第20期予選時の投票状況です。18人より48票を頂きました。
# | 題名 | 作者 | 得票数 |
---|---|---|---|
9 | 谷間にて | 赤井都 | 6 |
2 | ぽん!ぽん!ぽん! | 三浦 | 5 |
13 | 火星少年チャーラン・プー | 朝野十字 | 4 |
26 | ハレとケ | くわず | 4 |
20 | 穴 | 戦場ガ原蛇足ノ助 | 3 |
21 | 物体ヤボ | 紺詠志 | 3 |
25 | 葬儀のあとで | 五月決算 | 3 |
29 | アメリカひよ鳥 | 海坂他人 | 3 |
8 | 槇さん | 黒木りえ | 2 |
16 | ゆるく笑う | 西直 | 2 |
22 | うっかりミス | 逢澤透明 | 2 |
27 | げじげじまゆげ | 朽木花織 | 2 |
31 | 自転車レース | 曠野反次郎 | 2 |
6 | なくした | 長月夕子 | 1 |
11 | そらのした | 江口庸 | 1 |
15 | 本当のおまもり | 宇加谷 研一郎 | 1 |
17 | 棘 | 野郎海松 | 1 |
18 | シューティング・スター | 川島ケイ | 1 |
23 | 恩返し | 神差計一郎 | 1 |
24 | 春風、それも歌か | るるるぶ☆どっぐちゃん | 1 |
星新一の創作民話のような、よく意味はわからないが、なんだか気になるお話。文章もきれい。メタファをかんぐれば、同人ウケ――同じく物語の創造に苦心している人たち向け――に堕してしまいそうなので、あえてしない。(この票の参照用リンク)
全作品速読でこれだと思った。じっくり読んでもやっぱり良かった。(この票の参照用リンク)
作者が自らのホームページの掲示板に「推薦作品は自作品一点のみ」と記しているのを瞥見した時は、まあ冗談にもせよこんな事を公言する人には入れたくないと思ったのが正直なところであるが、作品そのもので判断すれば、口惜しいようだがやはり今期はこれを筆頭に挙げざるを得ない。
赤井氏を他の群小の作家から区別しているものは、自分が言葉を積み重ねて構築する世界への信仰の強靱さであろう。これは自分一人の美意識に安住した繊弱な自己満足とは似ているようで全く違うものである。用語や修辞は特に奇抜でもないが、その奥底に秘められた骨は太い。それでいて骨格標本のような殺風景にも陥っておらず、「小説」としての外観をしっかりと備えている。(この票の参照用リンク)
場面の転換が多いのに、文章につっかかりがないのはさすがです。その一つ一つの情景もとんでもない。鮮やかで否が応にも印象に残ります。(この票の参照用リンク)
ぞくぞくする話を聞きたい、聞かせて欲しい。(この票の参照用リンク)
「何でもいいなら何か話せるだろうに」とか思いましたが、まぁ怪談ですもんね。
主人公がこの体験を誰かに話した後の展開でも何か書けそうな、勝手な期待感を抱いてしまいました。(この票の参照用リンク)
一見知的勝負ものかと思われましたが、勝負を超えたところに結末を持ってきたのが良かったです。(この票の参照用リンク)
文句なくおもくろかった。
勝負の緊張感もあり、またジャンケンで決めるというとぼけた感じも文章(語り手)自体が笑っていないので、逆にひき立つ。
結末の直前で終るのもいい。
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すぱん、と綺麗に決まっている。ストライク。
三位票は「物体ヤボ」と「棘」とで迷いました。(この票の参照用リンク)
展開に「この先どうなるだろう」という期待とサスペンスがあり、ラストが甘やか。文章からタイトルまで完成度が高い。(この票の参照用リンク)
いつも全作品表示で読むのだが、タイトルが左にあって作者名が右にあるのに気付いて右側を隠して読んだらどれが誰の作品か判るだろうかと想像して実験してみた。
