第59期予選時の投票状況です。16人より39票を頂きました。
# | 題名 | 作者 | 得票数 |
---|---|---|---|
19 | 水晶振動子 | るるるぶ☆どっぐちゃん | 6 |
2 | 硝子の虫 | 森 綾乃 | 3 |
24 | こわい話 | 長月夕子 | 3 |
3 | ビーアグッドサン | バターウルフ | 2 |
5 | 吉右衛門と六甲おろしのおはようサンデー | 宇加谷 研一郎 | 2 |
6 | 八丁林の探索は | bear's Son | 2 |
8 | 医者と死神の微妙な関係 | 佐々原 海 | 2 |
14 | 暑寒 | 川野佑己 | 2 |
16 | 花の卵 | 朝野十字 | 2 |
18 | 美術館でのすごしかた | qbc | 2 |
21 | カメレオン | 仙棠青 | 2 |
26 | お別れのキスのことばかり考えていた | 最中 | 2 |
1 | 白い部屋。 | 成多屋さとし | 1 |
9 | シバタ坂のデンジャーゾーン | かんもり | 1 |
10 | 月はただ静かに | 黒田皐月 | 1 |
11 | パッキン | 壱倉柊 | 1 |
12 | 三軒先の如月さん | 白雪 | 1 |
13 | バドミントン | 灰人 | 1 |
17 | 彼と私の話法 | わたなべ かおる | 1 |
22 | オチのない話が書きたい | 三浦 | 1 |
23 | ナガレ | 草歌仙米汰 | 1 |
最高!(この票の参照用リンク)
電化製品にクリスタルが使われているってことを作者はどこかで耳にしたんでしょうか。そのときの淡い衝撃が伝わってきます。(ロチェスター)(この票の参照用リンク)
うわー。(この票の参照用リンク)
女王様の一抹の哀しみが伝わってまいります。
こういう話は山田詠美ならばもっと判りやすく書くにちがいなく、その結果何万部も売れるのですが、るる氏の世界はいっさい俗に流れることなく詩的に表現されているので『短編』読者にしか理解されないわけです。しかしこんな事書きながら、るる氏の正体ってプロじゃないのか知らんという疑いが常にあったりします。まあ作品に感心する他には余計なことですが。(海)(この票の参照用リンク)
久しぶりにもの凄い、迫ってくるようなリズムを感じました。
あえて小説として読み込んでいくと、途中からベルバーナ君が放っとかれていて、電流の迸る音だけが響いていたのが何ともおかしく怖かったのですが、再読時にはなぜか後半の主人公(なのか)の問いかけに反応しているのが彼ではないかと思ってしまって、まあ、どちらにせよ哀れ。(この票の参照用リンク)
みんなよく聞け。部屋の窓を開けて、「今月もありがとう。」と叫べ。
自分に才能があるとまだ信じている人なら、自分より数段上のものを書かれたらくやしい、という気持ちがまだあるはずです。それをどう捉えていくかというと、1年間寺で修行して雑念を消して平和に暮らすか、対決して倒すしかない。僕はるるるぶ☆どっぐちゃんがいるからここに投稿しています。似たような理由で参加している方もいると思います。前期で短編の掲示板が、いったい誰がこれを読むねん。状態になってつまらなくなって、僕はもう見るのをやめようか迷いましたが、るるるぶ☆どっぐちゃんはたぶん辞めないだろう、と予想して参加を続けさせてもらいました。るるるぶ☆どっぐちゃんさんだけじゃないです。もう作品はどうでもいい。短編をおもしろくしてくれている作者に、ここでありがとうの一票をやっとけ! 言い過ぎたごめん! 愛してる!(この票の参照用リンク)
医療器具をグロテスクに描く様子は小川洋子氏の短編を彷彿とさせます。しかし眼科で検診を受けた経験からすると、「あの日のオオカナダモを『見ている方の』気分」に近いです。グロテスクに感じるこの検査の体験によって主人公に何が起こったのか、それはよくわかりませんでした。そして「返せ、その写真を」のくだりからすぐ段落と場面を転換せず、ここをもっと追求して欲しかったです。おしい。
