全投票一覧(日時順)
第245期予選時の投票状況です。6人より17票を頂きました。
2023年2月28日 21時28分44秒
- 推薦作品
- 即席小説(Dewdrop)
- 感想
- うまい。短いが、文章が洗練されていて、オチまで無駄がない。
「とても心が乾いていて」「ミューミューと鳴く、人なつっこい、愛らしい子猫を」とかが好き。
オチよりそれまでの方が楽しいので、もっと無茶苦茶なオチでもよかった。(この票の参照用リンク)
- 推薦作品
- 動物園(テックスロー)
- 感想
- 文章のレベルが高い。
熊の描写が物語の雰囲気を作っていて、不穏な黒い獣として描写されるところから、普通の熊となり、最後は親愛と尊敬の象徴となってハッピーなラスト。よかった。(この票の参照用リンク)
- 推薦作品
- 降霊夜(蝸牛)
- 感想
- 一週間ただ家にいるという依頼。なぜカギを捨てるのか。矢崎の何の目的なのか、さっぱりわからないが、それらも、不気味さ、不穏さに寄与していて、無駄な感じがない。雰囲気作りだけとも読めるけど、自然に良いと思ったので。(この票の参照用リンク)
2023年2月16日 1時17分48秒
- 推薦作品
- 鶴恩返(党豪傑)
- 感想
- 学生寮の落書き帳で見たようなノリ、という第一印象でした。あるいは一行ごとのフリップ芸か。
わかってはいたけど唐突に出てくる「全然書無」とか、(これもありがちだけど)悩んでる最中なのに「飲屋一杯」とか、しょうもなさに笑いました。
一瞬漢語に見えたけど、そう見えたことが恥ずかしくなるくらいのギャップも逆に良かったです。(この票の参照用リンク)
- 推薦作品
- はじめての料理教室(吟硝子)
- 感想
- 晩年の後悔ってめちゃくちゃ寂しい。でも読み間違えてなければ、語り手の余命も統計上あと半年とのこと。最期の時を前に生まれた物語なのかと思うと、遺言を垣間見たような感傷が湧いてきた。
還暦になっても歳の差を話の種にするところや、さっぱりしたこと言っていても目を伏せてしまうようなところに登場人物の人柄が出ており良かった。(この票の参照用リンク)
- 推薦作品
- それでも僕らは廻したい(朝飯抜太郎)
- 感想
- 着地点がやや不自然に感じられましたが、地下鉄みたいなレーンやリニアみたいに高速移動する寿司を想像して笑いました。
時事ネタに対するボケとしてセンスが良く、アイディアの勢いにやられました。
そのほか
#7『動物園』
奇妙な動物を見た後、いったん平和な展開に流れるので、これは怪談的なオチが来るかな、と思っていましたが、意外に素直なまとめでした。
#8『宇宙駆逐艦ヨアケ』
り手がのんき過ぎる気もするし、乗船員が考えなさすぎているような気もする。読み手の視点や解釈によって状況や登場人物の立場が大きく変わり、面白いと思いました。
#9『降霊夜』
女の存在感がとても強く感じられて良かったです。女の登場のさせ方もうまい。ただ、冬であっても1週間あれば遺体の状態や匂いは変わっていくものではないか、とすればそういった変化にも気づいて欲しい、と感じました。
深夜のビデオデッキの音って怖いですよね。
#3『雪降る復讐』
いけすかん主人公だなぁと思って読んでいたら、物語に巻き込まれている雪という子の存在に少し胸が痛くなりました。
雪の復讐?が何なのかは読み取れませんでした。机に置いてあったのがドクウツギとかならわかるのだけど(冬なら無理か)。
#5『ホットケーキ忍者』
気づいたら自分自身が「ホットケーキ侍」と読んでいました。本当に意味がわからなくて面白かったです。どうしてこうなったのかとても気になる。
#1『ハイブリッド翻訳通訳機』
「留学生のためのAI添削」の続編のように読みました。博士、ちゃんと開発してるんですね。(この票の参照用リンク)
2023年2月16日 1時3分50秒
- 推薦作品
- ホットケーキ忍者(アドバイス)
- 感想
- 拙者はこれが好きでござる〜(この票の参照用リンク)
- 推薦作品
- 家庭教師とソラと雪(霧野楢人)
- 感想
- 良いと思います。雪の表現の的確さと、少女の心の感傷が、合ってます。(この票の参照用リンク)
- 推薦作品
- 降霊夜(蝸牛)
- 感想
- 淀みない一体験で、きれいだと思います。
他に、
#3 雪降る復讐
この若者の痛切な感じはわかる。語り方も好み。
お菓子の家が危ういバランスで、これがベストなのか、これじゃ切実さが薄まってしまうのかが判断できなかった。
#7 動物園
「漏斗の水のように帰路に就く人たち」がよい。(この票の参照用リンク)
2023年2月14日 10時21分59秒
- 推薦作品
- 鶴恩返(党豪傑)
- 感想
- 作者名と題名、本文の漢字の羅列に恐れをなしましたが、読んでみれば平仮名がないだけで、普通の日本語の小説でした。
修士論文、大変ですね。頑張ってくださいね。修士課程の学生より優秀な鶴はなかなかいないとは思いますが、令和版の鶴の恩返しを期待してしまう気持ちは強く伝わってきました。(この票の参照用リンク)
- 推薦作品
- 家庭教師とソラと雪(霧野楢人)
- 感想
