第12期予選時の投票状況です。19人より52票を頂きました。
# | 題名 | 作者 | 得票数 |
---|---|---|---|
15 | ベーカリー・ストロベリー | 川島ケイ | 8 |
21 | ふたりのり禁止 | 西直 | 6 |
17 | アスファルト | 逢澤透明 | 4 |
25 | (削除されました) | - | 4 |
30 | シンク | 曠野反次郎 | 4 |
14 | 海の惑星 | 朝野十字 | 3 |
27 | 鍵 | 林徳鎬 | 3 |
4 | 落し物 | 水野ハジメ | 2 |
6 | 月の国 | サトリ | 2 |
8 | PM2:00 | raspy | 2 |
9 | 砂地行脚 | マサト | 2 |
18 | 論よりショーコ! | 野郎海松 | 2 |
23 | 脱皮 | 海坂他人 | 2 |
2 | 凶器の行方 | のの字 | 1 |
5 | (削除されました) | - | 1 |
11 | 舌鼓 | 江口庸 | 1 |
13 | 誕生日には幸運がいっぱい | 戦場ガ原蛇足ノ助 | 1 |
16 | 卑怯者 | ドグ | 1 |
19 | 閻魔の知られざる秘密 | 妄言王 | 1 |
22 | 滲むな、滲むな君よ | 朽木花織 | 1 |
28 | 日常浪々夢 | 赤珠 | 1 |
西直さんの『ふたりのり禁止』をうっちゃっての得票である。最初は私的予選に入れてなかったのだが、それは今一つこの三人の年齢が判らなかったからで、何だか大人びた幼稚園児でもいいような気がするが、パンを焼くのだからせめて中学生以上かと思ったりもする。しかしスヌーピーの漫画のように年齢職業その他の属性を超越した所にこそ、川島さんの登場人物の魅力はあるとも言えるだろう。
西さんの『ふたりのり禁止』も、よかった。この女子高生は村上龍なんかに比べてずっと好感が持てる。しかし私には見えない所が二つあり、一つは、「カシャン」という音がして、具体的に何が起こったのかということである。外れたキーボックスを収容するために戻らざるを得なかったという事でいいのかと思うが、一読して、何かクラッシュでもしたのかと思った。
もう一つは題の「ふたりのり」とは何を意味するのかという事で、一つの解は、この最後に出てくる男子校生は実は彼女と自転車に乗りたいのだけどこの「レース」で出来ない、という含意であろうか、と推定するのだが、憶測に過ぎない。
『ベーカリー』の方を評価すべきか、と思い直した次第である。(海坂)(この票の参照用リンク)
非常に素直な話。これを過不足なく1000字で書けるあたり、さすが実力者といったところ。この作者の掲示板で日記を読んだけど面白かった。声を出して笑ってみたり。いいかんじ。
ただほとんどの作品に同じ匂いがするから、毎月投稿のコンテストではさすがに飽きる可能性もある。もっと挑戦してほしい、という期待。
でも決勝進出は堅いでしょう、これは。(この票の参照用リンク)
ちょっとずるい気もするがまあしょうがない。可愛かった。6点(この票の参照用リンク)
3人の登場人物が、とてもいい。
菓子パンの甘い香りと放課後の教室に差し込む暖かい夕日と
意地っぱりな2人と主人公。パンのネーミングも秀逸だし、
なんといっても最後の一行が・・・切ない。(この票の参照用リンク)
ともかく、こっぱずかしい話なのだが、その感覚を読者に味あわせる力にまいる。(この票の参照用リンク)
川島さんの作品好きです。
個人的には、トーンを保ちつつ、違う匂いでやってみてほしいです。(この票の参照用リンク)
一見、かわいらしい光景のようだが薄気味悪さが残り印象的だった。
大好きも大嫌いも、限度を超えると危ない。(この票の参照用リンク)
川島さんの作品はどれもそうだけど、とても読みやすかった。
やわらかく、シンプルなストーリーがお気に入り。
登場人物たちの気持ちがきれいに伝わってきた。(この票の参照用リンク)
冒頭の「朝で女で高二で自転車」に痛く感心しました。いや、それだけなんですが。(この票の参照用リンク)
チャリっ娘好き。
あと、最後に出てくる「俺」がいい。ほのかな恋愛物のかおりが、今回学園ラブの中で(作者がラブを書いたのかは知らんが)一番いい。(この票の参照用リンク)
前半の「私」の文章がユニークで、スピード感をうまく表現できていて、よかったです。それだけに後半の「俺」がふつうで物足りなかった。
「私」から一行空けて「俺」さらに一行空けて「俺」とくるけど、この最後が「俺」でなく「私」だったらうまく締まるのではなかろうかと思います。(この票の参照用リンク)
やたらスピーディーに始まって、終わり方はややベタという構造が面白いと思いました。(この票の参照用リンク)
