第4期予選時の投票状況です。12人より27票を頂きました。
# | 題名 | 作者 | 得票数 |
---|---|---|---|
3 | 強盗 | 黒木りえ | 7 |
15 | 暮れの密猟者 | 紺詠志 | 5 |
2 | 命のともし火 | のぼりん | 3 |
13 | 鳩と幼女 | 海坂他人 | 3 |
14 | エチュードをもう一度 | 逢澤透明 | 3 |
12 | (削除されました) | - | 2 |
4 | 賢者の頁 | ラリッパ | 1 |
10 | 炎の中に消ゆ | 神崎 隼 | 1 |
16 | ホザンナ | るるるぶ☆どっぐちゃん | 1 |
17 | 循環運行バス | 曠野反次郎 | 1 |
途中で、あ、これは落語だ、と思った。独白の形式にくわえ、不統一な句読点の使いかたに「間」の表現を感じたからだが、たくみな話術でひっぱり、そして「さげ」はいわゆる「逆さ落」である。ショートショートとして見れば、滑稽なまでに言いわけがましい全体的な口調のほかに、きわだつ伏線がないけれども、落語であれば話芸がそれを問題にしない。しかしながら、話芸と考えてみると、もっとしっちゃかめっちゃかな脱線などを求めてしまう。(この票の参照用リンク)
字が詰まっているのに大変読みすかったです。(この票の参照用リンク)
「説教強盗」ならぬ「愚痴強盗」とでも言うのだろうか。
随所に「生命の危機」を感じるのだが、その危険さよりも、並行して語られる「貧乏」の方が切迫しているようで面白かった。
<久遠>(この票の参照用リンク)
中間で少しだれるけど、一気に読ませて、最後で逆転させるねらいは見事に決まっていた。最後で、あっと思いました。(この票の参照用リンク)
いわゆる落ちのある話というものは、長い探偵小説にせよ、一度読むと二度は読む気がしなくなるのだが、この作品はそうでなかった。語り口に魅力がある故であろう。(この票の参照用リンク)
連鎖の一部分を読ませることで全体像を連想させる。まるで目隠しをして蛇の尻尾に触れたような気がした。 (ラ)(この票の参照用リンク)
古典落語かなんかにありましたよね、こうゆうハナシ。
ただ、改行を多用してないので、想像の余地を挟めることなく最後まで一気にカタをつけるスピードの速さが魅力。(この票の参照用リンク)
現実のことがらからちょっとずれたところから始まり、物語が進むにつれてそのずれがどんどん広がっていくのだが、最後の最後になって「プレゼント」で辻褄合わせしてしまう、というこの展開の妙。しかもそのラストにあるのは喜びの象徴とも言うべき「プレゼント」と、子タカワライの悲しい泣き声。「悲しい」といってもその悲しさは俯瞰視点の読者だから察知できるのであり、タカワライを単に獲物としてしか見ない猟師の息子には全く伝わっていないと思う。つまり喜びと悲しみが断絶された状態で同じシチュエーションに混在しているわけで、そんな場面を見せられて、嗚呼この湧き上がる感情は一体なに……? と、説明のできぬ読後感に打ち震えたものでした。「説明できないから小説にするんですよね」と、ご本人から言われたことのある言葉をもって感想に換えさせて頂きます。ご馳走様でした。(この票の参照用リンク)
先日、フィンランドから政府公認のサンタクロオスが来た、というニュースがテレビで流れたのを見て、
「あ、フクロシロヒゲタカワライ」
と思った。記憶装置に刻み込まれてしまったらしく、これはクリスマスが来るたびに思い出しそうである。(この票の参照用リンク)
最後まで悩んだが、『鳩と幼女』は三回転、『暮れの密猟者』は、雌サンタの登場に意表を衝かれた分だけ加点して、三回転半ジャンプと評価した。次点は『エチュードをもう一度』。恩人を死の淵に送り込む主人公の葛藤がもう少しあればと残念に思う。 (ラ)(この票の参照用リンク)
ショートショート以下の短編が発想力の勝負だとすればこの作品がピカイチ。しっかしアレが野生動物、しかも有袋類の一種とは・・・脱帽です。(この票の参照用リンク)
もうちょっと生態を書き込んでほしかったかな。(この票の参照用リンク)
良くできていると思う。ネタとしては、それほど面白いと思わないんだけど、細かいところまできちんと作られていると思う。(この票の参照用リンク)
純粋に面白い。「短編小説」志向の参加作品が多い中で、「ショート
ショート」志向の本作は、新鮮でした。ネタ一点勝負というわけでも
なく、けっこうデコレーションも効いてます。ケレン味のない語り口
でなかなかお気に入りでした。(この票の参照用リンク)
死を覚悟した隊員の心境変化が面白い。
このレベルの作品がコンスタントに書ければプロのSS作家といえる。発現頻度が十分の一なら十倍書けばいいのだから、あとは体力勝負ということ。 (ラ)(この票の参照用リンク)
このご時世に幼女を観察する男(かどうかは文からは不明ですが)の話とは、とやや身構え警戒しつつ読み進んだのですが、語り手の最後のダークな想像には思いがけずダークに共感してしまい、ちょっとうろたえ気味の自分がおりました。兎にも角にも、道徳とか常識とか抜きにしてぶっちゃけて言えばカタルシスを感じもしたし、それまで「語り手」に徹していたのに最後になって己の想像をもって前面に出てくるこの「私」って一体?というところも面白くあり、個人的にはこのラストで(いや「だからこそ」)全然OK!でありましたよ。(この票の参照用リンク)
