第60期 #16

少年たちは薔薇と百合を求めて

●登場人物紹介
【うちゅう】ヒーロー。小四の宇宙人。外見は地球人だが暗所で目が光る。直情的熱血漢。
【妖怪】デブ。河童と人間の混血児。性格の悪い嫌われ者。
【メカ】物語の語り手。日本の手仕事の粋が集約されたロボット。機械だから冷静。

▲あらすじ
 多摩丘陵にある特殊学級。そこは現行の法制度では許容できない児童の収容所。迫害され自閉する児童たち。しかし【うちゅう】だけは違った。
「腐ってたまるか」
 【うちゅう】は【妖怪】、【メカ】を伴いコマンチ団を結成。異端の烙印を剥ぎとり社会との接点を模索しろ。すすめコマンチ団!

■第七話 転校生
 教室が騒がしい。級友たちが一人の少女を囲んでいた。滴る黒髪。円らな瞳。ほの白い頬。桜色の唇。転校生は美少女だった。
 また、この特殊学級には珍しく異常な箇所が見受けられない。機械ゆえ性欲の無い僕も興味をもった。
「俺【妖怪】。よろしく」
「俺は【うちゅう】。こいつ生臭いだろ、半分河童なんだ」
 転校生の名前は***。***は困ったように微笑した。
 しかし翌日に不可思議が起きた。
「お名前は?」
 彼女は級友の名前をすべて忘れていた。翌々日も、翌々々日も。これは一体どういうことなのか。
 <略>
「帰れ」
 ***の家の玄関の前に男が立ち塞がる。
「やれ【妖怪】」
 【うちゅう】が命令を下す。【妖怪】が必殺技である腹波動を繰り出した。腹の脂肪を振動させ、蓄積された力を前方へ放つ。
 男は後ろに吹き飛ぶ。その隙に僕らコマンチ団は***の家へ雪崩れこんだ。
「【うちゅう】くん!」
 ***の声が聞こえた。***は一人ではなかった。***と同じ顔をした人間が少なくとも六人いた。
 成る程***は六つ子だったのだ。交代で登校していたから名前を覚えられなかった。彼女たちは複製人間らしい。
 毎日のように悪い宇宙人に誘拐され記憶を奪われていたという【うちゅう】の推理は外れた。
 僕はこの美少女転校生を【無垢】と名付けることにした。

★次回予告
 宇宙飛行士になって故郷に帰る。【うちゅう】の夢だ。憎悪だけは天才的な【妖怪】が言った。
「NASAに行っても実験で殺されるだけじゃね?」
「…お…お父さ…宇宙に……帰り…」
 鬱になる【うちゅう】。
 僕らはさっそく心療内科へ。そこでSAD治療に通っていた【ばるぼら】という女性に出会う。元教師だと言う【ばるぼら】さんが僕らに語ってくれた話は世にも恐ろしい真実だった……。



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