第43期予選時の投票状況です。11人より27票を頂きました。
# | 題名 | 作者 | 得票数 |
---|---|---|---|
21 | 上空 | 川野直己 | 4 |
23 | 小鳥電車 | 紺詠志 | 4 |
19 | ながめせしまに | qbc | 3 |
27 | 目玉 | 曠野反次郎 | 3 |
5 | 定例閣議 | 笹帽子 | 2 |
10 | 思春期スタート | わら | 2 |
15 | 雪の庭 | 真央りりこ | 2 |
28 | どこへだって飛べるような気がしてる | ハンニャ | 2 |
6 | TOZ | 朝野十字 | 1 |
7 | 失敗による私個人の手記 | 戸川皆既 | 1 |
8 | 美しい花の咲いたこの庭のどこかに妹が埋まっている | サカヅキイヅミ | 1 |
24 | 天国と地獄 | テフ | 1 |
26 | ニューオールダー | るるるぶ☆どっぐちゃん | 1 |
この作品でしか描けないことを描いていると思います。(この票の参照用リンク)
小説が物語であるのは、物語の器として小説が選ばれた時であって、小説を小説足らしめるのに必ずしも物語は必要でなく、それでは一体小説を小説足らしめているのは一体何か。その思索のあとが川野さんの作品にはあって、今回の『上空』がその到達点だとは思わないが、方法はある程度確立されてきているように思う。
他にも上手い作者がいる中で、こんなことを書くのは気がひけるが、川野さんは短編参加者の中で、「小説を書く」ということにもっとも自覚的な作家なのではないか。もちろん「小説を書く」ということに自覚的であるから優れている、というわけではないし、他の作者に対しても、そうであらねばならないと思っているわけでもない。(この票の参照用リンク)
おれは陣場山に登山したことがあって、あと身近な土地の名前が出てきたりとかで、ようするに作品の近所に住んでいて、そういうところに親しみを感じました。なにしろ、そもそも、状況有利な村人同士の疑心暗鬼とかが原因らしいですからね、そういう感覚も鑑賞の一助でしょうともそうですともね。おお、どうしても一言いいたくなってしまった。
そういう親近感をもって読み進めていくことは、たとえば日常的な、白いごはんをよく噛んで米の甘さなどをよく味わって楽しみながら食べていくことに似ている気がするのだけれど、そうしてよく噛んでいるうちにやがて、一粒硬くてこれは噛めつぶせない米が混じっているなとふと気づき、それでもやみくもに噛みつづけていると、しだいにその硬いやつが増えてきて、咀嚼できず、やがてはその硬いやつばかりが口中にあふれてきてしまい、どうやらその硬いものとは要するに砂粒なのだと気付き、それならこのざらざらした嫌な感覚も理解できるのだが、一度口の中に入れたものをなぜか吐き出すことができず、とにかく口の中にざらざらとした嫌な感覚だけが残ってしまう、というような感想をいだきました。
(僕)以外はだれも出てこないお話といった印象で、あとは実在の地名や、天皇や、老人や、(僕)が一方的に、勝手に、感興を抱いたものばかり。(僕)が投げかける言葉はどこからも跳ねかえってはこない。そしてその(僕)は眼が赤くなるほど疲れている。赤くなるのは眼の白い部分ですよね。つよい孤独のにおいがしました。
おれが作品を噛んだように、(僕)も(赤身を醤油に浸し頬張りながら)、実在の地名や、天皇や、老人のような、(僕)以外の砂粒を噛む。砂粒を飲みこんでからだの中に必死にしまいこもうとしている、だが疲れてとりあえず眠った。そんなふうに見えました。からだの中にとりこんだら、物分りの良い大人になるんですかね。どうでしょうか。そしてなぜ、ほおばる必要があるんでしょうか。ともあれ、その作業にまつわる苦労を感じました。頑張ってください。孤独か孤高の違いは判断しかねました。
(この票の参照用リンク)
川野さんの作品、楽しみにしていた。
