第60期予選時の投票状況です。13人より27票を頂きました。
# | 題名 | 作者 | 得票数 |
---|---|---|---|
5 | 蜜柑 | 森 綾乃 | 3 |
23 | 保険金詐欺とばれて親指も保険金も失った春に | 咼 | 3 |
30 | 彼方 | 壱倉柊 | 3 |
9 | カニャークマリの夜 | 公文力 | 2 |
27 | 575 | 三浦 | 2 |
28 | ごっつぁんです | バターウルフ | 2 |
1 | 四十五円 | アサギ | 1 |
2 | 大きな三角定規 | 藤舟 | 1 |
3 | ジンジャエール | otokichisupairaru | 1 |
6 | スラムダンク | ハンニャ | 1 |
8 | ピアスの青年 | 八海宵一 | 1 |
12 | 悪戯好きな彼女 | HYPER | 1 |
13 | 続 こわい話 | 長月夕子 | 1 |
15 | 赤いマリオネット | 藍沢颯太 | 1 |
16 | 少年たちは薔薇と百合を求めて | qbc | 1 |
20 | 天使の絵が描かれたカード | 佐々原 日日気 | 1 |
29 | 藻屑 | もぐら | 1 |
- | なし | 1 |
蜜柑の描写が艶っぽくて好き。(この票の参照用リンク)
おもしろかったです。自分の何かを肯定するために、別のなにかを軽蔑する――この主人公は優しさ、ぬくもりの象徴であるハウス蜜柑を守るために、中国産を嫌ったり清潔でなければそのハウス蜜柑でさえ拒否します。私は正直にいえばこういう思考パターンがあまり好きではありません。でもこの主人公が30代以降ならともかく20代前半だと考えると(前作もそうですが)話はかわってきて、子供が自分の意見をしっかりもった大人になるためには自分の好きなものと嫌いなものを明確に線をひいてわけることが必要なのではないか、と思えてきます。
そういう意味では、おそらくアルバイト帰りを連想させる一人暮らしの主人公がふらっと寄ったスーパーで「中国産よりハウス栽培!」と自分で考えて、でもそれじゃあ予算が足りなくて、「自分には105円がふさわしい」と無理やり納得させて、でもその結果のミカンの缶詰が思ってたより透明でおいしかった、という流れを追っていると、主人公の在り方が他人事ではなくなってきます。
余談ですが、この主人公はどんな音楽や本や絵や写真を好むのでしょうか? 私はまだ主人公は自分の好きなものがわからない状況にいるような気がしています。この主人公が今後ミステリアスな人と出会い、触発されてどんどん変貌していく過程を読みたい、と思いました。
(ロチェスター)(この票の参照用リンク)
表現は非常に丁寧で、話もしっかりしていて、まとまっている。
悪い表現をすれば、国語の教科書のような作品にも見えるが、
いい意味で、本当に国語の教科書に載っていそうで恐ろしい。
文学系が嫌いな私でも、素直に楽しめた作品。
みかんにかける想いが非常に綺麗に見えた。(この票の参照用リンク)
せっかく兎売れたのに、まだまだ気が抜けないようなラストでしたが、この飄々とした雰囲気はとても好きでした。(この票の参照用リンク)
タイトルと中身に若干の食い違いを感じないでもないですが、テンポのよい文章なので、楽しく読ませていただきました。独特の世界観が好きです。ところで、ウサギには、なにか寓意があるのでしょうか? 作品全体の雰囲気として、寓話のような教訓めいたものがあるような気がしないでもないのですが、これだ! というものが掴みきれませんでした。ごめんなさい。
それにしても、「俺」のその後が気にかかる。(八海宵一)(この票の参照用リンク)
プラスの印象を得たところ
・「その後うまいことに、車内で兎が2羽売れた。」の部分で思わず笑ってしまった
・文章を楽しく読み進めることができた
マイナスの印象を得たところ
・タイトルの長さに嫌味を感じた
・最終行で不完全燃焼な気分になった(この票の参照用リンク)
