第3期予選時の投票状況です。13人より33票を頂きました。
# | 題名 | 作者 | 得票数 |
---|---|---|---|
11 | あなたへ | 黒木りえ | 6 |
5 | 記憶 | ハチミツボーイ | 4 |
9 | ある港町での出来事 | 曠野反次郎 | 4 |
6 | 吹けども飛ばぬ電子の駒に | 佑次@大発生 | 3 |
7 | 日本語動詞も人称変化することについて | 海坂他人 | 3 |
14 | 奈々魚掘 | るるるぶ☆どっぐちゃん | 3 |
3 | (削除されました) | - | 2 |
10 | すないぱあ | ラリッパ | 2 |
13 | 彼女はおしゃべり | 紺詠志 | 2 |
1 | ポタージュの女 | 野郎海松 | 1 |
4 | あの夜、あの赤い木枠 | さかな | 1 |
8 | サイ | 坂口与四郎 | 1 |
12 | うちまわり線 | 川島ケイ | 1 |
私はだれでしょう? といったタイプのショートショートは、おもしろくないと相場が決まっているのだが、これは格別だ。いや、ショートショートとして見たらおもしろくないかもしれない。起承転結の転と結がコンパクトにまとまっているという、終盤に急展開するショートショート的な構造が、感動的なインパクトにうまく活用されている、と見るべきか。そして、あの一文(でわかるでしょう)までひっぱる牽引力がすごい。羽衣をたぐるようにするすると読まされてしまう。あえて難点を挙げるなら、「あなた」の性別を早くに示唆してほしかった。あの一文において「彼」は余計な新情報になっていると思う(この票の参照用リンク)
初読時、内容がよく分からないまま読み進み、最後の三行で情景が爆発するように眼前に現れた。潜望鏡で見ていた風景が、いきなり割れて視界が全天周に変わったような感じ。
いきなり「あなた」に見下ろされている錯覚を感じた。再読しても、そのイメージは変わらない。
「あなた」を見つめる「わたし」の目が怜悧だ。が、その正体と理由が分かると、不思議な暖かさと哀しみを感じた。
<久遠>(この票の参照用リンク)
二人称という新しい試みが、慣れるまでにやや暇がかかったが、構造が呑み込めてくると何とも見事に思われた。小説の可能性を感じさせてくれる作品であった。(この票の参照用リンク)
うまいですね。「あなたに宛てた、わたしは彼が書いた手紙だ。」という一文を入れるか否かが悩みどころかと思うのですが、これは入れて正解でしたね。僕だったらなんとか入れずにやろうとして失敗しそうです。(この票の参照用リンク)
緻密でケチのつけようのない文章。参りました。ただ、最初に読んだ時、「あなた」を男性だと思いつつ読んでしまったんです。作者が女性だから「あなた」は男性だろうという単純な思い込み。だからタネ明かしの一文のところで、えっ?…という感じでかなりの戸惑いがありました。…って私が悪いんです。はい。(この票の参照用リンク)
本命になるでしょう、これが。
成熟した文体、麻薬的なストーリーテリング。
三期を通じてもおそらくこれが大将。(この票の参照用リンク)
オゲレツである。終始とどこおりなく下品に徹して爽快だった。じっさい、立ち読みしたエロ本を目に焼きつけておいて「思い出だけで生きられる」のは、せいぜい中学生ぐらいまでだろうが、そういう幼稚な感覚によって、シモネタにあざといいやらしさを見せずにすんでいる。また、「僕らの勇気」などといった独得の破天荒な表現力がパワフルで痛快だ。ただ、変態と変態の対決は、まずまちがいなく見モノなのに、イリュージョンでかんたんに処理されてしまったのが、文字数からしても不満といえば不満だけれども、つまんない対決風景になるならこれで無難か。(この票の参照用リンク)
第1期、第2期での予感がここに来てブレイク!という感じで、大いに楽しみました。冒頭の科白を、やや違ったシチュエーションでもう一度最後に繰り出す部分には脱帽。で、読後に題名を見返して『記憶』というのに大いに納得。『ポタージュの女』も同様のテーマ?が扱われていますが、こっちの読後感の方がいっそ爽やか(対象が他人事だからだろうか)。主人公の名前がモンク(monk=修道僧)というのも偶然か意図してなのか、興味深いところ。短い字数でまとまっているところもgood。(この票の参照用リンク)
負けました。好きです。(この票の参照用リンク)
こういうナンセンスギャグは読者に「またやって
らあ」と思わせてからが勝負。私の好みとしては、
まるであさっての言葉の羅列よりも『護身用のロ
ープ』のようにチョコっとはずしてある方が、
「ロープが護身用かよ!」とつっこめるのでお楽
しみ度◎です。
