第3期予選時の、#11あなたへ(黒木りえ)への投票です(6票)。
私はだれでしょう? といったタイプのショートショートは、おもしろくないと相場が決まっているのだが、これは格別だ。いや、ショートショートとして見たらおもしろくないかもしれない。起承転結の転と結がコンパクトにまとまっているという、終盤に急展開するショートショート的な構造が、感動的なインパクトにうまく活用されている、と見るべきか。そして、あの一文(でわかるでしょう)までひっぱる牽引力がすごい。羽衣をたぐるようにするすると読まされてしまう。あえて難点を挙げるなら、「あなた」の性別を早くに示唆してほしかった。あの一文において「彼」は余計な新情報になっていると思う
参照用リンク: #date20021104-232503
初読時、内容がよく分からないまま読み進み、最後の三行で情景が爆発するように眼前に現れた。潜望鏡で見ていた風景が、いきなり割れて視界が全天周に変わったような感じ。
いきなり「あなた」に見下ろされている錯覚を感じた。再読しても、そのイメージは変わらない。
「あなた」を見つめる「わたし」の目が怜悧だ。が、その正体と理由が分かると、不思議な暖かさと哀しみを感じた。
<久遠>
参照用リンク: #date20021104-100338
二人称という新しい試みが、慣れるまでにやや暇がかかったが、構造が呑み込めてくると何とも見事に思われた。小説の可能性を感じさせてくれる作品であった。
参照用リンク: #date20021103-102414
うまいですね。「あなたに宛てた、わたしは彼が書いた手紙だ。」という一文を入れるか否かが悩みどころかと思うのですが、これは入れて正解でしたね。僕だったらなんとか入れずにやろうとして失敗しそうです。
参照用リンク: #date20021102-165750
緻密でケチのつけようのない文章。参りました。ただ、最初に読んだ時、「あなた」を男性だと思いつつ読んでしまったんです。作者が女性だから「あなた」は男性だろうという単純な思い込み。だからタネ明かしの一文のところで、えっ?…という感じでかなりの戸惑いがありました。…って私が悪いんです。はい。
参照用リンク: #date20021030-231813
本命になるでしょう、これが。
成熟した文体、麻薬的なストーリーテリング。
三期を通じてもおそらくこれが大将。
参照用リンク: #date20021024-220316