第7期予選時の投票状況です。18人より50票を頂きました。
# | 題名 | 作者 | 得票数 |
---|---|---|---|
22 | 怪奇実話 鳥人事件の大真相 | 紺詠志 | 7 |
8 | 厠へ | 逢澤透明 | 6 |
7 | 夜空とエクスペリメント | ラリッパ | 5 |
18 | ゴーゴーパンチ | るるるぶ☆どっぐちゃん | 5 |
14 | 赤い小さなマール | 川島ケイ | 4 |
6 | バランディオ | 野郎海松 | 3 |
9 | 懐刀と丸腰 | 妄言王 | 3 |
10 | (削除されました) | - | 3 |
13 | 愛なかりせば | 朝野十字 | 3 |
20 | トンネル | 曠野反次郎 | 3 |
17 | ささやかな贋・預言の書 | 海坂他人 | 2 |
1 | ブレーンリーダー | 斉藤 琴 | 1 |
3 | 自動ドア | のの字 | 1 |
12 | 無風状態 | 戸田一樹 | 1 |
15 | 告白 | Nishino Tatami | 1 |
21 | どっちもどっち | 朽木花織 | 1 |
- | なし | 1 |
この作品と、「懐刀と丸腰」は、どちらも文章が上手いのでうなった。どちらにするか迷ったのだけど、「懐刀と丸腰」は最後に薄笑いするのが、好みではなく、愉快にバサバサ去っていくこちらに一票にしました。(この票の参照用リンク)
一気に大正ロマンな世界観に引き込む、力量に一票(この票の参照用リンク)
この作者に期待するものは大きいです。しかし今回は、いい意味で裏切られたのでここに推薦します。
ついどうしても『普通に』読んでしまうのですけど、一つの作品にこれだけバラエティに富んだ表現を詰め込み、『普通に』読ませてしまう技巧にはただただ驚くばかりです。(この票の参照用リンク)
本当に1000字なのか、と初読時に驚いた。
1000字に挿話できるとはねぇ。
こちらも「パランディオ」同様、「悪漢小説(ピカレスク・ロマン)」になるのかもしれない。
挿話も本筋とバランスがよく、面白い。
とぼけたキャラクタが見事。
<久遠>(この票の参照用リンク)
宮武外骨の『滑稽新聞』を思わせる文章力の妙。(この票の参照用リンク)
今回参加作の中で最も異彩を放っていたが、作者がこの題材を心から楽しんで書いているのがよく判る。それが読んでいて伝わって来た。(この票の参照用リンク)
「たゞ飛びたいから飛んでゐただけであります。」これは真理。
黒猫が横切ったのに意味はない。黒く生まれついたネコがただそこを歩いただけ。(この票の参照用リンク)
新鮮で、洒落ていて、よいです。パッパッと場面を切り替えるフランス映画みたいな感じ(というのはとってもいい加減なたとえだけれど)(この票の参照用リンク)
ストーリーがあっちこっちに飛ぶ、なんとも急がしい展開だった。ただそれを全部ひっくるめて見ると、やはり秀作と言えるんだろうな。(この票の参照用リンク)
今回は一見バラエティに富んでいるようにも見えるが、一作ずつ検討してみると、強く推せるものはなかった。その中でこの作品は比較的立体的な小説を作ろうとする努力が感じられた。(この票の参照用リンク)
しまった。やられた。油断した。1000字の書き手としてこれほどくやしい作品は無い。嫉妬した。伏線の使い方がおそろしい。引用に騙された。悪魔的だ。
宗教にもよるが、生贄には処女がつかわれる。それ以外の女には価値が無い。死体も同然だ。主人公は冒頭で女を殺した。悪魔の偶然によりその行程は変化したが、到着点は同じである。処女を奪ったのだ。女は死んだ。主人公は悪戯に気づいたのか厠へ行く。厠に血の池はない。ではどこにあるのか。凶器はどこに行ったのか、何なのか。ススキと月は気がついたのか。
