第74期予選時の投票状況です。12人より28票を頂きました。
# | 題名 | 作者 | 得票数 |
---|---|---|---|
3 | マッチ箱より | 藤舟 | 3 |
5 | 魔法使いレイリー・ロット | 八海宵一 | 3 |
27 | 蟻と作曲家 | クマの子 | 3 |
6 | ペプシコーラと死 | 壱カヲル | 2 |
9 | 無限大はどこまでも | ゆりあやこ | 2 |
11 | 結して開す | くわず | 2 |
12 | 擬装☆少女 千字一時物語40 | 黒田皐月 | 2 |
16 | 夢の中 | euReka | 2 |
18 | FUSE | K | 2 |
24 | 白線 | qbc | 2 |
4 | たまねぎ | アンデッド | 1 |
20 | レインコート、ゴオゴオ! | 宇加谷 研一郎 | 1 |
21 | 犬 | わら | 1 |
26 | ケイタイ貴族 | 心水 涼 | 1 |
28 | 眼鏡 | 川野 | 1 |
「西堀」「西村さん」という互いの呼び方の違いが微妙な関係を表しているようで、なんとなく良かったです。(この票の参照用リンク)
何もしていないと死にたくなるという主題だけでなく、別の要素も織り込んで隙なくできていることが上手いと思いました。(黒田皐月)(この票の参照用リンク)
感覚的に好きでした。言葉の並びが面白かったです。(この票の参照用リンク)
オチもその一つ前の展開も推測できなかったので。いいですよね、ショートショート。(この票の参照用リンク)
ただひたすらおもしろかったです。
フックも強烈ですぐに引き込まれました。(この票の参照用リンク)
このオチは予想外だったが、正直なところオチ以外はとくにいいと思えるところがない。だが短編はオチがなによりも重要なので、評価させてもらった。(この票の参照用リンク)
なんかこういう「物語」というか「お話」のような作品を選びたい心境でした。(この票の参照用リンク)
素敵なお話ですね。絵本のような暖かい情景が目に浮かびました。(この票の参照用リンク)
素朴な童話で、文に技巧を凝らしているわけではなく、話にトリックがあるわけでもない。だが単純な物語と文体が爽快な読後感を与えてくれる。無理に読者を感動させようとしていないところも良い。(この票の参照用リンク)
このヒトはなんでいつも私のツボをるいてくるのかなあ、とデジャヴ。
好き嫌いは別れるだろうけど。
コーラ=死
という方程式はあながち現代社会に当てはまらなくも無い。(この票の参照用リンク)
自分にない新しい感性に羨望のまなざし。いいな、いいな。
どうでもいい話だけど、知人が昔、炭酸飲料でカルシウムを溶かす自由研究をしてた。本当に溶けるので、びっくりした。(八海宵一)(この票の参照用リンク)
>To be continued.
って終わり方ありえないだろ。
ぶんなげ過ぎて爆笑しました。
///qbc(この票の参照用リンク)
・作品から受けた印象
不思議な文章だと思った。童話のような書き出し(「ひろくんとあやこちゃんは、とっても仲良し」)ではじまり、子供向けなのかな、それとも、こういった軟らかい文章でやっぱりエログロへと発展するんだろうか――というこちらの予想を見事に裏切って、この話は童話でもエログロへも進まない。
ひろくんとあやこちゃんはとっても仲良しなのだが、ひろくんは忙しいときは「あやこちゃんにかまっている暇なんて、ありません!」と、自制がきいている。ありません!の「!」がモウレツに可愛らしい。惚れそう。「あやこちゃんのことを思い出すのは、一日のうちで朝ご飯を食べてるときくらいです」という箇所など、よくある「盲目的な恋愛話」と一線を画している。短い文のなかの小道具もポイントだ。夕暮れの海辺、波、流される水着、貝殻(それは8の字で永遠を感じさせた)、砂浜などなど。
字数が6割程度というのは気になるけれども、それよりも、「To be continued」と、唐突に終ってしまうこの話のつづきのほうがもっと気になる。こういう感じだと無限大にどこまでも読みたくなるかもしれない。
・他作品と比較して推す理由
この作品への対抗作品は「結して開す」あたりだろうか。
まず「結して開す」は完璧な完成度であるが、私は「無限大はどこまでも」の、あえて完成させない点、読後感のほのかなぬくもりをとる。
(この票の参照用リンク)
物語性を求めれば評価の対象外だが、この圧縮技術、登場人物の多さはいったい何なのだろうか。と今期になってわら氏の感想を読んで初めて気づきました。他の作品とは異分野に属するのでしょう。(黒田皐月)(この票の参照用リンク)
世界の広がりに圧倒されました。広げるだけ広げて、結局ひとつところに収束させる技に感心しました。
表現もいちいち斬新で圧倒されました。(この票の参照用リンク)
>しかし何が楽しかったのか、思い出せない。
思い出そうぜ。思い出作っていこうよ。
情けなさ過ぎて爆笑しました。
///qbc(この票の参照用リンク)