なお作中の散瞳薬については、それによって光が余分に入るため眩しかったことは覚えているのですが、物がくっきり三重に見えたという記憶は無いです。この作品は作者さんの体験に基づくものかと思うので、もう少し聞いてみたいものです。(とむOK)(この票の参照用リンク)
今期のイチ押しである。いびつに歪んだ、ぎりぎりの均衡で配列された言葉たちのひとつひとつを、散文詩を読むように愉しんだ。たじろぎ、注視し、いきなり跳躍する、この魅力的なリズム。誰の文体とも似ていない不思議な声、節回し。(でんでん)(この票の参照用リンク)
「悲劇的な」というのは「悲観的な」の方がいいんじゃなかろうかとか、まあ重箱の隅的な傷は目に付いたんですけれども、暗喩に代表されるいろいろな表現が新鮮で感心しました。単に技術的な話ではなくて、話者の精神の張りつめ方といいますか、別に不思議な所もない日常的な風景に反応するレベルが、普通ではないと感じました。(海)(この票の参照用リンク)
こう、何というか、古いアパートのトイレの怪談に関するそれっぽい展開をすべて裏切ってくれて、そのうえかなりしょっぱいところに話を持っていったような感じで愉快でした。
実際想像してみると身体的にかなり切迫した状態になる気がします。この距離感では下手に座ると二度と立ち上がれないのでは。こわいという言葉の遣い方を考え直す機会にもなりました。個人的には長月さんの愉快な日常感覚(?)に近い作品が好みですが、これはこれでそういう日常感覚を異なる手法で追求した作品かと思うと趣があって好いです。(とむOK)(この票の参照用リンク)
恐怖のひとつの形が、確かに提示されている。(この票の参照用リンク)
個人的には、最後の2文がちょっと説教臭かったのと、タイトルが平凡かなと思いました。例えば「こわい話をするわよ」ぐらい乱れてると色っぽいなと思います。細かくくだらない話を真剣に語る程、面白いですね。(この票の参照用リンク)
>qbc
作者は人類の偉大な生命力の根源を1000字で描こうと発心し、
そして見事にそれを実現させたもうた。このひどく可能性の
ひくいチャレンジを物にした作者に敬礼。(この票の参照用リンク)
下品の一言に尽きる。
だが、話の内容は分かり易く、面白かった。
魂が身体に宿るという設定がいい。
下品さが伝わらなければ(面白くなければ)凡作に見えるかもしれない。(この票の参照用リンク)
個人的に気に入っています。
私の感想のせいで作品のイメージが固定されちゃって申し訳なかったです。(長月)(この票の参照用リンク)
まず読み易く、千字の中で二人の関係というのがありありと窺えて、さらに、千字を超えた先の情景が想像できました。それを可能にさせるというのは、実はかなり難しいのかもしれない。だが宇加谷さんの作品のほとんどにはそれがある。(この票の参照用リンク)
八丁林に近寄る子供がいないのはなぜなのかと掲示板で申し上げましたが、結局それらしいものは思いつきませんでした。
危険だから立ち入りを禁止されているとすると悪ガキの遊び場になりそうな気がしますし、何の面白みもないというのはブランコを設置するような楽しさすらも否定してしまうことになります。
ならば敢えてそれには触れない方が良いのではないか。そうすることで主題であるあの懐かしいような感覚に注力した方が良いのではないか。本作はそれができた作品なのではないか。そう、思いました。
私はあのようにはなれないし、あのようではなかった。しかし、あの空気を物語で読むことは、好きです。(黒田皐月)
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最後を「花の卵」「ガラスの瞳」「ガラスの虫」(と本作品)のどれかに迷いつつ、これに。
理由は分かりやすいかと、物語として完結しているか。
・「花の卵」
非常にレベルの高い作品で、
表現力・魅力的なシーンはあるが、
物語はスッキリしない形で終了。
謎も残っている。
続きが読みたいと思わせるが、今回はそれがマイナスポイント。
・ガラスの瞳
物語として完結していて、レベル的には本作品と遜色がない。
