第30期予選時の投票状況です。15人より27票を頂きました。
# | 題名 | 作者 | 得票数 |
---|---|---|---|
6 | 麦畑 | 神藤ナオ | 3 |
23 | 雨上がり | 曠野反次郎 | 3 |
5 | 硝子鳥 | 黒木りえ | 2 |
10 | 恋 | 長月夕子 | 2 |
18 | 夢の終わりに | サカヅキイヅミ | 2 |
22 | 道行 | くわず | 2 |
3 | 欠落 | 清水ひかり | 1 |
4 | どんどん、にゃー | 朝野十字 | 1 |
7 | 幸せはこび | Tanemo | 1 |
8 | いつかなくなる夜 | 八海宵一 | 1 |
11 | 明日逢った少女 | 無明行人 | 1 |
14 | 『パパはミサイルパイロット』 | 橘内 潤 | 1 |
15 | 沈黙 | 江口庸 | 1 |
16 | 異教徒たちの踊り | 宇加谷 研一郎 | 1 |
19 | 冬の帰り道 | 真央りりこ | 1 |
21 | マスター・オブ・カウンター | 斉藤琴 | 1 |
24 | 理由 | 五月決算 | 1 |
- | なし | 2 |
前作と合わせて、この方のファンになりそうです。(この票の参照用リンク)
なんだか、とっても微笑ましい話で、好きです。(八海宵一)(この票の参照用リンク)
最近ではミステリーサークルといわれても宇宙人と結びつけて考えることはなくなってしまいましたが、なんかのんびりとかひんやりとかしたような雰囲気がよかったかと思います。(この票の参照用リンク)
全体的に読みやすくかつ。面白かった。(この票の参照用リンク)
単なる初読の印象になってしまうが、この「雨上がり」は私にとって非常に奇妙であった。
読んでいる間、私は書かれている事柄にではなく、私自身にただただその視線を向けていた。950字を読み終えるまで、私は寸分狂いのない私と向き合い、それ以外のあらゆるものが存在しないかのような、静かな対峙をしていたのである。私のあるべき雛型を見たような、そんな安らぎすら覚えた。すとん、という感じ。
そうして読み終えて、再び作品に目を落とすと、あたかも私以外の世界要素が相も変わらずそこに存在し続けていたことを告げ知らせるいたずら書きのように思え、幾分ぞっとしたのである。
恐らくこんなことは作者の意図するところではなかっただろうが、そう読んでしまったのだから仕方がない。(この票の参照用リンク)
誤字が多いけれども、これ。(この票の参照用リンク)
世界観がありますね。あと「ぐんなり」という表現がなんとなく好きです。(この票の参照用リンク)
どの作品もひとつ足りなかったりひとつ余計だったりする印象が強くて、消極的だけど短いというだけでこれを推します。最後の『と言う硝子屋は〜』は無い方が好みです。(この票の参照用リンク)
この人は安定してますね。(この票の参照用リンク)
とってつけたようにゲイが出てくるのは好きではないのですが、それ以外のところがよかったかと思います。ただ、「矯正視力0.5の見える範囲まで」とか、「左手だけが振り返って」とかは、同じことを面白みの無い表現で書いておいた方がよかったんじゃないでしょうか。インパクトのある言葉に頼らなくても、ちゃんと書きたいことは書ける人だと思いますし、その辺のさじ加減によってはすごく面白くなる気がしました。(この票の参照用リンク)
千文字という比較的短い文章では、起承転結の濃度を書き手の感覚で自在に変えられる裕度が高いところが、面白みの一つだと思います。
この作品は起承転結の濃度が薄い方のものかな、と。作品自体が大きな起(プロローグ)のようにも感じられます。
面白みは個々のフレーズに感じました。もっとも、少し、詰め込みすぎの印象も受けました。けれども、それらをゴタマゼにしても、変に理に落ちていないところが、作者の美意識だと受け取ったので、1票を入れます。(この票の参照用リンク)
作者は、ただ幻想的な風景を描くことに執心していたのだろうか。
そうではないと仮定して、私なりに解釈してみるに、この作品の底には「老い」や「過ぎ去ること」への怖れとでも言うようなものが流れているような気がするのである。
「イノセントな風景」「幼く優しい時代」とは、現実的な時空間から隔絶された僻地である。つまり、時間的な意味では、“圧倒的な現在性”だけが在る場所。そしてその場所を創り上げているのが、砂浜に詩を綴り続ける老人である。またも勝手な想像であるが、老人の詩は、呪詛のように同じ言葉を何度も何度も繰り返して書かれているのではないか。そして、何度も書かれた同じ詩を、同じリズムで波が攫って行く。老人は、現在性と戯れているのである。何故か。
老人は、老いたくないのではないか。例えば「この波」「この風景」「この浜辺」と彼が言う時、そこに、自らの創り上げた素晴らしい風景に対する強い執着が垣間見られるのである。つまり、ナルシシズムである。しかし、老人は老いていく。指が減るのである。
これも推測であるが、「生まれた時から毎日綴っています」という謂いに、何か幼児回帰のようなものを感じる。老人は浜辺で詩を綴り、やがて赤ん坊に生まれ変わり、再び成長して老人へ。螺旋のような成長を、僻地で反復しているのである。更に乱暴な解釈であるが、痴呆から来る幼児帰りのようにも思える。