この作品のどこかに、もっと感情を表す一文があったらよかったなぁと思う。(この票の参照用リンク)
結末に何も残さないのに心には説明のつかない何かが残ります。(この票の参照用リンク)
さみしさを吹き飛ばす笑い、を感じたんですが、今日は時間なくてもう書けません。すいません。
紺さんの作品で良いものにはぼやき漫才やブルースのにおいが感じられます。ジャニス・ジョプリンが「メルセデス・ベンツ」歌った後にゲヘゲヘ笑うみたいな。(この票の参照用リンク)
電車にインコを連れて乗ってくるということが現実にありえるものかどうか、考えてみると多分ないんじゃないかと思うが、読んでいる間はそんな気はせず、こんな話もあるにちがいないと信じ込まされてしまう。言葉の力である。「それっきり」と言われると物足りないような感じもあるが、小説としてはこれでいいのだろう。(海)(この票の参照用リンク)
とてもおもしろかったです。
タイトルも◎(この票の参照用リンク)
この作品世界のどうしようもなさ感が忘れられません。(この票の参照用リンク)
淡々とした内容が淡々と流れているのが感じられてよかった。(この票の参照用リンク)
救いのない状況を描いているように見えるが、小説は報道記事ではないので、悲惨な状況が即、読者に嫌な感じを与えるとは限らない。ハッピーな事を書いて脱力させられるような作品はいくらでもある。
三つのエピソードは不即不離といった位置を保って、ある家族の生活を浮かび上がらせるのに成功している。詠嘆が次第に高まっていく端正な文体もよく計算されているとおもう。(海)(この票の参照用リンク)
目の付け所が違うなぁと思う。(この票の参照用リンク)
この方の以前の作品に対する評にも書かれていたけれど、カフカを思わせる文章だと思う。最後の一文が好き。(この票の参照用リンク)
乳暈が夢に出てきそうだったので。やや辛気臭すぎのきらいがあって、あまり好きではないのだけれど、印象深かったのは確か。(この票の参照用リンク)
川野さんに便乗して先物な投票。すなお。
(この票の参照用リンク)
今後の活躍に期待して一票。(川野)(この票の参照用リンク)
結末が絶妙。じつに思春期らしい尻つぼみ加減。(この票の参照用リンク)
ワルな感じがよく書かれていて、おもしろかった。(この票の参照用リンク)
千字という枠が限られた時に、その中にどうやって豊かな内容を盛り込むかと考えてみると、いろいろな手段があるだろう。この作品は一つ一つの言葉・文章に、曖昧になる危険をあえて冒して、さまざまな方向を与えようとしている。悪くすると全体が四散しかねないのだが、その背後に一つのイメージが感じられるので、快い多義性として受け取れるようにおもった。(海)(この票の参照用リンク)
「死がつもる」という表現はどこかで読んだ事があってそれを思い出したりしましたが、それとは関係なくこの作品は楽しめました。程よい感じに色々な話と言うか要素が盛り込まれているのもいいと思います。(この票の参照用リンク)
文章に粗っぽさはあるけれどもとにかく楽しかった。(この票の参照用リンク)
今期で唯一意図的に間違えてきた作品だと思った。「ブックオフ」「家具」「45歳」など、脈絡がまったくないのが素敵。私はこういうのが読みたくてネット巡回している。ただ、誤字があるのがおしい。(この票の参照用リンク)
続きが知りたいような知りたくないような。(この票の参照用リンク)
英文和訳調の文体の堅さと猫の失敗談という内容とのギャップが、上品な滑稽感を醸し出している。(この票の参照用リンク)
文体に助けられている部分が大きそうでいて、全体に表現はふつうに上質。とくに結びの文章。(この票の参照用リンク)
最後の段落までは話が読めない。いや最後の段落を読んでも、完全には読めないけれども、それがいいと思います。僕も注意しないと。(この票の参照用リンク)
読み終えて嘆息。(この票の参照用リンク)