第29期決勝時の、#2楽園(サカヅキイヅミ)への投票です(7票)。
なんだか鳥の巣作りのようなイメージが重なり、死に支度であるにもかかわらず、さわやかな光景が眼に浮かびました。潔いです。いきいきと死に直面する。そこに美学があるんでしょうね。…というわけで、一票もらってください。(八海宵一)
参照用リンク: #date20050122-013221
不条理な作品だが短いものの手本のような佳作。作者が、放ったものを全て回収する様はファンタジーとしても秀逸で、これほど端整な作品は「短編」では初めて読んだ。修飾が的確で無駄がない。しかし素朴というわけでもない。
自分の死に場所を飾るという少女の行動にある種のノスタルジーを感じるが、小汚ない自分の部屋を秘蔵のクラシックコレクションで粉飾するべきかと考える主人公にも似たようなものを感じた。薔薇を投げ入れて棺を完成させた少女に格好のいい別れ文句すら贈れなかった主人公が、どうやって部屋からでる(=少女の作った世界を壊す)かを思案中のアイテムが煙草というのも、主人公のアイデンティティを最後まで保持させていて非常に上手い。
次回作が早く読みたい作家だ。
参照用リンク: #date20050121-235219