第90期予選時の投票状況です。13人より35票を頂きました。
# | 題名 | 作者 | 得票数 |
---|---|---|---|
1 | 着席権 | 森 綾乃 | 7 |
17 | 男は風船を毎日作っている | 宇加谷 研一郎 | 7 |
14 | 結婚式のスピーチ | 朝野十字 | 3 |
22 | 泉 | qbc | 3 |
7 | 思い出と記憶の間 | 沢木月子 | 2 |
13 | 蹴られた背中 | おひるねX | 2 |
19 | ひなどり | わら | 2 |
24 | アルタイルの扇 | えぬじぃ | 2 |
5 | 『死せる美術のためのサクリファイス』 | 石川楡井 | 1 |
9 | 竜が飛ぶ日 | 彼岸堂 | 1 |
10 | 悲しみの中で見たものは | ユウキ | 1 |
11 | 見習い魔術師と猫「雨空と猫と僕と」 | 雪篠女 | 1 |
18 | ヂアディクト | 高橋唯 | 1 |
20 | 曇天 | のい | 1 |
23 | 儀式 | 多崎籤 | 1 |
発表後すぐよんでまだおぼえてたから。
性格がわるいところがいい。(この票の参照用リンク)
丁寧に雰囲気を作っておいて、解釈のところだけ上手に読み手に投げている作品。どう味わってもいいですよ、という感じでもある。だとすると、もう少し意味不明系のタイトルをつけても良かったかも。
人の良さそうな動物(矛盾した表現だ)が、なぞの「黄金糖」とレトロなカタカナ「セロファン」によく合っていたと思う。(この票の参照用リンク)
善良そうな動物と、やけに現実感のある非難がいい
宮沢賢治の「猫の事務所」のような、動物を使ったメルヘンさと生々しい残酷さが同居しているような空気がすばらしい(この票の参照用リンク)
弱者への愛にはいつも殺意が込められている、と呟いたのは安部公房だったか。そんな冷酷な断定に比べれば、今作の作者の手つきははるかに心やさしい。…物足りないほどに? しかし、そのやさしさが、この小説を既視感から救っていることもまた事実だと思う。(でんでん)(この票の参照用リンク)
正統派。(この票の参照用リンク)
やわらかく暖かい中に一片の毒が混じっているのがなんともたまらない。柚胡椒みたい。(この票の参照用リンク)
よくかけている。出だしつかみが弱いとおもった。なにがいすに座るのか、イメージがはっきりしない。かあいい、にんきもの、のはず。それが涙をぽたりと落とす。でしょ? 可逆性は読者の気持ちの中で楽しみと、教訓のあいだを往復するといいとおもった。
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密度がすごい。真似できない。(この票の参照用リンク)
発表後すぐよんでまだおぼえてたから。
たのしい。(この票の参照用リンク)
いつの時代か特定できるような事物は書かれていないけれど、読んでいて「古き良き」という感じがした。殺伐としていない、というか。昨今の、カタカナで書かれる「ハケン」とは対照的な労働環境。上から目線ではなく、登場人物と同じ高さの視点で書かれた文章で、読んでいてふんわりした気分になった。文章中の色々な単語で、嗅覚、視覚、味覚を刺激された。とてもよいフィクションだ。(この票の参照用リンク)
上手いなぁ。華やかでノスタルジックな東京の街、その風にこちらもしばしふわっと酔う。“風船工場”で半永久的に繰り返す日常と、思い出す“街”の色濃い香り・記憶。コントラストが秀逸。
宇加谷さんがモチーフとして頻繁に使われる『動物』、それぞれの意味をお聞きしたいなぁと思います。(この票の参照用リンク)
風船。桜餅。仮面。次々に現われては、乱反射し、てんでに勝手に氾濫していく言葉=ノイズたち。それでいて個々のイメージは鮮烈で、語の一つ一つに確信があり、詩があり、いちいちフォーカスがぴったり合っている。「調性のあるノイズ」とでも言いたくなるような、この作者にしかやってのけることのできない芸当に、舌を巻くしかない。宇加谷研一郎、絶好調である。(でんでん)(この票の参照用リンク)
味がでていて、まるで実際の話を聞かされているような気分になった。素敵(この票の参照用リンク)
小道具がいちいち生きていてかっこいい。(この票の参照用リンク)
「はい、終了、終了ー!!」
漫画的な間合いとリズム感。一歩間違えばひたすらにうすら寒くなりそうなのに、そこは技術でゴリ押ししてる感じですね。まぁ何ていうか下ネタはあれですよ、反則。笑ったもん負け的な。(この票の参照用リンク)