判った作者の方が少なかった。
作品の並びは先着順だろうか。きちんと推敲すればもっと良くなったろうにと思いつつ投票。(この票の参照用リンク)
普通、火星人などというとっぴな設定から話をはじめれば、そのままそのとっびさにひきづられてしまうものだが、そうではなくて、実に現実感のある物語となった。よくある設定ではあるのだが、しかし最後のセリフには心を動かされた。(この票の参照用リンク)
なんか微妙にひっかかる所も多々あった。姉弟にしては冷たい関係だな、とか。でも、弟の「火星に帰りたいよ」の言葉に負けたような気がする。(この票の参照用リンク)
話者の姉の設定、語りの視点に、技術的な不満はあるが、遠くから話の中心に導く展開が巧い。さらに話の内容として強いものがある。(この票の参照用リンク)
星を仰いで涙を流す異星人。昔目にした映画やドラマ、その時の感覚が蘇りました。
弟の弱さ。弱さが美しいと思える年頃。よかったです。(この票の参照用リンク)
七恵の最後の科白でハッとさせられ、そしてその後の余韻に何とも言い難いものを感じました。(この票の参照用リンク)
今期もっとも文章に技が見えた作品。ところどころ無理な表現がないではなかったが、全体うまい。しかも内容もなかなか巧妙で、窓の外を気にするところと仏壇に布をかぶせるところに、亡き夫への未練とそれを振り払う決意が示唆されている……いや、夫が死んだのか失踪したのかハッキリしないんですけど。ちょっと情報不足。(この票の参照用リンク)
何がどう、というわけではないけれど面白いです。こういうの、自分も書いてみたいなあと興味をそそられたほどでした。「寂しさと焦りの渦を喉元で凝り固まらせ、楽しげな佳也子の声に無理矢理割り込ませていく卑しさが、七恵にそのようなこわい声を出させるのだった」この文章にちょっと引っかかりを覚えましたが、全体的に光景がすんなり目に浮かぶような書き方をされているので好感を持ちました。(この票の参照用リンク)
方言が決め手ですね。(この票の参照用リンク)
ウィットに富んだ詭弁小説。ドーナツの穴を無と見るか有と見るか。トリックスターの面目が躍如としている。(この票の参照用リンク)
最後の一文が綺麗でした。(この票の参照用リンク)
ドーナツの自己意識は薄力粉他の材料の段階にまで遡及されるんでしょうか。もしそうなら自分に空いた「穴」に対する意識そのものがないだろうし、ドーナツとしてのみ自己意識があるなら「穴」も含めての自分、ですよね。
「穴がある」という言い方もできますけど。何が在ったのか、気になりました。
あと、ドーナツが可愛かったので。(この票の参照用リンク)
冒頭の、語れば語るほどに意味をなさなくなる描写で既に大笑いしてました。語り手もさぞかし言及したくなかったことだろうなあ、と同情。(この票の参照用リンク)
如何ともしがたいヤボったさがうまく出ていました。(この票の参照用リンク)
ヤボってそうなんだよなぁ。(この票の参照用リンク)
葬送のセレモニーにこだわるのは死者に対し愛情の深かった人と、あまり関係はないけれど暇という人がすることじゃないかと思いました。共感一票。(この票の参照用リンク)
いいんじゃないでしょうか。(この票の参照用リンク)
勝手にコント的なコメディ的なものを期待して、裏切られました。いい意味で。これはどう終わらすんだろうと思いながら読み、嘆息。見事です。無駄がない、と思いました。
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諧謔味がよい。(この票の参照用リンク)
小粋なエッセイ小説。一人称どころか無人称の文章が虚と実のあわいを作り出す。これは誰も真似できない。(この票の参照用リンク)
花や鳥の名前をよく知らないので、正直言って情景を想像しがたい箇所もあるのだけれども、今日も平和だお茶が旨い、と何だか楽しくなったので。(この票の参照用リンク)