気がついたのは、行き先を問う、鮮血を流した憐れな女だけなのかもしれない。
個人的には、7期にこれ以外無い。(この票の参照用リンク)
「悪魔」の扱い方に一票。「パズルのワンピース」のような、時空をバラバラにした感じがするので(それが作品の狙いだと思いますが)、賛否両論ありそうな世界観。それだけに好感が持てる。(この票の参照用リンク)
なかなか複雑な作品で、すべてを隅々まで理解しての支持とは言えないかも知れないが、この作品の作り出している一種独特な時空間を共有できたかという思いはあった。(この票の参照用リンク)
「きゃっ」と声をあげる姉さんが可愛らしいし、なんといっても父と息子の関係が素敵です。男同士ゆえの仲間意識がよく描けていると思います。(この票の参照用リンク)
尻がいわゆる生尻であるかどうか不明なので、パンツと同様に湯を父親の尻と共有することに対する嫌悪と、尻を父親に見られることの嫌悪とに、比較の材料がないのだが、姉ちゃんは後者より前者を嫌ったのであろうと見て、そのちょっとしたナンセンスが愉快である。ノホホンとした父子が、いかにも退屈しのぎといったふうで尻を実験する。これはささやかな復讐なのでもあろうが、それを自覚していないようなふたりがまた愉快である。ほのぼのとしたバカ話の佳作だ。(この票の参照用リンク)
小粒だが良くまとまっていると感じた。こんなふうな誉められ方は作者には不本意かもしれないが。(この票の参照用リンク)
冷静に考えればややムリのある話だが、そんなことは脇に置いておいて純粋に楽しめる作品。その昔トランシーバーやラジコンなどの遠隔操作電波玩具を楽しんだ少年の日々を思い起こさせる、実はノスタルジックな世界。無敵の遠隔操作電波玩具である携帯電話の存在がこのオハナシを成立せしめているが、あとひとひねりして携帯電話ナシで構成できたら、もっと良かっただろう。もちろん他にどんな方法が取れたのかというようなことは、私には分からないが……。もちろんこれだけでも三回転ジャンプの域には達しており、王者となっても恥ずかしくない作品だ(キャッ)。(この票の参照用リンク)
体から外された「姉ちゃんの尻」をつつくという奇妙なアイデアに一票。(この票の参照用リンク)
怪光線をパンチで弾き返す姿がなんとも言えずよいです。最後までひたすら弾き返していてもよかったかもしれない。(そんなことはないかもしれない(この票の参照用リンク)
タイトルがいい。そして期待を裏切らない、ゴーゴーパンチな内容がいい。主人公はボクサーとしての成功を求めてがむしゃらになぐってゆくが、しかし、さほどゴーゴーでもない気の迷い――断ちがたい人間的な弱さをかかえている。それ(宇宙人の問い)がいささか出しぬけであったが、KO後のシーンにつながってゆくのが見事。これにより現実とも非現実ともつかぬ世界の転換に不思議な臨場感があった。(この票の参照用リンク)
予選には三票あるのですが、最後まで、三票使い切るか、推すものもないのなら、三票でなくてもいいか、と思ったりもしたのですが、何度か候補作を読み返しているうちに、この作品に票を入れたくなってしまいました。なんとも滑稽なところ、残酷なところ、そして文章のセンスというか、醸し出すカッコ良さが、他にはない魅力だと思います。(この票の参照用リンク)
テンポよく物語が展開し、短編のお手本のような作品。
タイトルのネーミングにもセンスが光る。私にはオチが分からなかったけど……。(この票の参照用リンク)
宇宙人が襲来し、これを一ボクサーが試合に勝って撃退するというお話は荒唐無稽のようであるが、その最後に至って、人間の普遍的な感情をみごとに捉えていると感じられた。(この票の参照用リンク)