人って、ときどき意味もなく、自分を責めたくなるときがあるよねー、って思いました。
でも、それって、若いよねー、としみじみしてみたり。
心の琴線にふれるよい作品だと思いました。(八海宵一)(この票の参照用リンク)
「年取ること」と「傷つけること」を、うまいこと関連させて描けていたと存じます。
ただじゃっかん現実から遊離しすぎてフワフワし過ぎかと存じます。
> 余計にも日が当たるよう窓際に水槽を置いてしまいました。
こういったところは細かくて良いなと存じます。
しかし、
> そのまま年を重ね気付けば僕は二十五歳になり、地元への異動が決まりました。
このあたりは「どこから」地元へ異動になったのか分からない。ここは「働く」という現実まるだしの部分なので、特にリアリティを読者に感じさせられる部分だったかと存じます。「何年どこそこの部署で働き、どこから異動になった」というだけでブラッシュアップされたのではないかと存じます。恐縮です。
丁寧な喋り言葉文体が、「なんとなく怖い」を実現させていて良かったです。
qbc(この票の参照用リンク)
書き足りない印象はあるが、よくまとまっている。残虐性の描き方がよい。何気なく恐ろしい。他者を殺したはずが実は自分の内部が死んでいた、という発想はよくあるが、それを上手に描いている。文体が丁寧語である点もよい。終わり方にはもう一工夫ほしい。(梅田太秦)(この票の参照用リンク)
話の全体が見えないまま、終わっているにもかかわらず、これほど読ませる力を持っている作品は、すごいと思います。事件の真相ははぐらかされたまま、明らかになることはないのでしょうねぇ。ああ、ハル子がこわい。(八海宵一)(この票の参照用リンク)
おもしろかったです! 「僕」がソファで女の足裏の角質を「そぎおとし」ながら、女のつくったカレーの具が奥歯に挟まっているのを気にするところだとか、そのハル子が冗談でかかと落としの真似をする箇所……そんな秀逸な場面描写のあと、不意にハル子のインド旅行回想になっていくところが、とっても自然で、いつのまにか読んでいて、部屋からインドが見えてきました。さりげなく「天井桟敷」の(たぶん冒頭?)のシェークスピアが大好きな役者のセリフ(?)が引用されたりして、ますます作品に深みを感じました。そうして、インド回想から再び、「僕」と「ハル子」の部屋に話はもどって、きれいになった自分の足を満足げに眺めて「僕」にキスをして終わるラストは短編のなかでも美しい終わり方のひとつだと思います。それから「平然と二股を認める僕」だけだったらなんとなく設定にムリを感じるのですが、ここに「女の足を丁寧に手入れしている」という条件が加わっているので、このハル子の二股がむしろふさわしいというか、まさにハル子がイキイキとしてきます。 (ロチェスター)
(この票の参照用リンク)
次々とあさっての方向に流れていく展開にまったく追いつけませんでした。何がどうなっているんだろう。すごい。間に挿入される句もよかったです。(この票の参照用リンク)
おそらく作者が書きたかったことは私の解釈とは全然違うところにあると思いますが、この作品が誤読を許してくれるだけの奥深さと懐の広さを持っているということは確かだと思います。なにもわけのわからないことが書いてあればどんな作品でも誤読が可能、というわけにはいかなくて、「意味がわからないけどこの文体のリズムと使われている語彙のセンスの良さだったらついていきたい!」と思わせてくれないと、普通は読もうと思いませんが、この作品はタイトルの「575」というところに込められているであろう狙いからして面白く、ザビエルの名前がS・Eであるところやその他もろもろから前期の「短編」が内包されていることも感じられるし、読めば読むほど深みへはまっていきます。こんな作品を書いてくれてありがとうございました。(ロチェスター)(この票の参照用リンク)
シチュエーションが素晴らしい。初デートに横綱って最高!(この票の参照用リンク)
プラスの印象を得たところ
・横綱をとことん置物扱いにしていておかしい
