第60期 #6
僕(ハンニャ)は、地下牢へ続く短い階段をゆっくりと降りようとしたが、途中から2段飛ばしで駆け下りた。僕(ハンニャ)の怒りはもう、自分ではどうにもこうにも、言葉ではとても言い表せないような、自分の全”生まれてきてから死ぬまでに使う力”をもってして爆裂させんばかりだった。
そこには、ものすごい数の牢屋があった。100部屋くらいあった。1部屋に2人ずつくらいぶちこんでいる。
「おら!」
僕は、あっつあつに焼けた鉄の棒で、床を思いっきり叩いた。棒の持つところはちゃんと熱くないような工夫がなされている。
「よくもやってくれたな、おまえら、おれよりもおもしろいことをいっぱい考える人たちめが。」
僕はまず、ダウンタウンが閉じ込められている牢の横のほうについているスイッチのひとつめを押した。すると、鉄格子の内側に、水がもれないようにぴっちりと強化プラスチックの蓋が閉まった。
「おまえら、先週もいっぱいこのおれよりもおもしろいことを考えやがって。自身なくしちゃうだろうが。」
2つめのスイッチを押した。すると床から噴水か? これはもしや噴水か? と思わんばかりの噴出しっぷりで水責めがはじまった。
「おまえら、この世で一番おもしろいことを考えるのは誰だ? 言ってみろ!」
松っちゃん「ハンニャさんです」
浜ちゃん「ハンニャさんです」
「このくそド素人が!」
僕はダウンタウンに生ゴミを投げつけ、容赦なく3つめのスイッチを押した。すると天井にある隠し部屋の蓋が開き、空気が抜けたビニール製のシャチが降ってきた。僕はビニール製のシャチをパンパンに膨らませた。
「おい、よく見とけ!」
僕はシャチのおなかをパンチした。見事、シャチは破裂した。
「どうだ、おれは天才だ!」
おれはふと思い出し、100mほど向こうに閉じ込めてある人をこらしめるため、走った。いくつもの牢屋を通り過ぎた。通路を走るおれを、ぐるぐる巻きにされた鳥山明が見ていた。
おれは汗をかいていたので、エアコンの設定温度を2度下げ、リモコンを藤子・F・不二雄のおでこに手裏剣のように投げつけた。おれは前だけを見て走った。
「杉浦! ハア、ハア。杉浦茂このやろう!」
杉浦茂の牢屋にたどり着いたおれはそこに立ち尽くした。杉浦茂はいつのまにかいなくなっていた。