第33期予選時の投票状況です。16人より36票を頂きました。
# | 題名 | 作者 | 得票数 |
---|---|---|---|
7 | 樋口 藍 | 桑袋弾次 | 4 |
22 | 大きな魔法のじゅうたん | 川島ケイ | 4 |
25 | 心臓 | qbc | 4 |
28 | 蝶が翔ぶ日 | 海坂他人 | 4 |
29 | ロボット | 佐倉 潮 | 3 |
30 | 雨 | 戦場ガ原蛇足ノ助 | 3 |
17 | 五月、僕は図書館で | 真央りりこ | 2 |
26 | 雪の国 | 三浦 | 2 |
32 | 梅見ごろ | 曠野反次郎 | 2 |
2 | 繰り返される死 | 神崎 隼 | 1 |
5 | ダンディの憂鬱と涅槃 | とむOK | 1 |
6 | 怒顔の行方 | さいたま わたる | 1 |
8 | 顔文字家〜朝の出来事偏〜 | 千葉マキ | 1 |
14 | 白昼夢 冒頭 | くちなし | 1 |
15 | 青いワンピースの女 | 朝野十字 | 1 |
23 | 善悪の彼岸に、回る観覧車 | るるるぶ☆どっぐちゃん | 1 |
24 | 五月の決意 | (あ) | 1 |
「どうしたんですか」と聞かれて、
「きょうは、20年にいちどの消防訓練だから」と答えるところが最高です。
いきなり本題で、男達のもやもやがよくわかって、最後はスカートめくれて本当によかったなあと思いました。(この票の参照用リンク)
不釣合い過ぎるタイトルに。(この票の参照用リンク)
趣味で選んでコレ。
1000字で書くのは難しい。なぜなら読者をひっぱりこむまでの前戯する時間が少ないから。というわけで初読でおもろかったコレ。タイトルで感じたコレ。(この票の参照用リンク)
とりとめのなさが新鮮でおもしろかった。
タイトルの付け方に、にやりとしてしまった。(この票の参照用リンク)
素敵な話だと思った。(この票の参照用リンク)
私は全くのリアリズム小説と読んだが、言われてみれば確かに、冒頭の「ブランコ」と言い、「球体の内側に私たちがいる」という発想と言い、私たちの住んでいる現実とは微妙にずれているようでもあって、やや受け取りにくい所はある。
しかし「この世界がどういうものかなんて、誰もはっきりとは分かっていない」と言われると本当にそうだと思えるし、「世界は魔法のじゅうたん」という考え方も夢があってよい。
そしてその上に「キイチ」という人物もよかったし、話者と彼との距離感も心地よかった。やはり『短編』には居てもらいたい作者であるとおもった。(この票の参照用リンク)
ファンタジックな世界をありがとうございます。じゅうたんを飛ばしているのではなく、空を飛ばしているという発想がすてきです。
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ちょうど春で夢見がちな季節なので。
これを読んで何となく夢の中にいるような気分でした(この票の参照用リンク)
岡田史子さんの『Kaen』を思い出しました。
最初自分の心臓を捜していても、最後には他の人の心臓を奪おうと躍起になっているのが、滑稽であり、それでいて笑えない感じがします。(この票の参照用リンク)
「心臓」…「心」ではない。生理的欲望の証? 跳ね返って聞こえる程度のもの、と言われるとまだ解釈に苦しみますが。
見に覚えのない災難…裏目に出る、人と違う自分、違和感。自分の存在を肯定できない男の悲劇。
「気づいてみればその程度」と周囲に言わしめるシロモノを、ただただ渇望しなければならない男。
ここで描かれているのは、慢性化したいじめられっ子の心理とか、マイノリティーの被害者意識とか言い得るものなのではないでしょうか。随分怖い作品に仕上がっているように思えますが。(この票の参照用リンク)
私に聞こえるこの心音が果たして私自身のものかどうかどうも心許なく、自信がなくなってきたので。
