第74期決勝時の、#27蟻と作曲家(クマの子)への投票です(2票)。
フランシスコ・タレガのラグリマ(涙)をモチーフとした作品ですね。蟻とキリギリスで展開させる流れは少し安易な気もしましたが、作者のやさしい視線がなんとも心地いいです。
参照用リンク: #date20081204-202547
「蟻と作曲家」
今回の投票はこれ。文章は素朴で、巧みとはいえないが、スッと落ちるように読んでいける優秀さがある。情景描写も単純だが効果的だ。すぐに脳裏に絵が浮かぶ文章はとても評価できる。
特に凝ったストーリーではないが、読後感の爽やかさがいい。オチの風景の素晴らしさは何度でも褒めたいくらいだ。
あえて難点を挙げるなら、この童話調の文体がややぎこちなく思える。書きなれていないのかクセなのかはわからないが、そこがもっと良くなるといいと思えた。
「魔法使いレイリー・ロット」
次点を挙げるならこれだ。「蟻と作曲家」とこれのどちらに投票するかかなり迷わされた。
オチの見事さが光っている。起承転結のきっちりついたストーリーも心地よい。RPG風ファンタジーなので人によっては好みがわかれそうだが、自分としてはとても楽しめた。
残念ながらこちらに投票できなかったわけは、文章構成によるものだ。文章としてしっかりとまとまった「蟻と作曲家」に比べて、こちらは隙があるというか、練りきれていないように思える。そこの違和感さえなければ、文句なしに投票していた。
「マッチ箱より」
申し訳ないが自分の評価としては、この作品が一番低い。
眠気と象の比喩、若い男女のうす甘い関係など良い点もあるが、それが一貫性を持ってまとまっているように思えないのが残念だ。文章にもどうもつっかかりを覚える。
全体的に見ると、少なめにしている説明が効果的に機能していない。そう感じられた。
参照用リンク: #date20081202-072333