同じかわいいでもこちらはずるくない。ストロベリはだってあれは子供だ。個性じゃあないんだよね。こっちは個性。の、可愛さ。6点(この票の参照用リンク)
参加作品を一覧表示にして見ていると「最高千字で何が書けるか」「千字まででどんな世界が構築出来るか」に拘泥した(意識的か無意識的かは知らない)作品が多いように思われる。そのことの是非はさておき、「書いていたら千字になった」というような、すなおな作品が読みたいときもある。
この作品には計算はあるようだが気負いはないように感じた。(この票の参照用リンク)
壊れた作風が続いているようですが……。一応わかります。(この票の参照用リンク)
詩と散文を混ぜ合わせる手法は、思えば平安時代の女流日記とか、江戸時代の俳文を思い出す。この作品も、テクストに別のリズムが交錯することによって、限られた字数の中で多声的な効果を出している。
病気を苦に心中する男女という題材は劇的だが、1000字という制限があるだけに文章だけではどうしても概略しか書けず、またこの詩だけでは観念的に陥る恐れもあったろうが、二つが合わさることによって、強い説得力を持つに至ったと思う。(海坂)(この票の参照用リンク)
氏の作品で久しぶり自分ヒット。メロドラマと言ってしまえばそれまでだが、しかし何と切ないのか。アスファルトという題材自体かなり奥行き深くてよい。また、随所に散りばめられた彼女の詩が、話のテンポをすっきりしゃっきりさせている。(この票の参照用リンク)
詩がとても引き立っているように感じます。こういう手法に私は弱いかもしれません。(この票の参照用リンク)
うーん。これはやっぱり良いと言わざるを得ないでしょう。(この票の参照用リンク)
いろいろな人の感想の中でも言われていたが、怪力乱神の類は全く登場せず、ごく普通の人(という言い方も問題があるが)の繊細な心理を描いた作品は、作者には珍しいような気がするのだが、もの静かな雰囲気が好もしく感じられた。
高層マンションの最上階というのは、最も値段が高い筈である。そして妻と母親が同居しているということは、とりあえず両者の関係もうまくいっていると見ていい。すなわちこの主人公は社会的にも家庭的にも成功した恵まれた境遇にあるにもかかわらず、心の奥には破滅への暗い欲望が、むしろ甘美なものとしてある。そういう人の心の不思議さ、思いがけなさが、説明的にならずに伝わって来た。(海坂)(この票の参照用リンク)
マンションの屋上などの淵にいると、「もし自分にとつぜん飛び降りたいという衝動が出てきたらどうしよう」と怖くなることがあります。この主人公は恐怖というよりは昂揚を感じているようですが、ふつうに生きている人でもこういう不気味なものを抱えているのだ、ということをうまく描けていると思います。(この票の参照用リンク)
「空を飛ぶ夢」、一度だけみたことがある。
すごく気持ちよかった。
何だか、そういう所がすごく共感できたので、一票。(この票の参照用リンク)
とにかく洗濯機の描写に尽きますね。なんとセンスのいいことを書くのだろうかとシビれました。
あとなんの説明も無いドジソン君もいいです。(この票の参照用リンク)
一昔前の作品に出てくる蝿は日常の存在のように捉えられるのですが、今日書かれる蝿はやや非日常よりの存在となっているのではないかと勝手に思っていたので、蝿が一匹出てきてからなんだかあちこちおかしくなるという話はよく分かる気がしました。(この票の参照用リンク)
不気味というかどこか異様な世界がうまく表現されていると思います。特に洗濯物のくだりが秀逸。
その他に「砂地行脚」「鍵」の計5作品の中で迷いましたが上述の3作品に投票をします。(この票の参照用リンク)
ハエの薀蓄描写や、センテンスの長い文章が読みにくい。
だが雰囲気はあり、予選レベルには達していると思う(この票の参照用リンク)
最後で、あっと思った。まさにSFショートショートなセンスオブワンダー。(この票の参照用リンク)
ラストの構想によって話全体が柔らかい印象に変わり、好感が持てました。(この票の参照用リンク)
1.懐かしいエスエフ。
2.価値観の逆転が心地よく描かれている。
3.科白と展開に妙味。(この票の参照用リンク)
追う者、追われる者のスリルが堪らない。前期の「百万匹」は分かりやすくて好きだったけど、今期の「鍵」もいいなあ。
私が思うに、この作品は極限まで「音」が削られている印象を受けるけど、それが最後の、
<それがおれの目を刺し、頭を突き抜けていったとき、まだ意識があった。音を聞くことができた。槍は右に、それから左に、きっかりと回り、かちっという音。心地よく響く。
で「音」が一気に解き放たれ、作品として見事に完成していると思った。でも、元々持ってた鍵は一体なんに使うものだったんでしょうね?