エッちゃんとマールの交歓がよい。そしてこんな小さな者たちの間にも、通い合えないものがあるからには、大人の世界がどんなものか推して知るべし……というところか。(この票の参照用リンク)
童話ですかね。でも、しっかりしたつくりで好感。(この票の参照用リンク)
やばい、惚れた。こういう話はどうあがいても書けないので、書ける人にはすごく憧れます。(この票の参照用リンク)
マールは転がることはできてもしゃべれないのがミソで、しゃべると陳腐になってしまう。紙一重である。(ラ)(この票の参照用リンク)
哀感がたまらない魅力のピカレスク小説の逸品。
梶井基次郎の「檸檬」でも5800字以上。これほどのドラマを有しながら1000字で描ききっていると見た。もし骨格だけだったとしたら、このペーソスは迫ってこないはずだ。では何故、この短さで、この素材を活かし得たのか。作者は悪漢バランディオに共感と同情をもって描いているからだろう。所詮世の評価などこのようなものなのだ。かつてキリストもこのようにして世から締め出されたのである。(この票の参照用リンク)
バランディオ/野郎海松
経緯の詳細を述べず、ただ流れ者の身の置きどころの変遷を追ってゆき、ついには闇を疾駆する孤独な姿へと還る。あまたの異名だけを残して。ひとりの人間の半生の簡潔な記録であり、いわばプロフィールであり、この手法における成否は、読者がバランディオという人物を好きになれるかどうか、というところだろう。私は好きだ。読みがなはできるだけ使わずにすむよう工夫したほうがいいと思う。(この票の参照用リンク)
「悪漢小説(ピカレスク・ロマン)」は好みなので。
文体は違うが、「幻影(まぼろし)の盾(夏目漱石)(http://www.aozora.gr.jp/cards/000148/files/780.html)」を感じた。
パランディオが生き抜くたびに異名が増えていく。
その凄絶な過程と飄々とした有様の対比が面白い。
「蝙蝠」の異名だけ括弧付き、というミスも、テンポの良さで気にならなかった。
中短編で読みたいが、テンポの良さと緊迫感が残せるかどうか。
<久遠>(この票の参照用リンク)
違和感なく読めてしまい、題材が平凡だと思いました。
しかし、読みなおしてみると、表現がよく配慮されていることに気付きました。
わずか1000字でここまでの歴史物を定番通りに仕上げる技量こそが評価すべきところだと感じました。(この票の参照用リンク)
「浦賀沖にて」とどちらにするか悩んだ。
考えるに、「懐刀と丸腰」も「悪漢小説(ピカレスク・ロマン)」か。
最後の一行で、見事腹かっ切り、刎頸の友に応えた坂江の心情を察して、こちらに。
<久遠>(この票の参照用リンク)
良い作品です。すうぅぅっと読めました。
ただ最後の一文「初めて薄く笑い、」ここ。
ここは笑って欲しくなかった。そこだけ引っかかった。(この票の参照用リンク)
駄洒落的な直滑降なオチに一票(この票の参照用リンク)
すぐに筒井康隆のエロティック街道を思い出した。どうも既視感とはやっかいで、たとえば降雨機械も、面白いし以前読んだ記憶もないのだが、教授と悪魔というだけで既視感が邪魔して思考停止してしまう。というわけで三票目はトンネル、のつもりが最後にふと気を変えて降雨機械を推す。(この票の参照用リンク)
「がす」につきる。
この口調で悪魔がバカっぽくなり、騙される教授はさらにバカとの図式が成立して、雨乞いダンスがおかしく感じるのだろう。(ラ)(この票の参照用リンク)
単なる思いつきやムードでないものがあって、まともにぶつかっているところに好感。ただこのタイトルはどうだろう。あまりにも内容とぴったりし過ぎているのではないだろうか。(この票の参照用リンク)
今回は、読めないほどひどいものはなく、質的に一定レベルの作品が集まっていたと思う。が、欠点というか気になる点、手放しで楽しめる作品というのもなかった。
