴れたものだ。それは根拠のない空疎なイメージの羅列に終わらず、結末でギターが倒れる音には、十分な実在感が備わっている。ちょうど深夜、高熱を出して横たわっていると、静まりかえっているはずの部屋全体がわーんと鳴り立てているように感じられることがあるものだ。静寂それ自体が騒音として聞こえるような、そういう狂おしさを今作から感じた。(でんでん)
(この票の参照用リンク)
「書いている」というより「描いている」という印象を受けました。
これは単なる疑問なんですが、「聞く(≠聴く)」という行為は、“耳に頼らない感じ方(キキ方)”を意味しているのでしょうか。だとすると、私が今作を読んだ時に感じた“広がり”みたいなものに合点がいくんですが。
何にしても、毎回読む度に羨ましくなるセンスです。(この票の参照用リンク)
お父さんよかった。
家族の様子がふと目に浮かんで楽しかった。(この票の参照用リンク)
「ごめん、元に戻ろうか?」
「僕たち……やっぱり付き合おうか?」
というのは、疑問を呈しているのかというとそうでもない気がするが、自分が実際口にする場面を考えてみると、確かに?がくっついてきそうな感じがする。物語自体も確認の作業であり、そこに現代社会のアレがナニする病巣が透けて見えるのではないだろうか。(この票の参照用リンク)
読み終えた後に、なんともいえない気持ちになります。(この票の参照用リンク)
このくらい一字一字神経を使って解読した『短編』作品は初めてではないかと思ったが、律動が実に心地よかった。びっしり埋まってはいるが周到に考えられている。
それにしても羨ましいというか、私の地元は東北で、東北弁でこう押し通すのは何故かむつかしい。これは東北人の気質であるのか、東北弁そのものに持続力がないのか、太宰治も文章で津軽弁を書いているのは見たことがないように思う。(海)(この票の参照用リンク)
竹子さんがどれ程の年齢の方なのかわかりませんが、とても可憐しい。
その反面、男の入る余地が無い程強い女性なのかも知れない、とも感じました。(この票の参照用リンク)
ふつうに面白い。また読みたい作者。期待度込みで。(この票の参照用リンク)
子供の頃、こういう子供になりたい願望がありました。大人の揉め事を肩を竦めて見ているような。でもそんなの見栄で、頭の中はグルグル回ってるんだろうなあ。
と読んだ後考えさせられた素敵な作品でした。(この票の参照用リンク)
未だに投票の基準が出来てあがっておらず、うんうんうなっている間に予選が終っていたりするので、もう単純に自分の好みだけで入れてしまおう。とすれば今期ではこれ一作のみ。「掌に触れたとき、握り返されたことを除けば、温かさは樹と似通っていた」とか良いね。
(この票の参照用リンク)
兄弟の会話がよかった。
自然でいい。(この票の参照用リンク)
ほっとしました。国語の教科書に載ってたらさらっと読み流しそうなのに、ここの作品に紛れてるとなんだか新鮮。[shocone](この票の参照用リンク)