第27期予選時の投票状況です。21人より43票を頂きました。
# | 題名 | 作者 | 得票数 |
---|---|---|---|
10 | 冬が溶けるとき | 八海宵一 | 6 |
13 | 外神田ボーンヘッズ | 野郎海松 | 4 |
15 | 銀河観光社出張所NQ7711R | 朝野十字 | 4 |
1 | 結婚記念日 | うさみみ | 3 |
2 | 目覚め | 戸田一樹 | 3 |
18 | 水際に立つ | 真央りりこ | 3 |
19 | 太陽への塔 | 三浦 | 3 |
22 | 二十歳のテープ | 宇加谷 研一郎 | 3 |
26 | 隠れ月夜 | 曠野反次郎 | 3 |
5 | 大河 | 小松美佳子 | 2 |
23 | 白象 | 市川 | 2 |
24 | 雨日余話 | 五月決算 | 2 |
8 | 静かなる終焉 | 時雨 | 1 |
11 | どうか孕ませて | 広田渡瀬 | 1 |
16 | 透明人間 | ザラメ | 1 |
20 | 海辺のアルバム | 江口庸 | 1 |
21 | 水色 | 川野直己 | 1 |
応援票を入れよう、と決めてました。ら、普通に票を集めてますね。
妥協ではなく、このかたの作品をまだ読みたいなあ…という意味です。(この票の参照用リンク)
丁寧で、暖かく、それ以上でもそれ以下でもなく、しっかりとしている。(この票の参照用リンク)
この作品は出来ることなら厳冬に読みたかったなという気がしなくもないが、それはさておき、小説の基本みたいなものをきっちり押さえてある佳作とみた。「エヌ・テー・テーさん」というのが良い。(海)(この票の参照用リンク)
皆さんも書いておられるようだが今期は読むのがつらかった。
自作も含めてすみませんでした。季節の変わり目ゆえか、
体調不良のせいもあるのですが。
そんななかで読みやすく心に残った作品に一票。
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この何でもなさ。すげーいい。裏表が引っくり返るような仰天系のオチではないが、見せ方が実に良い。ぜんぜん予測のつかない上手い引っ張り方だった。作者が作品内の空気を分子レベルでコントロールできていた。(この票の参照用リンク)
笑ってしまいました。まったりした冬の室内描写と、まったく関係ない鳴るはずのない電話が、夢のように一体化しています。(この票の参照用リンク)
彼女のために何ができただろうか。(この票の参照用リンク)
そのテンポの良さ。(この票の参照用リンク)
#3「道すがらに聞いた話」と散々迷ったが、個人的な趣味で「外神田ボーンヘッズ」に投票しようと思う。
「IWGPのサル」と「小池さん」を足して2で割ったような純情でキチガイな主人公に全編にわたりそのナイーブさをうまく漂わせ、キャラが立っているように思う。ここまでは評価するが、構成がいまいちだ。もたつきを感じるために決勝で投票はしないだろう。特にレイプ発見の場面だ。この部分は文字を割いている割にそのことが活かされてない。読み手(私)に対して視覚的にショックを与えようとしているなら虐待がぬるいし、文章的にショックを与えるなら、説明にまわってることで卑猥な想像を阻害されてしまう。とにかくこの場面は中途半端なので、読んでいてテンションが下がった。ラストに向かう部分にもっと文字を割いたほうが良かったように思う。(この票の参照用リンク)
「池袋ウエストゲートパーク」のパロディだと読んだ。真面目なパロディは嫌いじゃない。『短編』ではあまり見ないタイプの作品ではないだろうか。(この票の参照用リンク)
手堅くまとまった一品。(この票の参照用リンク)
設定が好み。(この票の参照用リンク)
作者の頁の掲示板にて「思わせぶりなの読んでて疲れる」とあったが、同感である。投票で書くべきことじゃないかも知れないけれども。思わせぶりでなければいいかというと、あまり単純で薄っぺらなために別の脱力感を与えられるものもある。読者というのはわがままなものなのである。
