第3期決勝時の投票状況です。13票を頂きました。
# | 題名 | 作者 | 得票数 |
---|---|---|---|
11 | あなたへ | 黒木りえ | 6 |
5 | 記憶 | ハチミツボーイ | 3 |
9 | ある港町での出来事 | 曠野反次郎 | 3 |
- | なし | 1 |
これしかないと思った。『記憶』は、字数からしても、もっとバカなことができたろうという不満がある。『ある港町での出来事』は、けっきょく少女は夕陽にひきずられて沈んでしまったのだろうことを示唆する結末とその描きかたがよかったが、なぜか逃げるようにして帰るとか、本当に夕陽が沈まなくなったりとか、いささか大ゲサなところが作品のふんいきを害しているように感じた。両者に比べて『あなたへ』は、ネタの消化に不満がなく、ふんいきは一貫して保たれており、のみならず描写に精彩があって筆致は流麗にして構成の妙技に加え……ってもういいや。これしかないのだ。(この票の参照用リンク)
「あなたは」の繰り返しが、責めなのか喜びなのかそのとおり無機質なものなのかが曖昧で謎を解かせるだけに使われたような印象を良しと思わず予選では投票しなかったのですが、それは読み手に任せるものだと考えて、トリックを楽しませていただきましたと申し上げておきます。(この票の参照用リンク)
二人称を用いながら、書簡体でもない独白、という語り口の特異さはすぐ気づかれるが、この作品の不思議な味はそれだけではない。たとえば「あなた」が何者であるか、また看病していた病人との関係も、ほとんど明らかでない。そのような個的な情報を大胆に捨象し、代りに荒れ果てた家のさまなぞを丹念に書き込むことによって、パートナーを失うという状況の普遍性をあらわし得ている。
なお、抽斗の中の手紙がどうして「あなた」の行動が観察でき、「あなた」の思いが推論できるのか、という感想があったが、的外れというものである。それを言うならばもともと手紙が自分の意識など語るはずも無い。(この票の参照用リンク)
面白かったから。(この票の参照用リンク)
第三期作品が公開されたその日、我々が初読したその日、すでにこの
結果は決まっていた。封が切られなかっただけなのだ。
けれど参加一四作品中、一三作品が得票しているというのはちょっと
割れすぎではあるまいか。という気がした。(この票の参照用リンク)
使われている言葉と、言葉の出てくる順番、そこから立ち上がってくる世界が好きです。言葉が新鮮で、真剣な世界が書かれていると思いました。最後にひねりもあって、物語として成立しています。(この票の参照用リンク)
第一印象から決めていました(この票の参照用リンク)
この手の作風は「おもしろい」を通り過ぎると「くだらない」になるので、ここいらで投票しておかないと機を逸しかねない。これを勢いで書いているとすれば才能であり、吟味しているのであれば苦労である。どちらにしても評価に値するものだ。 (ラ)(この票の参照用リンク)
「記憶」を強く推します。
短い文章の中に、スピード感溢れる文体と展開。
「プリンセステンコー」という言葉で、一瞬のうちに強者と弱者が入れ替わる。
「相手のことを愛しく思うことが大事だが、それ以上に伝えることのほうが大事である」なんて言葉のあとに「プリンセステンコー」ですもの。
素敵ですってば。
そりゃぁ、「僕らの勇気」は飛び出します。(この票の参照用リンク)
奇をてらわない内容を評価。(この票の参照用リンク)
前半のシーンをもう少しカットして、爺様と夕焼けに関するエピソードを描いてもらえればなおよかったが、この雰囲気に負けたので一票。(この票の参照用リンク)
「あたしは夕陽を釣ろうとしているのだわ」
選んでおいて言うのもなんだが、この文にどうしても馴染めず。「の」と「だわ」が噛みあっていない。「しているの」ならすんなり読めたのだけれど。
周囲がどうあろうと、この少女はきっとこのままなんだろうなと思わせるあたりが魅力か。タイトルは、ぎりぎりのところで安易に逃げたと言わせずに済んでいる。予選投票の「『私』より『少女とお爺様』を全面に出せば?」の案に同感。ただ、「お爺様」というより「お祖父様」、ないし「おじいさま」では?(この票の参照用リンク)
内容としては、「ある港町での出来事」の少女が魅力的で、よかったが、それを充分表現できていたか、となると、いまいち。
文章表現としては、「あなたへ」はとても安定していて、魅力的だが、二人称を主人公にした技法は成功しているとはいいがたい。
「記憶」は、下ネタの対戦ものという、週間少年ジャンプのギャグマンガみたいで、それなりにおもしろいところもあったけど、展開や表現に奇抜さや驚きや巧さはあまり感じられなかった。
というわけで、推薦作はありません。申し訳ないが、僕も残念です。(この票の参照用リンク)