今期の最高傑作である。マスメディアが「短編」を取り上げるとすれば、まずこの人であろう。こんな人、他の投稿サイトにいないぞ。女装(擬装っていうのか?)をテーマにしつづけ、内輪向けかと思いきや、「僕はもう、狂ってるんです」と、くる。普遍的で、かつ変態で、そして斬新で、作者の独自の文体が、ねちねちと炸裂している。フェチであり文学的でありポルノともエンターテイメントともとれるが、おそらくジャンルに収まらない勢いがある。
なんだ、この面白さは。
陳腐な感想なんて書く必要もないだろう。投票云々ではなく、本作については私のような、「絶対的な賞賛を惜しまない」者がいることを作者に伝えたい。
(この票の参照用リンク)
夢ネタは苦手だけどこれはよい。すんなりと世界に入れて楽しく読めた。夢と現実の混ざり具合が絶妙。(八海宵一)(この票の参照用リンク)
今回は夢がタイトルにつく話が3つもあるが、その中でもずば抜けて良い。どこか常識外れの主人公がさらに常識外の事件に遭遇するのが面白い。文体も読んでいて心地よい。(この票の参照用リンク)
>「ここはどこですか?」
だから布施って書いてあるだろ。読め。起きたことだけが事実だ。
登場人物が真剣過ぎて爆笑しました。統合失調? なのかな。
///qbc(この票の参照用リンク)
> 次から次に襲いかかる吐き気と恐怖に耐えながら、おれは縮こまって目をとじ耳をふさぐしかなかった。
この感覚はよく解ると言いたいけれど、理解するためには、あと何行分か、言葉を継ぎ足してほしい。呼吸を整えて、駅のホームに置かれた椅子へ、自力で辿りつくところまでは書いてほしかった。救いのない物語をそのまま書き写すだけでは誰も救われないというか「不快>不可解」に留まっているような。布施→FUSE→椅子に「伏せ」る、とすれば、あとは寄りかかりながらでも立ち上がれそうに思える。これを千字に詰め込むのは難しいですけどね。と思いつくままに書いてみましたが基本的には敵わないな凄いなというのが感想で、現在の短編では一人だけ抜きん出ているように思います。(この票の参照用リンク)
人物観察は一級品。それを表現する技量を併せ持つとこうも伝わるものが描ける。qbc氏のホームグラウンドはこの分野なのだろうかと私は思っておりますが、大外れなのかもしれません。それほどに上手いのです。(黒田皐月)(この票の参照用リンク)
相変わらずの力量に脱帽。うらやましい。1000字で終わるのがもったいないくらいの世界観。安定感ありますよね。(八海宵一)(この票の参照用リンク)
面白い! 文章も不自然なところがない(この票の参照用リンク)
音楽と本と食べ物と蘊蓄が出てきていかにも現代の小説らしいです。宇加谷さんの作品には嗜好の近い人でないとぼんやりとしかわからないであろう描写が多いようで、大体ぼんやりと読むことになるのですが、今回の濃さは、やってみるとなるとかなり難しいだろうと思いました。ありふれていないバランス感覚に一票。(この票の参照用リンク)
そんな漫画を読んでいるから……と思いました。文章の調子は終始淡々としていて好みがわかれそうです。シチュエーションや名詞ではなく、言葉の組み合わせで強い印象を与えるところを一つ突っ込んでやるとなおいいのではないかと思いました。横暴な書き出しは千文字小説においては有効な技法ですが、どうせやるならこのくらい横暴にやらないと効き目がありません、という好例ではないでしょうか。思い切りに一票。(この票の参照用リンク)
ご両親が助けてくれたのでしょうか。怖いけどなぜか後味悪くないのが不思議です。(この票の参照用リンク)
・作品から受けた印象
疑問から先に書いてしまうと、人称が「僕」であることだろうか。断然、この作品には「俺」が向いていると思う。というのは文中の「ああ、そういえば、俺の眼鏡はプラスチックレンズだった」の一文が実によく合っていたからだ。「僕」のナイーヴ感も悪くはないが……。
しかし「僕/俺」はともかくとして、眼鏡という<モノ>の声を見事に語らせている点で見事だ。ただの眼鏡が主人公の視点でみてみると特別なものとして思えてきたりする。とくに「レンズ越しにモノを観るということ」について考えてみたくなる。
メガネの六年間、メガネが移動してきた東京という町、新宿の雑多な光景、そして壊れてしまうメガネ。主人公はふたたびレンズ越しの風景を求めたいと思う反面、普通に地上を歩き続けられれば、とささやかな生活を思ってみたりする。その葛藤が明確なものではなく、眼鏡を巡るゆるやかな思索といった点に、作者の声を感じた。
・他作品と比較して推す理由
主人公が作品の中で考えている、といった点で「FUSE」と比べてしまうが、ある点で両作品には違いがある。「FUSE」は観念的であるようにみえて、実は物語的な要素に可能性がある。一方で「眼鏡」はあくまで主人公の独白である。本来なら物語的な要素を好む点で「FUSE」を推すけれども、「眼鏡」の持つ作者の声の魅力が飛びぬけてすばらしかった。
小説の魅力というのは結局のところ、「小説とはこうだ」という読者の思い込みを、いい意味で作者が押し切ってくれるところにある。(この票の参照用リンク)