途中でオチはわかってしまったんですが、ばれても読ませてしまえばいいんだなと。たぶん、うまさですね。
あと気に入ったのは「火星少年」と「ぽん!ぽん!ぽん!」。票を入れた作品とは、0.5ポイントの差。(この票の参照用リンク)
細部もストーリーも書き込まれていないぶん、読む側の想像力が働く余地があり、話の中に読者を入れて呼吸させる。(この票の参照用リンク)
この作者の作品はあまり好みじゃあないのだけれど、これはすかん、と心に響いた。なかなか良いな、と思った。(この票の参照用リンク)
冒頭の脱字をおぎなえば字数オーバーになってしまうのが致命的な欠点ではあるけれど、それをして捨てるには惜しい。かなしい自嘲にあふれている。といって本人に責任はないようだが、さほど無力にふるまうこともなかろうという、いささかヒネクレた自嘲で、むしろ兄のほうが状況に対して積極的であり、だから彼女は兄をうらめない。自分を嘲笑するしかない。彼女は屈折したナルシスト――よくいる女子中学生である。そんな悲哀と滑稽があくまで軽薄にえがかれていて、おもしろかった。(この票の参照用リンク)
昨年だったかアントニオ猪木が永久機関っぽいのを発表しようとして、会見の席でびくともしなかったという微笑ましいニュースがありました。それを思い出しました。(この票の参照用リンク)
うっかりの王道。それはミス? それとも......。(この票の参照用リンク)
なぜ、げじげじまゆげなのか、なぜ、お玉なのか、という疑問はあるにはあるのですが、自分でも気づいていない自分の中にある「よいもの」を発見した喜びのようなものが感じられて、いいなぁと思いました。(この票の参照用リンク)
こういう“読者を置いていく感じ”、すごくいいと思います。
朽木花織さんが意図されたのかどうかは別にして。(この票の参照用リンク)
最後に「僕」から離れて去って行く「影」。それは周囲に流されるがまま全速力でどこへとも知れず走りつづけている自分の中の一面であるのだろう。だから「ひどくせいせいと」したのだ。
こんな風に解説すると何も面白いこと無いが、それがいかにも今しぜんに起きた出来事のように瑞々しく語られている。頭で作った部分と、自然に流れて行く部分とがうまく拮抗しているとおもえた。(この票の参照用リンク)
肩の力を抜け、でも抜き過ぎるなよ、というメッセージかなあ、と思いました。(この票の参照用リンク)
普通だが普通によい。(この票の参照用リンク)
「藍は純情女学園」というところですでに笑ってしまったが、いやーそうですか。最後も笑いました。おもしろいです。
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すとん、と心に落ちた。良いな、と思った。
今期は質、量ともに大充実で、とても面白かった。何が決勝に残るのか、とても楽しみです。(この票の参照用リンク)
二、三わからない点もあった。一つは「寧音」の読み、「ねね」で良いのかとも思うが、確信が持てない。もう一つは、「僕が、ある芸能プロダクションと専属契約を交わした」のは、やはり彼女を芸人として売り出すつもりだったのかどうか。これも不安な気がする。
それでもしかしこの作品を推すのは、上に書いたような疑問も含めての複雑な心理・情感が表現されていると思うからである。曖昧かつ多義的である事柄を考えさせられることで導かれる豊饒というものもあるとおもう。たとえばなぜ彼女は最後に棘を切り落として去って行ったのか、など。(この票の参照用リンク)
男女の力関係の描写が絶妙。ナチュラル・スタイリッシュな逸品。やや予定調和すぎるが許容範囲だろう。(この票の参照用リンク)
ゾワッとさせられた感触と、タイトルに通じるというラストにつきます。(この票の参照用リンク)
これはもう脊髄反射で面白いと。抑制された文章にじりじりしました。(この票の参照用リンク)