(作者のホームページのBBSを拝見したところこれは作者の意図と異なる読解らしいけれど、「……」を大きな転換を示す区切りと解しその次の段落「だろう」という推量から主人公の想像は「だろう」の段落のみを指し、実際におこった事故と読んだが、いずれにせよ、)主人公がこの惨事を爽快に思ったのは、鳩に自己を投影したからだろう。彼はよほどふだんこの幼女のような存在に苦しめられているのにちがいない。その事情は述べられていないが、おもしろいのは、あるいは、おそろしいのは、第三者的立場の冷静な観察者だったはずの彼が、個人的な事情により突如として一方のサイド(鳩)に肩入れし、自己と同一視し、ハタから見れば非道な感覚に酔いしれる、という意識の暴走である。じつに人間らしい残酷さだと思った。(この票の参照用リンク)
幼女がお菓子を踏むという、何気ない情景が、これほど衝撃的に変わるとは思わなかった。今回のなかで一番インパクトのあった作品。(この票の参照用リンク)
「音」という媒体は使えない小説という形態で、作品の流れからも聞こえるはずがないのに、ピアノの音色が聞こえてくるようで良かった。
<久遠>(この票の参照用リンク)
純粋に浸れる。「ショートショート」系作品に押され気味の「短編小
説」勢力ですが、唯一気を吐いた作品ですね。場面場面でピアノが
有ったり無かったり、ちょっとネジれが感じられましたが、それ以上
に爽やかにまとまっていました。いい雰囲気を持っています。(この票の参照用リンク)
今回はブラックなものが多かったような気がする。だからかもしれないが、『エチュードをもう一度』の透明さにほっとした。
いい話だった。(この票の参照用リンク)
一般的に、作者は作品を通して読者と対峙しているが、今期の作品は作者がやたら読者を意識した作品が多かったように思う。それが良いのか悪いのかはともかく、盛り上がってきたなあと思った。
この作品「黄泉路の果てに」も、神話とか元ネタがありそうな内容を匂わせていて、これもまた読者を過剰に意識した作品だと思われます。
さておき、この作品を僕なりに解釈するなら、テロで妻を殺された主人公がブチ切れて、訳の分からぬ神話を信じ、あげく異世界に闖入してしまう、という話だと。楽しい憶測をするなら、その異世界とは幻覚や妄想のたぐいかも? とか、非常にぶっ飛んだストーリであり、とても面白かった。それも、奇をてらったものでなく、絶妙な狂い具合がちょうど良い加減だと思う。
しかし、僕は最初この作品を誤読している。それで、いまいち気持ち良く一票入れられない。
>医師は短く答えた。
>織部は心理学者だったが、神話にも長けていた。その知識と執念が、デルフォイ神殿近くに住む「黄泉路」を知る女占い師を探し当てさせた。
この場面で、テロと来て神殿と出たので、前にニュースで見たどこかの国で実際に起こった、遺跡での観光客を狙ったテロ事件を思い出した。つまり、この作品は、主人公が被害にあったと冒頭で言っているテロ事件を回想している話だと思った。だから、後半妻が出てきて、やっとその間違いに気付いた。これは僕にとって少し読み辛い。
できれば、もう少し時間軸を分かりやすくしてほしかった。特にこの場面で主人公が心理学者という、注釈めいた一文が何を意味してるのか僕は知らないので、なおさらそう思う。言わばもっと読者に配慮した演出をこそ優先してほしいと思う。
結局迷ったんだけども、「演出はただの演出でしかない」と、そう思う事にして。それよりもこのぶっ飛んだストーリと作者の感性に一票!(この票の参照用リンク)
死んだ妻が、やはり冥界に戻されてしまう、という結果は元の神話と同じであるが、そこに至る過程に、全く異なった、現代的な解釈がなされた。それも如何にもありそうな話で、感心した。(この票の参照用リンク)
ハダカの王様。
一人称も軽妙でイイ感じ。
文頭の句読点や括弧の羅列が非常にインパクトがある。私自信、賢者様じゃないけど何かがあるのではと思わず反転までしたりして。(この票の参照用リンク)
やっと消去法ではない投票ができる。
意外性はないがすっきりまとまっている。(この票の参照用リンク)
退廃的である。おめでたいタイトルがそれをいっそうきわだたせる。ゴミの山はなにか罪のかたまりのようなかんじがし、男と少女もきっと許されない罪を着ている。そして十字架は、それらを許しも癒しもせず(ここは逆の読みもありうるかもしれないが)、あくまで幻影のまま消えてしまった。ともあれストーリーどうこうというより、絵画的な印象の小説であり、ほかにそういう作品はなかった。(この票の参照用リンク)
謎めいた登場人物、押さえられた情景描写で、じわじわと話が進んだところでスラップスティックな展開に変わり、愕然とした。
主人公よりもバスの運転手のその後が気になる。
毎晩こんな客が乗車したら、さぞやイヤだろうな。
<久遠>(この票の参照用リンク)