第30期予選時の、#23雨上がり(曠野反次郎)への投票です(3票)。
単なる初読の印象になってしまうが、この「雨上がり」は私にとって非常に奇妙であった。
読んでいる間、私は書かれている事柄にではなく、私自身にただただその視線を向けていた。950字を読み終えるまで、私は寸分狂いのない私と向き合い、それ以外のあらゆるものが存在しないかのような、静かな対峙をしていたのである。私のあるべき雛型を見たような、そんな安らぎすら覚えた。すとん、という感じ。
そうして読み終えて、再び作品に目を落とすと、あたかも私以外の世界要素が相も変わらずそこに存在し続けていたことを告げ知らせるいたずら書きのように思え、幾分ぞっとしたのである。
恐らくこんなことは作者の意図するところではなかっただろうが、そう読んでしまったのだから仕方がない。
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