いいかげんに書き飛ばしているようで、ラスト
の一行などには、言葉選びに苦心した形跡がみえる。
一徹さに一票。 (ラ)(この票の参照用リンク)
投票するか、どうか。ずっと迷っていましたが、投票することにしました。自信をもって推す作品ではありません。が、読後の印象がよかった(特に最後から二行目の文章)ので投票することにしました。でも、夕陽を釣ろうとする少女という魅力的な設定を生かし切れていなかった、私に関する記述よりも、少女とお爺様に関する記述を増やした方がよかったように思います。(この票の参照用リンク)
文章の建てつけもよく、一編のお話としてまとまっている所を評価した。いかにもありがちなお伽話ではないかとも思えるが、今回の参加作の中で、情景が絵として浮かんでくる力が最も強かった。(この票の参照用リンク)
アイデアはよいと思います。雰囲気を真面目にしすぎているのが、ちょっともったいないかなと。(この票の参照用リンク)
>「そう、沈まない夕陽。終らない夕焼け。
始まらない夜」その言葉は何故だかとても
力強くて私は何も言えなくなってしまった
のです。私はただ黙って頷くと少女に軽く
会釈してその場を立ち去ったのでした。
う〜ん。なんだかよく解らないが納得して
しまった。少女はなにかの象徴なのだろ
うが、読み解けなかった。それは作者があ
えて伏せている。というのは穿った見方だ
ろうか。
濃厚なムードに一票! (ラ)(この票の参照用リンク)
実を言うと、一番印象に残ったのは最後の「なんか翻弄されちゃった…」という科白がなんとなく色っぽかった、というところではありますが、それまでの家族の会話、ほの見える将棋薀蓄もまた楽しみました。(この票の参照用リンク)
将棋のルールなどまったく知らないのだが、おもしろかった。互いの環境の違いもすっきり描かれていて好感をもった。(この票の参照用リンク)
全体に小粒だな、というのが今回の印象。
この作品を選んだのは、内容がどうこうではなく、自分の知らない世界について滔々とのべているひとの話を聞くような感覚を味わえたから。将棋は皆目わからないので、どんな御高説だろうが与太だろうがふんふんほおーと聞けてたのしい。キャラも立っているし(主人公より周りが)。(この票の参照用リンク)
主人公の思考の流れが面白かった。「日本人が外国人のクリスチャンに問われて」という雰囲気が良く出ていると思う。
日本語を用いる人と用いない人という話から、氏育ちから発生するだろう思考の違いに持っていく手際が鮮やかで、最後の宗教への言及で話が壮大に広がった。
現在、世界を不安にさせている「キリスト教とイスラム教」の対立と思えるテロや戦争を憂いての作品でもあるのだろう。
それを大上段に持っていかずに、日常の中の一風景として軽妙洒脱に書く技量に脱帽。
<久遠>(この票の参照用リンク)
「ポタージュの女」とこれと、どっちか迷ったんです。野郎海松さんごめんなさい。読後の「イイ人感」(ああなんかこの作者っていい人〜って感じ)でこっちです。ああもう一票あったなら。(この票の参照用リンク)
今回これを外すわけにはいかないでしょうと。
口語体でモノ書く現代において、文法なにものぞという気風が私にも
あなたにも確かに存在する中、飄々とした語り口で膝カックンして
くれました。(この票の参照用リンク)
タイトルを初読時、「ななぎょぼり」と読み、その語感にたまげる。読了後に意味が分かり腰が砕けそうになる。
個人的には嫌いなタイトルだが、ここまで両極端な気分を感じたタイトルは、考えるとそうはない。良し悪しは個人的なものだと考え、選ぶ基準から外した。
「ポテトチップス」というガジェットとその使い方が巧い。一般的なモノがその人には違うように感じる話に「箪笥(半村良)」があるが、同様の分からない人には分からないというもどかしさと怖さを感じた。
「うふふふふ」という表現の愛らしさが際だっているために、読後感は柔らかいが、実際はホラーな話だ。主人公が共感して幸せを感じ、それを世に広めるわけだが、その根底にある「何に幸せを感じたか」を考えると話が暗転する。
絶妙な作品だと思う。
<久遠>(この票の参照用リンク)
描かれた世界、文章表現、人物の魅力、どれをとっても一番だと思います。反抗という言葉がRockという言葉と同義だった時代を彷彿とさせていながら、今が描写されていて、その種の洋楽や洋画好きには、非常に共感できました。(この票の参照用リンク)
奈々の最後から二つ目のセリフにちょっとドッキリ
他の作品読んでて、筋肉少女帯を思い出していたせいか
最後の2行は大槻ケンジの声で読んでしまった。
(「いくぢなし」の終わりライクに)(この票の参照用リンク)
すごい!
