第74期決勝時の投票状況です。9票を頂きました。
# | 題名 | 作者 | 得票数 |
---|---|---|---|
5 | 魔法使いレイリー・ロット | 八海宵一 | 4 |
3 | マッチ箱より | 藤舟 | 2 |
27 | 蟻と作曲家 | クマの子 | 2 |
- | なし | 1 |
笑いはしなかったけれど、ああなるほどと思ったので。
もう少し性格の悪いことをしてもいいかなと思わなくもない。(この票の参照用リンク)
今期はこれが一番だと思いました。素直に楽しみました。(この票の参照用リンク)
「マッチ箱より」
大胆な表現は目を引くが、大胆すぎてなかなか物語世界に入れなかった。締めも投げやりで好みではない。
「蟻と作曲家」
文体から温かさを感じて好感が持てたが、蟻にもキリギリスにも作曲家にも地の文にも共感を得られなかったので、いまいち好きになれない。
「魔法使いレイリー・ロット」
笑えた。いろいろと論じることなく笑えた。
世代的には私はドラクエやらFFをやっている世代ということになるのだが、残念ながらほとんどゲームをやらずに育ったのでこういう世界観には慣れていない。それでも笑えた。
フックもオチも効いていて好きな作品なので、投票します。
(この票の参照用リンク)
最初に読んでいて、素直に楽しいと思えたし、この作品をいれた三作品をもう一度読んだときにやっぱり これだなって思えたので。(この票の参照用リンク)
・決勝3作品の印象(と不満)
今期、決勝に残った作品ついては、わさび抜きの皿しかまわっていない回転寿司屋を連想した。
「マッチ箱より」の恋愛より、私は「擬装☆少女 千字一時物語40」の擬装した男(つまりオカマ?)と美男子の対話の方に味わい深さを感じるし、ダンジョンでモンスターと戦う「魔法使いレイリー・ロット」より、歌舞伎町のダンジョンをさまよう「眼鏡」が断然いい。僕を見てーと目立ちたがり屋の話である「蟻と作曲家」よりも、ただの駅名に押しつぶされそうになっている「FUSE」のほうが身に沁みてくる。つまり、決勝の3作品に足りないものがすべて予選作品にある。
……そうはいっても、それは私が年をとってしまったからかもしれなくて、高校生だったらまず「擬装少女」は想像するだけで吐き気がしたかもしれないし、それに比べれば「マッチ箱より」に強く共感を覚えたかもしれない。ダンジョンの話もそうだ。蟻の気持ちも若さに結びつけると納得できる。
そう考えると、読者とひとくちにいっても、この投票は中学生から老人までいることを思い出させてくれる結果となった。つまり、決勝作品が質として優れているかは多数決コンテストにおいてはその限りではない、という一方で、世の中の流れが「決勝」をみれば見えてくることがわかる。
だが名作は必ずしもベストセラーとは限らず、時代の多数決に残らなかったものが埋れている間に発酵し、ある時期に蘇ることで名作となっている例も結構多いと思う。過去の投稿作品をぱらぱらと読み返してみて、その例が多いことに驚く(ここでは例はあげない)。
今期の「擬装少女」など、作者自身さえその良さに気付いていないみたいだが、作品の方はいつかまた陽の目をみるときがくるだろう。
・3作品の中から選ぶならば
「マッチ箱より」はオーバーな表現が気になったものの、思春期の主人公はだいたいこういうものだろうな、と思うと、リアルな受験生像が描けているとも思える。消極的理由であるが、これに投票する。次回作に期待してます。(この票の参照用リンク)
受験勉強に駆り立てられていることだけでは今時世相の反映にはならないのでしょうが、それに加えて主人公は二度も言おうとしたことが言えないでいて、感じやすい割に伝えることが苦手なところが世相の反映なのかと、ふと思いました。(黒田皐月)(この票の参照用リンク)
フランシスコ・タレガのラグリマ(涙)をモチーフとした作品ですね。蟻とキリギリスで展開させる流れは少し安易な気もしましたが、作者のやさしい視線がなんとも心地いいです。(この票の参照用リンク)
「蟻と作曲家」
今回の投票はこれ。文章は素朴で、巧みとはいえないが、スッと落ちるように読んでいける優秀さがある。情景描写も単純だが効果的だ。すぐに脳裏に絵が浮かぶ文章はとても評価できる。
特に凝ったストーリーではないが、読後感の爽やかさがいい。オチの風景の素晴らしさは何度でも褒めたいくらいだ。
あえて難点を挙げるなら、この童話調の文体がややぎこちなく思える。書きなれていないのかクセなのかはわからないが、そこがもっと良くなるといいと思えた。
「魔法使いレイリー・ロット」
次点を挙げるならこれだ。「蟻と作曲家」とこれのどちらに投票するかかなり迷わされた。
オチの見事さが光っている。起承転結のきっちりついたストーリーも心地よい。RPG風ファンタジーなので人によっては好みがわかれそうだが、自分としてはとても楽しめた。
残念ながらこちらに投票できなかったわけは、文章構成によるものだ。文章としてしっかりとまとまった「蟻と作曲家」に比べて、こちらは隙があるというか、練りきれていないように思える。そこの違和感さえなければ、文句なしに投票していた。
「マッチ箱より」
申し訳ないが自分の評価としては、この作品が一番低い。
眠気と象の比喩、若い男女のうす甘い関係など良い点もあるが、それが一貫性を持ってまとまっているように思えないのが残念だ。文章にもどうもつっかかりを覚える。
全体的に見ると、少なめにしている説明が効果的に機能していない。そう感じられた。(この票の参照用リンク)
予選で投票した作品が残らなかったので。(この票の参照用リンク)