第30期 #5

硝子鳥

 掌に乗るほどのちいさな鳥のからだは硝子で鎧われている。型を取って拵えたような薄い色硝子にどうやって入れたのか、足を折り畳んだ姿でおさまって、両端から嘴と尾羽だけが出ている、餌を食べ糞ができるように。小鳥は椎子の手のうえでちちと鳴く。
 「骨がないんだよ」と硝子屋は言う、
 「そういう病気なんだ。硝子がないと体がぐんなりして生きられない。だから割っちゃだめだよ」と言う硝子屋は、十円で小鳥を売っている。



Copyright © 2005 黒木りえ / 編集: 短編