第30期決勝時の投票状況です。9票を頂きました。
# | 題名 | 作者 | 得票数 |
---|---|---|---|
6 | 麦畑 | 神藤ナオ | 4 |
23 | 雨上がり | 曠野反次郎 | 3 |
18 | 夢の終わりに | サカヅキイヅミ | 1 |
- | なし | 1 |
改めて読んでみたら「特に意味のない金属」が妙にツボにはまり吹き出してしまいました。シュールな状況で登場人物がおしゃれに振舞う様が、何ともよい感じです。(この票の参照用リンク)
このスケールで、ほのぼのしているので、好きです。(八海宵一)(この票の参照用リンク)
絞られてみると、これが一番面白いと思いました。一度目より、二度目以降の方が読んでいて面白い作品です。出稼ぎに来た外国人の会話という感じがします。(この票の参照用リンク)
一票(この票の参照用リンク)
良いと思います。タイトルが話題としての一要素となっていて、小説を書く人間の心境という多層の類の本文にもう一層色味を掛けているのが鮮やかな印象です。(この票の参照用リンク)
加点でいくと、抜きん出ておもしろい作品はこれと言って選びがたいが、減点で考えるとこの作品が安定していて良いと思った。(この票の参照用リンク)
予選でも推したが、やはり良いと思う。
解釈の余地を与えない疾走感、というか迷走感があるように感じる。(この票の参照用リンク)
今期も懶惰により全作品を読むことは出来ず、〆切前日に予選通過作のみを読ませて頂いた。以下に簡単に感想をのべたい。
『麦畑』
ふつう宇宙人に遭遇すればもっと怖がったりするのではないかという疑いを持って読み進め、最後に来てそれは鮮やかに解決されたが、そうすると今度は「UFO」「宇宙人」「月」など、地球人的な観点からの用語がやや安易に流用されているようにも感じられた。
全体的なイメージは綺麗で、雰囲気も佳かったのだけれども。特に、主人公の望郷の念は切なく印象にのこった。
『雨上がり』
「西陣京極」「北野」などの地名には、これまでの文学の伝統の中で育てられた喚起力があるもので、得してるなあと思う。実際どういう所なのかは別にして。
いつものように奔放に繰り出されるイメージが、本作ではやや拡散して焦点をぼやかしたような感じがした。そうは言っても、そのとっ散らかった辺りが不気味な絵のようでもある。
『硝子鳥』
綺麗で脆そうな感じはしたけれど、何故かこの鳥そのもののイメージとしては今一つ鮮明でなかった。十円という値段が最後に来るのも、理屈としてでなく、詩的な意味としても正直言ってよくわからなかった。
『恋』
題材も表現も、今日びの文芸誌の小説から一部を取ってきたようである。充実していると思うが、その代わり一杯いっぱいで、この状況はもっと分量を使って発展させられるだろうと思った。「姉こそがまさに無駄な恋を、桜井さんにしているのではないかと。」という結びは言わでものことで、それでこの三人がどうなるかを知りたい。
『夢の終わりに』
もう一歩で自己満足に陥るギリギリの所で踏みとどまっていると感じられた。じつは私も読み始めは、自閉した寝言のような作品かと危惧したが、全くそうではなかった。
予選時の票感想にも際だって長文が寄せられており、読者に考えさせる力を持った作品である。
『道行』
語り口といい題材といい、正統的な純文学という感じで、好感を持った。これを推してもよいか、と思ったが、作りがいささか薄い。まず語り手が透明すぎると思う。(たぶん弟と思われるがこれでは男女どちらかもわからない)、字数もあるのだから、もう少し書き込んでもよかった。(この票の参照用リンク)
全投票の14%〜20%の支持しか得ていない作品が予選を通過するのも侘しい状況だ。予選通過作品は団栗の背比べで優勝に値する作品はなしと判断。(この票の参照用リンク)