・会話が活き活きしていて楽しい
マイナスの印象を得たところ
・「加奈子ちゃん(技のデパート)」を括弧で済ませるのではなく、文章で表してほしかった(この票の参照用リンク)
これも劇的。
登場人物の一人が亡くなってしまっている話なのですが、その悲しさを、物語が優しく包んでくれているように感じました。
描こうとする意思は技巧よりも大切で、それがきれいに結晶になったのだと思います。(この票の参照用リンク)
はじめのほうで、
「聞かないでください。」
「なぜかと問うようなやつはまぬけです」
とさっさと読者を突き放してしまって、その後の皮膚を三角定規で三角に展開することに一切の意味を見出さないように仕掛けてくるところがいじわるで好きです。(三浦)(この票の参照用リンク)
全体になかなか面白いのに、最後は個人的に不完全燃焼。なんとなく理解できるけれども、あくまでも、なんとなく。「気付いているのかも知れない。/よく見ると目の奥が、凍りつくほど冷たい。」という部分。もう少し理解しやすく、しかも情緒のある表現がここにくると、非常によかった。
「お父さんに一度も会った事が無い」の主語がだれか。これも、なんとなく、しかわからない。同じ部分の接続詞の使い方も感心しない。(梅田太秦)(この票の参照用リンク)
自由だなぁ。(この票の参照用リンク)
男主人公の微妙な感情が形になっている。要は単に期待と失望なんだろうけど、主人公が言葉にしない部分であるところに面白みがあると思う。
というわけで嫌いではない。(この票の参照用リンク)
悪戯を楽しむことができた。手紙の内容がもう少し詩的だったり、一工夫あると、さらにさらに楽しめただろう。
最後から二段落目「僕は、テーブルの上に〜」は無くてもよかったか。最終段落へのつなぎ方には工夫の余地あり。(梅田太秦)(この票の参照用リンク)
状況が面白い。ただのコント的な面白さではあるけど、想像を掻き立てられる。
最後の一行は意味がわからない。
(この票の参照用リンク)
天使の絵が描かれたカードや四十五円とは別の意味で劇的。
狂気を秘めた美しさのようなものを持っていて、何かに惹かれるとはこのようなものなのかと思わされました。
恍惚としているうちに車に轢かれそうで、怖いです。(この票の参照用リンク)
タイトル見た時点で、
ピンク色な想像をしてしまうのは育ちが悪い証拠ですね。
タイトルクリックして、文章が現れた瞬間にお茶、吹きました。
まるでむりやり小説スレの作品のようだ。
「●登場人物紹介」斬新過ぎる書き出しだ……恐るべし。
ただですら、少ない文字数で、こういうことやらかす発想がすごいと思う。
そして、いきなり第7話で、次回予告付き。
物語としては詰め込み過ぎな感は否めない。
それでも楽しめた。
この圧縮技術はちょっと真似できない。
1000文字ですら、ヒーヒー言ってるのに、それを更に狭めるとは……。
文体、文章のリズムともに読みやすい。
……ところで、タイトルに意味がないように思える。
あと細かいところを私情で突っ込みますが、
「▲」よりも「◆」や「▼」の方が視線の流れを想定した上ではいいような気がします。
あくまで私情ですけど。
他の作品に比べ、読ませる技術の高さを感じた。
(この票の参照用リンク)
ものすごく劇的です。
このような場に立ち会った方は別の感慨を持つのかもしれませんが、恋に恋するような心境で読む人にとっては、感動を禁じえないのではないかと思いました。
心を届けようとする作家さんの姿勢が、好きです。(この票の参照用リンク)
タイトル通り、まさに藻屑になる話。
これから起こることを連想させ、その恐怖感が感じさせる技術が正直、見習いたいです。
(この票の参照用リンク)
予選を通過したもののうちから必ず優勝者が出るという現行のシステム上、予選は通過して欲しいものの優勝するにはなぁ……的な作品が多い今期では、予選投票のうちにはねなくてはいけないので、今期は「なし」でお願いします。(この票の参照用リンク)