第90期予選時の、#17男は風船を毎日作っている(宇加谷 研一郎)への投票です(7票)。
いつの時代か特定できるような事物は書かれていないけれど、読んでいて「古き良き」という感じがした。殺伐としていない、というか。昨今の、カタカナで書かれる「ハケン」とは対照的な労働環境。上から目線ではなく、登場人物と同じ高さの視点で書かれた文章で、読んでいてふんわりした気分になった。文章中の色々な単語で、嗅覚、視覚、味覚を刺激された。とてもよいフィクションだ。
参照用リンク: #date20100330-010810
上手いなぁ。華やかでノスタルジックな東京の街、その風にこちらもしばしふわっと酔う。“風船工場”で半永久的に繰り返す日常と、思い出す“街”の色濃い香り・記憶。コントラストが秀逸。
宇加谷さんがモチーフとして頻繁に使われる『動物』、それぞれの意味をお聞きしたいなぁと思います。
参照用リンク: #date20100325-180036
風船。桜餅。仮面。次々に現われては、乱反射し、てんでに勝手に氾濫していく言葉=ノイズたち。それでいて個々のイメージは鮮烈で、語の一つ一つに確信があり、詩があり、いちいちフォーカスがぴったり合っている。「調性のあるノイズ」とでも言いたくなるような、この作者にしかやってのけることのできない芸当に、舌を巻くしかない。宇加谷研一郎、絶好調である。(でんでん)
参照用リンク: #date20100324-185648