和製Enter the Sandmanだ。
まんまの説明はないのに、時代背景は雰囲気を感じ取らせる書き様はおみごと〜
タイトルはあまり好みじゃないですなぁ
なんかミスカトニック大学の図書館においてありそう…
読んでて、筋肉少女帯の風車男ルリヲをすこし思い出した(この票の参照用リンク)
なぜか、汲み取り便所の近くで遭遇することが多いため、
関西では竈馬のことを「便所コオロギ」と呼んでいました。
その褐色の胴には羽もなく、ステゴザウルスのような半
円形の側面からは、異様に長い後肢が突き出しています。
そんな竈馬はこの作品のブキミさを演出する上で、
欠かせないアイテムとして機能しています。
不気味さに一票! (ラ)(この票の参照用リンク)
文章の細かい所に難はあろうが、全体を把握して作品にしている。まあこの作品を評価できるのは自分がまだ禿げていない所為かも知れぬ。一人称「俺」が、ラストでストレートに自分を「はげ頭」と称するのは問題である。もう少し回りくどい言い方をするものではないかと思う。(この票の参照用リンク)
ラストの一行が非常にいい。(この票の参照用リンク)
うめぇ〜
その辺の本屋に並んでる小説の会話より遥かにリアルだなぁ(この票の参照用リンク)
「日本語動詞も人称変化することについて」と似ているなと思った。カエルの話だな。カエル。(この票の参照用リンク)
なかなかエロくてよかった。短編ポルノ史の開びゃくをかざるに申しぶんなし。しかも女の衝撃的な一言で物語に変化を加え、ただのエロ話で終わらせないのは、すばらしいサービス精神だ。女に主導される男の劣情のゆらぎみたいなものが、おさえのキいた言葉でつづられていて、しずかな迫力があった。ただひとつ「男性自身」というベタな隠語がもったいない。(この票の参照用リンク)
さかなクンに一票。何か評判悪いみたいだけど。
『彼にこれを読んでもらえさえすれば私は満足なような気がします。』
この一文につきる。主人公の言葉は恐らくこの恋人同士二人にしか分からない、暗号のような、言葉にできない気持ち。それがこの物語をよりリアルにしてるんじゃないかな。僕自身にはこの主人公(=作者さんなのかな?そこもまた微妙で面白い)の様な経験は無いんだけど、せつなくてちょっとドキドキするような、そういう主人公の心情が伝わりました。つまり木枠が何なのかとか、何を意味してるかなんてのは分からなくてもいい作品だと僕は思う。(この票の参照用リンク)
サイはサイコロであると同時に、psyche であるわけですな。
ダークサイドにいざなわれるこの感覚。非常にトンガッてました。
色々な想像が出来てゾクタノでした。(ぞくぞく楽しい)(この票の参照用リンク)
個人的には前作よりこちらの方が好みだったので一票(ちょっと妙な状況で、ちょっといい話、というところで)。「いや、ぜんぜん関係ないんだけど」という読者の読みをかわすような科白が良かったです。(この票の参照用リンク)