そのなかで、この「愛なかりせば」は、「この世に愛なかりせば」というところで素直にじーんと来た。ただ、問題がないわけではなく、一番は「愛」という名の女性の行動が不可解なことだ。唇も許さなかったのが、どうして最後に許してしまうのか。そのあたり微妙に変ですっきりしない感じを読後に残した。設定や話の展開は耳にタコができるほどありがちであって新鮮味はなかった。でも、料理のしかたはセンスよかったのではないかと思う。(この票の参照用リンク)
物語の筋としては特筆すべき点はない。亡妻に思いを残す男、見守る女、近づきたいが近づけない、このもどかしさはドラマでもよく見るありふれた素材だ。しかし、ありふれた素材であるからこそ人は無条件に愛するのであって、何かひとつ気の利いたエッセンスが小サジ一杯分でも盛られれば、物語は非常な輝きを放ち始めるのである。この作品での小サジ一杯分のエッセンスとなっているのは、もちろんタイトルの「愛なかりせば」と、その作品への組み込み方だ。愛は概念であり、人名であり、人が生きるために必要な全ての象徴なのだ。アリアリの王道で勝負した潔さと手堅さ、一味加えたセンスは買うべし買うべし。(この票の参照用リンク)
ううむ。文章力と雰囲気に1票いれます。(この票の参照用リンク)
不条理な世界観である。不条理というのは突拍子もないということではなく、AはAであり、Bでもあり、Cという側面も持ち、すでにAとは言えないまでもやはりAなのだ、というような、人間を幻惑させる複雑怪奇な多分岐性と「でもそうなのだ」という問答無用の絶対的帰着が同居しているということを言う(と私は感じている)。人はダイヤモンドに様々なイメージを投影するが、その本質的部分においては単一元素の結晶というに過ぎない、それと同じことだ。この作品においての単一元素は「闇という異世界性」ではないだろうか。人間は物理的な闇を克服しはしたが、精神的な闇を克服することはついにできないのである。トンネルは別の世界同士を結びつけるものであり、異なる原理が溶け合い同居するステージとしてまさに適切であった。うまうま。(この票の参照用リンク)
この小説のつぼはやはり一膳飯屋だろう。これがなければなんとなくわけが解ってしまう。ほどよく解らないのが心地よいのだ。(ラ)(この票の参照用リンク)
上手な日本語と、時事ネタの上手な扱いに一票(この票の参照用リンク)
たった今を現在をモチーフにして、こういうフウに表現したのか。と、興味深く面白く読んだ。
相変わらず達者な日本語使いで感心。(この票の参照用リンク)
初読時に、アリス→アーヴィンより少し年上のジョージの娘、と想定したせいでオチが全然理解できなかった。
おそらくこれは、俺→五十代前後の中年という構図が本文中に明記されていなかったことが原因と思われる。ただ、最後の締め方は好みでした。(この票の参照用リンク)
ホラーですねえ。じわっと怖いところが好きです。(この票の参照用リンク)
最初手抜きと思った。読んでみて違うなと思った。途中にあってもいいはずの多くの文章を、余計なものとして情け容赦なく切り捨てた、そんな印象を持ちました(違っていたらごめんなさい)。いろいろ想像できて楽しかった。すごくカッコいいと思いました。(この票の参照用リンク)
ベタ。でも笑ってしまったのだからこれは負けかと。(この票の参照用リンク)
この作品だけは一読で投票を決めました。終わりの部分の力の抜き具合に好感が持てたので。その辺りの文は個性が出ていてよかったです。
再読すると文章の落ち着きのなさも気になりましたが、第一印象を覆すほどではありませんでした。(この票の参照用リンク)
今回は悲しいことにどんぐりの背比べ。(この票の参照用リンク)