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からだの、奥のほうからの、分泌物の匂いのする文章、と思います。
<俺も正常に脈打ちたい>
これほど、切実な肉体の欲求は、ほかにないでしょう。
いや、俺はいつも正常に脈打ってるけど、と言い張る人間をあたしゃ信用しない。
そんなのはごまかしにきまってる。
新聞なんかはJRの企業体質云々を糾弾するけれども、そういうことじゃないんだよ。
自然の摂理、宇宙の大法則に従った「脈打ち」が、われわれの肉体から失われている。
それで、書き出しがちょっと気になります。
「気付けば身に覚えのない災難ばかり」
前作が、「学校は名を変えた刑務所に違いありません」。
なんかこう、きちっとハメようとする気配が感じられます。
「むかしむかしあるところに」みたいな。
古典的語り部の霊が背後にいて、作者をハメようとしているのかもしれない。
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父親からこんなことを言われるシチュエーションなんて、私なら恥ずかしくて恥ずかしくて恥ずかしくて恥ずかしいです。ということで最後に柔らかく微笑んだ、できた娘さんに一票。(この票の参照用リンク)
娘の彼氏に対して、娘は自分のものだったと告げたい。娘の処女性を確認したい…それを現すのは、警官に痣のことを言い出せない父親。連れ去られながら笑顔である娘を夢に見てしまう父親。
「内股の痣」、にはエロティシズムを伴うイメージがどうしても想起されてしまうので、「気恥ずかしさ」だけで押し通すことは少し無理があるのではないかと思ってしまいました。そう読んだ私がエロいだけなのでしょうか。うほほほ。(この票の参照用リンク)
読み手にゆだねられた部分が大きいようで、どこまでマジなのかよくわからないところが面白かった。(この票の参照用リンク)
やはり、うまい。
長編の一部を読んだ感じがした。(この票の参照用リンク)
今期一番面白い作品。人間ならある程度、「感情だから仕方ない」ですみそうなところを、融通のきかないロボットがこの話の終わり以降も延々とぐるぐるしていそうなのが微笑ましくてえげつないです。(この票の参照用リンク)
司馬遼太郎は、いくら科学が進歩しても、人間が生きる世界の中で恋愛と政治だけは解明できない謎として残るであろうという意味のことを言っていた。一方、科学者に言わせれば、ロボットを研究する目的の一つとして、人間の動きや何かを再現しようとすることによって、逆に人間を理解できるということがあるらしい。
まさにこの作品においては、ロボットという架空の存在を舞台にすることによって、恋愛というきわめて人間らしい心の動きを捉えようとしたと言っていい。しゃれた作品に仕上がっていると感じた。(この票の参照用リンク)
ただただ好きです。可愛らしいロボットの思考や仕草がとても良いです。ロボットって進化につぐ進化をしたら、その先は人間になるしかないのかしら、とちょっと思ったりしました。(この票の参照用リンク)
この男何をやらかしたんだろうとかなり気になります。
でも、雨ですべて消えてしまうんだろうな。(この票の参照用リンク)
一層やかましくなる雨に。(この票の参照用リンク)
「見知らぬ家の屋根に放り投げたナイフ、浮浪者にくれてやった手袋、そして他ならぬあの男」
のあたりをバラけさせて描写させた方が良かったのかも、その方がいかにも私はこういう人間です、といった説明的にならずに済んだかも、といちおう文章を書く人間としては書き方として思うけど、このぐだぐだした行きつ戻りつの文体に、こういうおはなしを合わせてきたのは、けっこう、ちょっと、いやかなり、いや相当、自分にとっては発見でした。
面白い。
この文体と殺人という行為(でいいんですよね?)の後の所感というマッチングは、面白い。
みなさんどう思いますか?