んでもって、なんとなく今回は気が向かなかったので第十二期の感想は書きませんでした。次回は書くかも。(赤珠)(この票の参照用リンク)
これも最後で、あっと思った。読んでいた僕の目の奥で、かちっと音がするような気がした。
次点として「ウサギのような君へ」「論よりショーコ!」「滲むな、滲むな君よ」「高き場所より飛翔して」
それから内容はともかくとして
タイトルがとてもよかったのが「ふたりのり禁止」
文章が魅力的だったのが「脱皮」
でした。
今期も結構収穫の多い気であったと思います。(この票の参照用リンク)
1.スタイリッシュな寓話。
2.先の読めない意外性。斬新さ。
3.すばらしい。(この票の参照用リンク)
うーん、なんとなく面白い(笑。
自分でもなぜ面白いのかよく分からないんだけど、おそらく地面に落ちた刺身を片っ端から踏み潰していくサラリーマンの図と、
<小生、泣きそう。
の一文にやられたんだな。うん。(赤珠)(この票の参照用リンク)
(再投票)
純粋に面白かったです。大真面目にふざけている。その意味で言うと、シャクハッチ・マスカキコフさんの作風に近い。なので好き嫌いはあるとは思いますが、私は好きです。こういうのに何かしらの理屈を求めるのは、野暮なことだと思います。(この票の参照用リンク)
回想の始まりと終りはいまいち好みではないが、こういう話は好き。(この票の参照用リンク)
何が良かったとかは言いようもない。出てくる要素が
好きなものばかりで、また読者が自由に想像する余地を残した
表現のため、勝手に映像を心に描けた。
勿論細かく書かれている部分も申し分なく美しくて、
何か気分が良くなる作品だった。(この票の参照用リンク)
初読時に独特の雰囲気を感じて読み返した。読み返してみると、光の具合だとか、音、視覚が捉えるものを、人格をからっぽにした一人称のような観点から捉えるよう意図的にやっているのがわかって面白かった。
当然一人称小説ではないわけだけど、感覚が事物に対して、距離的に近いものとして描かれている、と自分でもよくわかんなくなってきたよ、あらら。ただ、誰かが指摘してたように、こういう文章では、言い回しが少しでも不適切だったりすると、全体の雰囲気からかなり浮いてしまうのでそのへんがちょっとマイナスか。
掲示板でいろいろあったから、それが投票結果に影響するだろか。本当なら3、4票くらい入りそうなかんじ。(この票の参照用リンク)
くそうくそう、オチを期待して読むとものすごい裏切られた。何だコレ。マジで何もない。二回も三回も読み直して、やっぱり何もないことを確認。くそうくそう、このやり方面白いとさえ思ってしまった。(この票の参照用リンク)
おもしろい。(この票の参照用リンク)
あらすじレベルを超えていない作品が多く見受けられる中、
文章がテンポよく読みやすかった。
海岸歩くことももスーツ姿もありふれた光景であるにもかかわらず
異様な状況になっているのがおもしろい。
海パン姿の男との対比もあり、イメージしやすかった(この票の参照用リンク)
どうもあれだ。私、この人のポップいノリには弱いんだ。弱弱。そういやタマオ君の時にも負けてたなあ。きっとそういう人は少数派なんだろうなと考えつつも、イエイ。(この票の参照用リンク)
すごい。(この票の参照用リンク)
この作品を読む前に海坂さんの掲示板で「海坂さんもこんなのを書くのかとちょっと驚きました」(発言者:中里さん)という意見を目にしていたのと、タイトルから勝手に連想して、おそらくホ○ケイの話なんだろうなとある意味期待して読んだら、見事に裏切られました(笑。
<毎日入浴して人並みに洗ってはいても、植生がある間は表土が安定的に保持されていたのが、急に禿げ山になった所へ大水<が襲ったために、ひとたまりもなく流出したのであろう
なんなんだこの比喩は(笑。
ってかこの話は本当なんですか? 気になって投票しちゃったじゃないですか!(赤珠(この票の参照用リンク)