この人何考えてんだと思ったので。(この票の参照用リンク)
「ハナミズ出まくり星」と言ってしまえるセンスは絶対に失いたくないものですよね。(この票の参照用リンク)
ひとり短編のときも投票したけど、思わせぶりでいて、そっけない。ので惹かれる。(この票の参照用リンク)
中編が一本書けそうな内容・設定の濃さと、描写の妙。
「黒いストレッチデニムに包まれた叔母の脚が見える。俺は暖簾をくぐる。台所に叔母が立っている。灰青の刺子の割烹着の背中が見える。叔母は俺に背中を向けている。顔をうつむかせている。乳白のうなじが見える。」
文章の中に“時”が確かに流れ、人間が息づき“見て”いるのを感じさせる映画的技巧。(この票の参照用リンク)
作中でいきなり泉が湧こうものなら、たいていの凡庸な書き手はものほしげな象徴性をまといつかせずにいられなくなるはずだが、そんなありきたりな象徴への誘惑をしなやかにすり抜ける作者の感性は、あくまで繊細だ。それにしても、この作者の語りと手法の多彩さには、驚いてしまう。(でんでん)(この票の参照用リンク)
主人公の気持ちと自分をだぶらせて読めました。描写が映像になって見えてくるようでした。短い小説の中で主人公の気持ちが伝わってきました。(この票の参照用リンク)
千字小説らしい。読み返してしまう読みにくさはにくい演出。
結局わかれたのか、それとも。一緒になったのに猫のぬくもりもないのか。わからないのは、ともかく良いとしても。
悲劇なのか喜劇なのか、つまり、悲しいのか、悲しくないのか、はっきりしないのは、もやもやして、すっきりしないのでつまらない。話のスジはともかく、読んだ後の気持ちはすっきりしたい。(この票の参照用リンク)
あるアクションに対して、真正面ではなく、言葉ではあるんだけれどなんだかスジの通ってない方角からつっつかれて、よくわかんないけど蹴られて萎えちゃったっていう。情けねー。
というわけで、とても面白かったです。(この票の参照用リンク)
ちょっとぎこちない(ズレた?)感じの文体が妙に面白い。若者同士の変な緊張感がたまらなくいい。(この票の参照用リンク)
隠喩がきちんとつながっているのが好き
全体的にセピアがかった少年時代の一コマという雰囲気が出てて、それだけでも楽しめる(この票の参照用リンク)
僕もものわかりの良い人になりたいものです。(この票の参照用リンク)
世界観と発想と、必要な情報と丁寧な文章など、とてもバランスがよくて、舞台は最悪な規模での戦争ですが、それすらお祭りにしてしまっているという。
なんかすごいなと思いました。(この票の参照用リンク)
オオ、30年戦争ですね。ファンタジーに捕らえられてしまった。
とにかく、あした、予測レーザー攻撃があっても良いように、楽しいパーテイにいって、カクテルグラスを傾けたい、そうおもいました。(この票の参照用リンク)
初めの文章のいかにも引きつけてこようとするところに魅力を感じました。話そのものは、はっきりいって苦手です。しかし他の小説を読もうとしても、インパクトが強すぎて思い出してしまうのです。そんなところも好きになってしまったのですが。(たぐりん)(この票の参照用リンク)
千文字できちんと驚くほどボリュームのあるファンタジー小説を展開できていることに感心した
戦争のシニカルさがきちんと表現できているのが個人的に好み(この票の参照用リンク)
ぜんぜん力の入ってない文章に、なぜか魅かれてしまう。絶望や孤独が、空気のように透明で無抵抗なものに包まれる感じ。(この票の参照用リンク)
優しくて、かわいい世界。読んでいてホッとした気分になる。
「役にはたたないけど、綺麗だとは思うよ。」この感じが好きです。(この票の参照用リンク)
わけがわからなくて面白かった。(この票の参照用リンク)
状況は謎から謎へところころ目まぐるしく変化していくのに、軽くてリズミカルな文体によって引き込まれてしまいました。すらすらと嘘をつかれてしまい、なのにそれがとても心地よかったです。
小説って自由で楽しいものなのだと、強く認識させられました。今期一番です。(この票の参照用リンク)
書きたかったんだろうなあ、とこちらに伝わる素直なストレートだ。それもかなりの威力の。
「休みの日に校舎に入れるんだ」なんて疑問、読者は持つべきではなく、そこに二人のストーリーがあれば全て必然なんだと。思わず全肯定したくなる作品。(この票の参照用リンク)