第29期決勝時の投票状況です。12票を頂きました。
# | 題名 | 作者 | 得票数 |
---|---|---|---|
2 | 楽園 | サカヅキイヅミ | 7 |
16 | ミイ君 | るるるぶ☆どっぐちゃん | 4 |
15 | 静寂を聴く | 三浦 | 1 |
上手い。(この票の参照用リンク)
どうも「面白かった」という感想しか出てこないんですが。面白かったです。(この票の参照用リンク)
巧い。(この票の参照用リンク)
なんだか鳥の巣作りのようなイメージが重なり、死に支度であるにもかかわらず、さわやかな光景が眼に浮かびました。潔いです。いきいきと死に直面する。そこに美学があるんでしょうね。…というわけで、一票もらってください。(八海宵一)(この票の参照用リンク)
不条理な作品だが短いものの手本のような佳作。作者が、放ったものを全て回収する様はファンタジーとしても秀逸で、これほど端整な作品は「短編」では初めて読んだ。修飾が的確で無駄がない。しかし素朴というわけでもない。
自分の死に場所を飾るという少女の行動にある種のノスタルジーを感じるが、小汚ない自分の部屋を秘蔵のクラシックコレクションで粉飾するべきかと考える主人公にも似たようなものを感じた。薔薇を投げ入れて棺を完成させた少女に格好のいい別れ文句すら贈れなかった主人公が、どうやって部屋からでる(=少女の作った世界を壊す)かを思案中のアイテムが煙草というのも、主人公のアイデンティティを最後まで保持させていて非常に上手い。
次回作が早く読みたい作家だ。(この票の参照用リンク)
どれも好きだけど、どれか一つといったらやはりこの作品。(この票の参照用リンク)
こういう作品を「短編」というのだと思った。(この票の参照用リンク)
2.楽園
「花」とか「死にます」とかで『夢十夜』を思い出しました。このワードでるるるぶさんを思い浮かべた方が予選票者の中にいらっしゃっいましたが、るるるぶさんだと少なくとも『夢十夜』風にはならないでしょう。その違いはすっぽりと丁寧に白木の箱に収まっているか否かだと思います。ええこの作品はそれはもうすっぽりと収まっています。細い線で細部まで綺麗に描かれた絵のようでもあります。文句なしです。でもここから先は好みの問題になってしまうんでしょうね。
15.静寂を聴く
割と太い線で書かれている絵のようで、どちらかというとこちらの方が好みであったりします。ただし、「どうして音が聞こえないの」「何故ドラを鳴らさなくてはいけないの」という疑問が残ったままで消化不良を起こしている部分が多く、自然点数が辛くなるという、まあそんなわけです。(「何故少女がいきなり死ぬの」とか「猫がどうして歌えるの」とか他の2作品にもあるのですが、話の展開的にあまり気にならないのです)
16.ミイ君
浅野さんの絵が笑えました。いやそれはちょっと違う話ですが。この方の作品にしては珍しく絵画チックではありませんね。どちらかというと安っぽいテレビドラマのような印象を受けます。オチがつくとそれはそれで居心地がいいのか悪いのか分かりませんが、安さ大好きの私は好きです。とりあえず『ネコ独特の前ノリ感』で吹き出しました。(この票の参照用リンク)
どんどん、にゃー!
http://juji.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/bbs.cgi?724;3(この票の参照用リンク)
つい忙しさに取り紛れて参加作品すべては読めなかったのだが、予選を通った三作は、どれもそれぞれに印象に残るよい作品だったと思う。
中でも、『ミイ君』はなんだか身につまされて切なかった。人が小説を書くなどという芸は、猫が歌を歌うというくらいの離れ業ではないかしらんと最近ではどこかでちらちら思う。それでも「ジャニスのように、歌いたい。」で頑張るのだけれども、人も猫も才能がないとやはり駄目である。
それはまあ勝手な思い入れとして、ミイ君がとつぜん人語を話し出す辺りも、急に切り替わっているのにしっくり行っていて不思議によかった。
『楽園』も、イメージがなかなか鮮烈だった。少女が自らの棺の中に自分を封じ込めた時に、それを含む部屋ぜんたいが棺となって話者を閉じ込めたという結びも、納得がいく。
この話者と少女との関係はよくわからず、何とて突然こんな事になるのかまったくわからないのだが、なぜか読ませる。文章表現が的確だからだと思う。
『静寂を聴く』は、文章もたしかだし、独自の世界の設定に手柄がある。ただ予選票にもあった通り、その設定の説明が足りないように思う。要するに主人公のしている仕事は、世の中にあふれる音を特大の銅鑼の音で消すというものなのだろうが、それも繰り返して読まなければわからなかった。
「音を聞くことのできないこの場所で、音を体験できないかという試み」というのが具体的にはいかなるものであったのか等、もう少し分量を増やして自由に書ける題材ではないだろうか。(この票の参照用リンク)
短編っていいな!と思いました。(この票の参照用リンク)
諸事情(単に忙しいとか短編が書けないとかいう理由)により遠ざかっておりましたが、このまま投票者数が少ないと短編存続の危機だと思ったので、予選通過の三作のみ読みました。
「猫」「花と死」の2テーマにはとてもとても惹かれるのですが、
すんなり読めすぎたので、あえて冒険をしたこの作品に一票。
広瀬正「ツィス」と筒井康隆のショートショート「遠泳」を思い出した。(この票の参照用リンク)