ただ、「寿命の表現に若干の矛盾を感じる」
>私は子供たちの表情が大人びていく様が、早いと感じる。
残っている長い寿命を現している。
>生命の終焉はお互いそう遠くないのかもしれない。
残った寿命が短いことを現している。
経過した年月を見ると矛盾がないようにも見えるが、
比較対象のライを明確に表現すればもっと良かった。
・彼女の存在も明らかにならず、残念。
最後に「彼女の声が聞こえる」→「寿命は短いのかもしれない」
と結べば、私は理解できたかもしれない。
・硝子の虫
非常に引き込まれるし、文章自体上手だと感じる。
でも、難解過ぎるので、少し敬遠してしまう。
(別に消極的賛成って意味ではないですが)
・「八丁林の探索」
幼少期の気弱で、臆病な子どもの心理が描かれている。
ちっぽけな独占欲なんかは非常に共感できる。
物語として完結しているし、
読みやすい作品だったことが、ポイント。
ほのぼの系の作品です。
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死神とは、死者の魂を導く者。タロットカードに模された姿が持つ鎌は、人生の実りを刈り入れるという意味を持つそうです。
彼らはその使命のために常に人の死を見つめ続け、それが故に各自強固な死生感を持っているのかもしれません。自分は死んだ者の魂を回収するだけでまだ生きている者の死を望む者ではない、病気で夭折してしまうような不幸な死には出会いたくない、そう思っている者もいるでしょうし、もしかすると職業病が多いのかもしれません。
そして、効率のために常に人の世界に待機している彼らは、実は人との接触を禁じられているものではないのかもしれません。人の運命を、生死を変えてしまうことは好ましくないという通念からそれをする者は少ないのでしょうが、敢えて人との接触を試みる者もいるのかもしれません。
この物語は、そんな一人の死神少女がただ何もせずに、何ら運命に干渉せずに、ただ病院屋上にいただけのお話。
済みません、妄想が過ぎました。感想ではありませんね、コレ。(黒田皐月)
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>qbc
ツンデレですよ、わたくしqbcはツンデレが大好きなんですよ、
そうですよ、ツンデレですよ、間違いなかったんですよ、
ツンデレですよ、そのとおりでしたよ、間違いなかったですよ、
ツンデレだったんですよ、大好物なんですよ(この票の参照用リンク)
多少悩んだのですがやはり推します。悩んだというのは私の読み方の問題です。今回の文章を、実は最初すっきり爽やか夏らしい話と読んだのですが、川野さんが文中で展開しておられる論旨について調べた結果「言語学の通説としては(おそらく)嘘」な論述を虚構として構成する物語なのではないか、と読み直しました。
しかしこれらの論述は、素人の私の目にはあまりにももっともらしく、そのためにおちょくられたように思えるのです。つまり「おちょくってて面白いお話」と。なので海坂さんの仰るように「暑いということを書こうとしている」とすっきり読むということが逆に難しくなりました。こういう虚構の構成に慣れていないためなのでしょうけれど、正直最後まですっきり読めた方は羨ましいです。いや、それにしても楽しくて勉強になりました。ありがとうございます。(とむOK)(この票の参照用リンク)
かつて、硬質の文体でイマジネーション豊かに異形の風景を描き出してみせた作者は、今や具象的なイメージを離れ、コトバそのものにあてのない思索をめぐらせ始めている。思索している、というより、夢を見ているといった方がいいかもしれない。そう、もっともらしい口調でここに語られているのは、実は、突拍子もない夢である。読みながら、僕もまた夢見てしまう。遠くへだてられたものたちを、ひとつのコトバが、突然、なんの論理的脈絡もなく結びつけてしまう・・・ そんな荒唐無稽を。そして、はからずも手元にたぐり寄せてしまった遠いものへ、僕もまた、ほのかな憧憬のような思いを抱くのである。(でんでん)(この票の参照用リンク)