これあれじゃあないかなテレビみてたらさんまのモノマネする人の相方のタモリのモノマネする人が「スキンヘッドだと夏、頭の皮がツルリとヘルメット脱ぐみたいに剥けるんですよ」と言ってたのをみたけど私のみたその番組をまさに見て思いついたんでわないか? 普通このムケはまあカサブタなんだが脱皮と強引にしたところがミソ。
10点(この票の参照用リンク)
三沢のキャラが台詞の端々から伝わってきていい。
オチへの伏線の張り方にもいちいちニヤリとさせられ、
「非番で拳銃を所持していなかったのは、まったく三沢の迂闊である。」
というオチの書き方は、このネタを完全に活かしきっていると思う。
それだけに、最後の1行は不要だったような。(この票の参照用リンク)
時々、思考の混濁から何かが見えてくることがある。しかし見える形にするのは難しい。
題名だけが気になります。(この票の参照用リンク)
(再投票)
713字。一字空けも空行もなく、ぎりぎりまでそぎ落としたと思われる言葉を無造作にか精密にかで投げ出した、確信犯的創作メモ。内容的にも好きですね。インパクトの強さが印象的(個人的に「投げ捨て」な言葉が好きだというのもあるとは思いますが)。早い者勝ちの一発芸。(この票の参照用リンク)
(再投票)
(確か再投票もアリだったと記憶しています。差し替えてもらえたら有り難く思います。お手数をおかけします。申し訳ありません)
「人間で言えば、四十歳ほどになる」
ジェフにかぶせて自分を「擬犬化」してそう言っているのか、それとも実際に異世界の話なのか。たぶん、両方の意味で読めるようにしてあるのだと思います。もしそうなら、戦場ガ原さんはかなりいい性格をした方だと再認識です。(もしそうなら)大技だと思います。私的には、今期はこれが一番です(本当にそうなのか、という自信はあまりありませんが)。
以下メモ。
『論よりショーコ!』
読んだあと作者名を確かめました。ほのぼのっぽい。ドラマや映画のワンシーンのよう。よくは考えていなかったんですが、自分基準として「勢いがある」、「よくわからないけど面白い」、「ほのぼのっぽい(あくまで『ぽい』)」というのがあるようですが、この作品はうち二つを満たしています。ツボってヤツです。
『ウサギのような君へ』
無理して『短編』っぽいのを書くより、やっぱりこの人はこういう系統の作品ほうが向いているんじゃないでしょうか。
『ベーカリー・ストロベリー』
こういうのを書かしたら、誰もこの人には敵わない気がします。
『夢の続き』
いや、面白かったんですが。でもこれは私がけっこう も。さんのファンであるからかも知れず、わからないという人の気持ちもわからなくもない、かなぁ。補助線を一本入れれば、それでいいような気もします。
『夕暮れを待つ』
回を追うごとに段々ピントを合わせてきている感じ。次がこわい。
『隣』
例のシーンを書くために他の文章がある感じ。そういうこだわりは好きですね。ただ例のシーンとそれ以外とで温度差があるような(意図的なもの?)。
『ニューニューシネマ(略)』
最初の一文でもう気持ちを持っていかれる。
『鍵』
これもあくまで個人的好みですが、この人の作品では、こういう薄気味悪い話のほうが好きですね。一般的ではなさそうな気もしますが。(この票の参照用リンク)
こうはなりたくない、と思った。しかしありうることである。(この票の参照用リンク)
いよいよ全裸になってしまったわけだ。……もう少し生きてみるか。(この票の参照用リンク)
1.キャラ作りに成功した。
2.タイトルが抜群。
3.情景が良く描かれている。(この票の参照用リンク)
赤珠さんの前作「16×16」にも惹かれたけど、今回もみごとにはまった。
ちょっと暗いといえば暗い話なんだけど、そこをあまり強調させずにさらっと読ませてしまう。
そこらへんが赤珠さんの魅力じゃないかな、と僕は思う。(この票の参照用リンク)