元来私は宇宙の話たらあまり好きじゃない筈なのだが、一瞬にしてガラス漬けになった王女の凄惨な美しさ、また全体に流れる抒情がよかった。(海)(この票の参照用リンク)
何とも名状しがたいのだけれど、哀愁とセンスを感じさせる作品だと思いました。登場する「者」、そのどちらもがすでに地球の恩恵を受けられない状態であることの哀しさが伝わってきて、それでも双方がそもそもの使命と目的を見失うことがないという有様に対して、強く惹きつけられました。(この票の参照用リンク)
わかりやすくておもしろかった。
前向きな終わり方が気持ちがいい。(この票の参照用リンク)
すまない気持ちを伝えたくて伝えられないもどかしさの中から、とうとう出た夫の言葉が「今日は早く帰るよ」いいですね。結婚記念日をすっぽかした夫と、待っていた妻。どこにでもありそうな若い夫婦の風景ですが、不器用な夫婦の表現を、素直に描いていると思いました。
あと何年経つと、すっぽかして平気になるんでしょうね。(この票の参照用リンク)
単純に面白い。(この票の参照用リンク)
柔軟で抑制された、良質な叙情が全体を満たしている。
なぜ少年が泣き始めるのか、少なくとも直接の説明はない。亀の存在それ自体は、悲しみや懐かしさといった感情と、はっきり結びついているわけではない。「思いの外やわらかく、そして暖か」い亀の腹、その感触をあふれる涙と結びつけてしまうのは、ただ夢だけに許される論法で、今作はその論法を控えめに用いつつ、寂しくも柔和な雰囲気を醸すことに成功している。末尾の一行がなくとも、この短編は一片の夢として十分成立していると思うのだが、さて、どうでしょうか。夢オチ、と分かっただけで読者は萎えてしまうものだが、そのリスクをあえておかそうとしたのは、最後の一行、三人称から一人称への急な転換によって目覚めを印象づけたい、という構想からだろうか。(でんでん)
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読み終えてから少し考えてやっと「ああ、それで目覚めか」と気づいた。なかなか底意地が悪い。「〜た。」「〜だ。」で統一されているけれど、最後だけはずしてみるのも面白かったのではと思った。(この票の参照用リンク)
孤独の理由、自分の力ではよく感じ取れませんでしたが、亀への少年の繰り返しの問いかけで、好奇心からシンパシーに変化する様子が伝わってきました。本当に抱きしめたくなる亀ですね。穏やかで切ない気持ちで読める作品でした。
今回初投票です。選び方にとても気を使う方がいらっしゃる中、未熟で大変申し訳ないと思っているのですが、自分なりに好感を持った作品を選んでみました。(この票の参照用リンク)
母親というのはそういうものかもしれないなあというのを、さかさかと削りだしていったような雰囲気がよかったです。(この票の参照用リンク)
すっきりとまとまっていて、読みやすくて、暖かい、ものすごくいい話だと思います。惜しむらくは短編読者が若干ひねくれチックであって、票が入りにくいのではないかと予想されることです。(この票の参照用リンク)
湿っぽくなりがちな設定を、情景や、ポンプの滝といった道具立てで、よい空間に仕立てているとおもいました。
日常生活の中の突然の別れにともなう喪失感というものは、家族と言えどもそれぞれだということを、短い作品の中で上手く描いているとおもいます。
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王様やら王子様やら女王様やらが出てくると、どうしても仕様もないロマンスかナンセンスを考えてしまうのだが、まさか世界が滅んで、さらにドリフのような体を張ったコントにするなんて! 素晴らしい!! 珍しく正統派などんでん返しはとても新鮮だった。(この票の参照用リンク)
物語のテンポが良く、筋をずらすことなく内容が切り替わってゆく構図がとてもおもしろかった。必ずしも子供ばかりが対象ではない絵本が増えてきたが、そんなふうに絵本にするとすれば、非常に味を深めるかもしれない、と思いながら読ませてもらいました。(この票の参照用リンク)