物語が不気味な地すべりを起こし、全然予想していなかった新しい展開が黒い口を開き、しかし、それが新たな物語としていよいよ花開こうとした瞬間、不意に、まったく不意に、断ち切られる。つまり、「花の卵」とは、この掌編小説そのもののメタファーであるとも言える。朝野十字の技法にはますます磨きがかかっている。(でんでん)
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なんだか悪夢のような話だと思いました。全体がごく平静に、当たり前のように語られれば語られるほど、この世界全体のゆがみが感じられます。違うんじゃないかと抗議したくても、どこがどう変なのか指摘することもできません。「花の卵」なるものも一体何なのか明らかでないのですが、サトシ君にだけは分かっていて、それはこの閉じた世界の中だけで意味を持つ、醒めてしまえば煙のように消えてしまうものなのでしょう。(海)(この票の参照用リンク)
主人公の気持ちと行動が生々しくって面白かったです。
女も素敵でした。後輩も良かった。要するにちゃんと人間が立っててよかった。(長月)(この票の参照用リンク)
のっぺりとした空気。凹凸の目立たない感情。丁寧に表現されている。(この票の参照用リンク)
どっかで読んだような話だけれど、その分安心感があると思います。(この票の参照用リンク)
本を読むことで成長するカメレオンという、
これも設定勝ちな作品。
文体も読みやすく、結構引き込まれた。
短いながらも、その特異性があり、
1つの物語が完結しているところが好印象。
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お話はあまり好きな感じじゃなかったけれど、表現がとにかく面白いと思いました。ぐいぐい読まされました。(この票の参照用リンク)
うまく揺らしてるなぁと思った。(この票の参照用リンク)
詩的といえばいいのかブログ的といえばいいのかわかんないけど、短い文章でテンポよく読めました。
主人公の感情の流れが見事だと思います。(この票の参照用リンク)
小学生の他愛のない、でもどこか懐かしい雰囲気が素敵だと思います。誰もが持っているような幼い頃の思い出の1ページという印象が好きです。(この票の参照用リンク)
すばらしいです。(ロチェスター)(この票の参照用リンク)
>qbc
何回読んでも題名がパツキンに読める。
「居候の姉」という言葉の破壊力は並々ならぬもの
があったと言わざるを得ない。私は先だって
綿矢りさという人の書いた小説を読んだ。読みました。
声優美人顔10代の作者が描く「インストール」という
メタ的にいっていやらしい題名の持つ破壊力にも似て、
「居候の姉」という一言というか「翼」が持つ無限の
羽ばたきは、私を夜も眠れさせません。(この票の参照用リンク)
微笑ましい内容ですね。分かりやすい文章でした。推敲の後がみられ、同じ単語の重複、陳腐な比喩等の不必要な言葉が一切無かった。今回の中では一押しです。(この票の参照用リンク)
死体という言葉にどきっとするけれども全体に流れる雰囲気が好き。
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小説でない何かのような、しかし文字で表されているこれは、小説なのだろう。
原因と結果において、ふたりがふたりでいることが悪いことなのかもしれない。しかしそのことには確信がなく、そしてここには悪意がひとかけらもない。だからたとえ痛ましくても、ふたりを否定することはできない。
私にとって本作は、そんな複雑な気持ちにさせた作品でした。(黒田皐月)(この票の参照用リンク)
誤読かもしれませんが、自分だけの解釈ができたように思えた作品でした。千字なのにロシア小説を読みきったような達成感があります。(ロチェスター)(この票の参照用リンク)
いろいろと乱暴に感じられるところもあるけれど、今期では一番面白く読んだ。どうやら俺は超展開ものがけっこう好きらしい。(この票の参照用リンク)