と決勝でもっと考えたいみたいな所も含めて投票。(この票の参照用リンク)
目に浮かぶように頭の中へ映像が流れてきて、気持ち良かった。
見る小説と言う感じ。(この票の参照用リンク)
落ちてくる表紙の空に。(この票の参照用リンク)
「転がし」は村で殺した人間の死体を谷底に落とすという解釈でいいのでしょうか。何を落としているのかわからないけれど真剣だという大人の世界をおぼろげに見ている子どもの、性の目覚め。性欲とタブーがリンクする感覚。その結果、射精の快感を罪悪と捉え、だからこそ燃えるという小児神経症的な男性がここに一人誕生。これも怖い作品ですね。(この票の参照用リンク)
寒い風景が呼び起こされた。(この票の参照用リンク)
人物とその配置に妙がある。
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「ひゃあ」と言った一読目、二読目に唸り、三度読んで悔しがる。濡れたような艶のある文章がとても素敵です。(この票の参照用リンク)
なんだ、ありふれたファンタジー世界の戦記かと思ってたら、オチがあったので。(この票の参照用リンク)
かゆみに勝てない。どんなに愛しい人と一緒でも。
そこのところよーく表現されている。面白い。(この票の参照用リンク)
とにかく面白い。良くこれだけ並べられた。(この票の参照用リンク)
怖いです。
5回くらい読み返しましたけど、やっぱり怖い。
感情を記号で処理するという発想も確かに怖いんだが、それ以上に、無機質感というんだろうか、会話する家族の肉感がまったく感じられないのがほんとうに怖い。
あたしゃ年寄りだから画面で読むのがつらくて、文字間を広めにとって、縦書きに変換したものをプリントアウトして読んでるもんだから、顔文字がほとんど読み取れない。だからよけいにそんなふうに感じられるのかもしれない。
こんな言い方をすると作者の方に失礼かもしれませんが、たまにぶらっと、近所の小学校の展覧会を観に行くと、美術館なんかよりずっと面白いことがある。乱暴だけども、すっと突きぬけてくる。そういう面白さが、この作品にはあると思います。
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驚きました。私も昔、まったく同じような夢を見たことがあります。
できればぜひ、続きを読みたいです。個人的にでもいいので、よろしくお願いします。(この票の参照用リンク)
似たり寄ったりの話ばかり集まった感がある。「十分で一枚の絵を描け」と言われて皆が皆色鉛筆を手に取ったような、「千字とはこういうものである」という思い込みに則って書かれた話が多いように思う。画材はパステルもクレヨンもあるし、ボールペンでだって絵は描けるし十分で油絵に挑戦したってよさそうなものなのに、みなさんお行儀がよくていらっしゃる。
他の作品と似ていない作品を探して、著しく違うというほどでもないがこれに投票。最後の一文で話が一気に陳腐になったのはもったいないが。(この票の参照用リンク)
俺の読解力がないせいなのかもしれないけど、わけわからない。
でも、様々かつ鮮烈なイメージが次々に現れては展開していくこの世界は、そもそも理解できなくて当然だと思うんですよねー。
要するに風景は見るものの心に委ねられるわけで、解釈なんてその時々の読者の背景や気分に拠る。
俺には、このおはなしが、神話の復活に見えた。
日本の警察は優秀だ神話の崩壊とか、とかく現代の神話は崩壊するものと決まってる。
でも人間、絶対的なものを信じたがってるわけですし。
だから、
「本当ね。でもあなたが来たら、みんな喜ぶわ」
「そうかな。みんな忘れてないかな」
「そんなことは無いわ」
って会話があると俺には読めた。
みんな神様が再臨するの待ってるんだ。
要するにロールシャッハみたいです。(この票の参照用リンク)
最初に提示された「僕」の「不思議とうれしい気持ち」が、全体を通じてよく表現されていた。この作品に関してはその一言に尽きる。特に「『何か他に反応ないわけ?』/ 一体僕にどうしろと?」という辺り微妙な雰囲気が出ていてよかった。
そういう伏線があったのはいいが、最後だけはやや木に竹を接いだような印象だった。話者の内面と、外界とでそれぞれ事件が起きているわけだが、内面での回心はそれとして、外界でことさらに起きた事件の方が、解決していない感じである。好みの問題だとはおもうが。(この票の参照用リンク)