1000字以上の物語を読んだ気分だった。ラストが普通すぎる気もしないでもないけれど。
あとは「透明人間」と「雨日余話」が面白かった。しかし、どうも改行位置に違和感があった。(この票の参照用リンク)
「ーー」は「――」にしたいとか、「気まづい」は「気まずい」がいいだろうとか、ちょっと校正したくなる箇所もあるけれど、時間の流れといったものがよく表現されていたと思う。今期参加作の中では文章も自然で読みやすく、作品の世界に入りこむことが出来た。(海)(この票の参照用リンク)
最後の一行で引き締まっている作品と思う。(この票の参照用リンク)
死や死者を描いた作品は「短編」にも数多いが、この作品は「人の死」と「思い出」をチャンとした物語に昇華させており、身の丈(1000字)に合った手堅さがある。フィット感が良い。(この票の参照用リンク)
いい友人と奥さんですね。(この票の参照用リンク)
なし、にしようかと思ったけれど、今期のなかで一つ選べと言われたなら、きっとこれを選んだだろうと思ったので。(この票の参照用リンク)
どこがどう、という感想を書けないが、もう一度読み返したい作品であった。(この票の参照用リンク)
『夢應の鯉魚』の変形か。活きのよさそうな字で大物でも釣るのだろうか。684字で終わらせた潔さがよい。夢の中の景色のようだ。(この票の参照用リンク)
まさに短編。この手ごろ感。高尚な御託も泥々した感情のあれやこれやもなく、お話として実にシンプル。そして何より、物語のぜんぶをキチンと読者に投げ与えているところが実に良い。(この票の参照用リンク)
はー、よくこんなの考えつくなー、すごいなー、としきりに感心しておりました。白い象と春と「泣いても戻れんよ」が心にズシン。(この票の参照用リンク)
完璧に配置された590文字。これは凄いと思う。隙がない。正直なところ、この短編に対してどうこう言うことは、ちょっと今はできそうにない。(でんでん)(この票の参照用リンク)
「マイナスイオン」という語はなくちゃだめですかね。
あえて言うならそこが野暮ったいような気がするんですが、好きな話です。(この票の参照用リンク)
ラストだけ見ると、語り手がいろいろと小難しいことを考えている人っぽい感じだが、実際は自分で自分がよくわからなくなっているような感じの人で、親近感が湧いた。(この票の参照用リンク)
実は彼女にも夫がいたっていうのが衝撃的でよかった。(この票の参照用リンク)
読み始めの辺りから、オチが読めてしまった感があって残念。
もっと余分な部分を切り捨てていって、コント的に使ったら
面白いのかもと思えてしまうのは、もともと短かったアイディアを
頑張ってローラーで延ばして、千字ぴったりにしたからなのか。
などと思いつつ、最後の2行に思い直して票入れます。
笑っちゃったから。凄い笑っちゃったから。
かぶせ方が良い。(この票の参照用リンク)
じゃらじゃらと飾りつけていないところが好みでした。
落ちのある幾つかの作品の中で、一番合点がいきました。(この票の参照用リンク)
合うか合わないかってだけの問題かもしれないけど、ちょっと笑ったので一票いっときます。(この票の参照用リンク)
稠密な描写とインスピレーションの飛躍とが同居する、魅力的な作品。とんちんかんな連想でまた顰蹙を買うかもしれないが、僕はスティーヴ・エリクソンの小説を思い浮かべていた。具体的なイメージがエリクソンに似ている、という意味ではない。描写への執拗な意志と、時にその描写を軽々と越えてしまうインスピレーションの飛躍とが、一作品の中に同居している、という意味において、今作はすぐれてエリクソン的である。そう言うなら、この短い小説には二つの相反するものが共存している。語りの熱気と、ものを見つめるさめたまなざし。やさしく透明な言葉と、硬質で尖った語彙。石であると同時に水でもある「含水石」を現前させるために、これ以上ふさわしい文体はないだろう。(でんでん)(この票の参照用リンク)