では、本来老人しか侵入を許さないような空間に、主人公は立ち入ったのか。残念ながらわかりかねた。が、粉微塵になった歩道橋に向けて「無理もない、あんなに錆びていたんだ」と言ってのけるならば、主人公は若く、過ぎ去ることに何の怖れも抱かない人間であると思われる。彼が来たからこそ、嵐が来るのである。夢を終わらせたのは、彼である。(この票の参照用リンク)
姉の描写が静かで美しい。
(この票の参照用リンク)
私にも姉がいるので。(この票の参照用リンク)
個人的に、間口が狭いが、その分解釈の深淵に底深く沈んで行ける小説が好みである。作者の意図しない捉え方かも知れないが、私はそのように読み、票を入れることにした。
風景自体や「モノト−ン」「灰色の世界」という語句から、単純に“死”が全編通じての基調なのであろうと思う。そこで、“何故「ピエロ」が死ぬのか”と考える。
ピエロはもがき苦しみ、断末魔の叫びを上げて黒い海へと沈んで行く。本来“道化”として、生の悲哀をコミカルに体現すべき存在のピエロが、死の間際で地を曝け出す。無理からぬ生の浅ましさである。ピエロはピエロたる自らの生涯を、その最期の一瞬で全否定する。すなわち、かつてピエロであった時の生涯は虚偽へと堕する。
私はこの“生きる”ということに潜む虚偽性を、「コンクリートの地面にいやけがさす」という一文にも読み込んだ。些か強引ではあるが、コンクリートは濃灰色であり、死の部類に入る表現であるように思われた。一見頑強で、そこへ生の安逸を感じられるかのようなコンクリートが、死の色で彩られているという矛盾。そこに、今主人公の立っている生への虚偽性・刹那性を感じ取り、尚且つピエロが醜く沈んで行った海から目を逸らしたのではないか。
そう考え至ると、「呆然と」ではなく、“生/死というものを見極めよう”という、強い意志のようなものが感じられてならない。(この票の参照用リンク)
ぱっと見でうけてしまったので一票。
ただ内容的にはもう一つこなかった。バカやるときはバカに徹さないとあまり意味がないと思うんですが。(この票の参照用リンク)
この雰囲気すごく好きです。やさしいような、さびしいようなそんな感じ。(八海宵一)(この票の参照用リンク)
おそろしく優しい、温もりのある作品。王道的。No.22「道行」もある意味で王道的だが、やや純文学的すぎて逆に物足りなく映った。これだけ作りこんだ力は通期でもトップクラスなのだが……。一方「いつかなくなる夜」は、やや(作者要因の)青さが残るものの、それをうまく作品に溶け込ませて魅力的に仕上げている。作者が自分のスタイルを掴んでいるという安心感と心地よさがある。(青いのは「でも、迷惑はかけない。」という一文) 冒険心あふれる奇を衒った文章もよく見かけるが、本当に強い文章はむしろシンプル、という好例。(この票の参照用リンク)
タイムパラドクスの話って、考えてると楽しいですよね。(八海宵一)(この票の参照用リンク)
完璧、かな。久々に突き抜けた作品。オフビートな語り口を基調としつつ「重さ」と「軽さ」、「暗さ」と「明るさ」を自在に使い分け、さらに「緩急」「高低」もついてきた。端的に言うと多層的。好みの逸品。勢い、スピード、テンポ、そういったものも備わっていて非常に素晴らしかった。ダイナミズムがあった。他の作品はおしなべてみな一本調子で、何やら画用紙をムラのない一色に塗りつぶそうとするかのような必死さが目立った。余力が感じられない作品は印象もややきつくなる。(この票の参照用リンク)
面白いと思うけどな。(この票の参照用リンク)
今回は#5『硝子鳥』か、な、と思いながらダラダラとスクロールしている最中にようやく指が止まった作品。その後、注目していたサカヅキイヅミが期待はずれ、その他の作品はいつも通りで言及する程でもないし、、『硝子鳥』はたぶん、「載る」だろうと思うので(多分『俎板に乗る』の意味だろうが、それでは『硝子』があまり活きないように思う為)、#16『異教徒たちの踊り』のみに投票することにする。
いいじゃないですか。『異教徒たちの踊り』は。思わず取り乱しますよ。夕暮れ、黄昏の逢魔が刻は異世界へ迷い込みやすい時間帯(らしい)なので頻繁に使われ飽きてしまった、うんざり設定だが、この作品は朝、朝といえばカフカ、もうギャグとしてもつかえない『変身』パロかと思いきや、主人公は淡々と自己分析し、眠る。そしてオチはやっぱり異世界へ旅立った、のか? この話の面白さには、こちらが安心してしまいました。(この票の参照用リンク)
真央さんの話は綺麗過ぎて今まで「どうもダメ」というか「守備範囲じゃないよなあ」というかそんなだったんですが、これは綺麗過ぎなくていいと思った。
好みをいえば、ゲロの一つでも吐かして、「だりー」とか「めんどくせー」といった感情を抱きながらも「私に知らせたかったんだ、見せたかったんだ。」だったらなと思うけれど。まあなんとも。(この票の参照用リンク)
もうちょっと描写とスピード感があっても良いとおもうけど、分かりやすい感じが好み。(この票の参照用リンク)
まとまってる感じが程好かったから。ちなみに上司は男性だと思う。(この票の参照用リンク)
今回はこれで。(この票の参照用リンク)
改行しすぎと改行しなさすぎも読んでいて疲れるが一番疲れるのが机上のほのぼの作品。(この票の参照用リンク)