- 美しすぎるこの物語を推す方は他にも多いことでしょう。雪の中を歩く二人(?)の雪を踏む感触が、確かなものとして伝わってきます。親が隠し、また遠ざけたものはなんだったのか、いろいろ考えさせられるのも素晴らしいですね。(この票の参照用リンク)
- 推薦作品
- はじめての料理教室(吟硝子)
- 感想
- 他の方の感想にもあった通り、最後がやや読みにくかったのはありますが、読み直せば分かり、また、その読みにくさからの意外な展開も本作の魅力かもしれません。美しい心の通い合いがもたらしたがゆえの後悔、それもまた美しい心が為したものでした。これが 500字でまとまっているのも、相変わらず素晴らしいですね。
『それでも僕らは廻したい』は時事ネタをうまく扱い、さらに哲学的思考を見事にシュールに昇華しました。業(カルマ)や涅槃(ニルヴァーナ)という語と内容のミスマッチが素晴らしいですね。…他の方も推すと思うので、今回はごめんなさい。
『降霊夜』は思わせぶりな前振りから意外な展開を見せましたが、いじめられっ子の変容と、最後も、合い鍵を作るくらいなら元の鍵は捨てなくても良いのでは?などに引っかかってしまいました。「律儀な機会が45分後に」も”機械”ですね。重要なところの誤変換はもったいなく感じました。
『宇宙駆逐艦ヨアケ』は状況のシュールさは楽しめたのですが、さすがに真っ直ぐにやり過ぎでしょう。もう一ひねりが欲しいですね。
『動物園』は神経質な常同行動はやるせなさを感じさせますね。ただ、その動物の生育環境に思いを馳せることで、自然環境の維持を再考する点で、動物園に親子が行くことは、親にとっても意味があることと思いますし…。と、全然違うことを考えてしまいました、すみません。
『雪降る復讐』は、悪いのは父親ですね。親が負うべき責めを子の心に負わせた罪は重いですね。ただ、スズランは北海道には多く自生するものの、ふざけてその葉を緑茶に混ぜることは普通の子はしないでしょう。致死量を混入させたのであれば、知識があり、探究心がある子供の、やや積極的な悪意を感じます。隣のおじさんとどのような確執があったかは分かりませんが…。
キョウチクトウについては『ミステリと言う勿れ』でも取り上げられていました。身近な有毒植物について、もうちょっと知る機会が欲しいですね。
『ホットケーキ忍者』は勢いはあったので、それがうまくまとまるよう、今後に期待したいと思います。
『ハイブリッド翻訳通訳機』は過去に似たネタを読んだ気がしたのが残念でした。日本文化の教授の言葉が「メールで敬語使わないものはもう会わない!」とあるのはさすがに文法の確認をして欲しかったと思います。外国人の、敬語が使えていないたどたどしい文章には、多くの日本人の大学教員はむしろ微笑ましく感じて、寛容に対応すると思います。敬語やビジネスメールの書き方はインターネットで検索するとたくさん見つかるので、それを流用することをお勧めします。(この票の参照用リンク)
2023年2月14日 0時51分1秒
- 推薦作品
- はじめての料理教室(吟硝子)
- 感想
- 二度、三度読み返し、心動かされた。
ただ、同時にとっちらかったような書き方が気になった。どちらの語りかわかりにくく、意図的であれば惑わせるだけだと思う。(この票の参照用リンク)
- 推薦作品
- 降霊夜(蝸牛)
- 感想
- 香りからイメージされる女の強烈な存在感と死。濃密な描写。息を止めて読み、これは本当に千字なのかと驚かされた。(この票の参照用リンク)
- 推薦作品
- 家庭教師とソラと雪(霧野楢人)
- 感想
- 前回も思ったが、作者さんの書く作品もまた千字が長い。無駄がなく、すべての言葉、すべての描写が物語のために息づいているからだろう。雪のなか、「ふかふかした背中」だけで描かれる家庭教師の後ろ姿には、死んだ猫が重なって見える。その光景のなんと美しいことか。よい小説を読んだ。(この票の参照用リンク)
2023年2月13日 17時46分29秒
- 推薦作品
- それでも僕らは廻したい(朝飯抜太郎)
- 感想
- 今期、小説の体を成しているのは朝飯さんと霧野さんのお二人の作品だと思った。お二人とも構成力があり、バランスがよく取れている。物語がすとんと腑に落ちる。ただ、朝飯さんの場合、最後の着地点が理に落ちすぎていると思う。「地下鉄ホームドア型」には大いに笑った。その調子で、もっと奔放に・奇想天外に、回るものと回らないものとの闘争へ想像力を働かせることが、この作者なら出来ると思う。(この票の参照用リンク)
- 推薦作品
- 家庭教師とソラと雪(霧野楢人)
- 感想
- 大甘な感傷に辟易しないでもないけれど、これも朝飯さん同様、よくまとまっていて、きちんと一つの物語として自立している。構成力に優れ、描写に過不足がない。小説を書く修練を重ねてきた人の文章だと思う。他方、「思い出は光線となって現在と過去とを激しく往来した」というような、やや時代がかった表現が瑕疵になっているのは惜しいと思う。切って捨てたような結尾は潔く書けている。ところで、これは朝飯さんと霧野さんのお二人に言えることだけれど、「一行空け」を禁じ手にして書いてみてはどうだろうか。1000字で小説の結構を整えることは、とても難しい。そんな時、1行空けがきわめて便利な手法であることは分かるが、ちょっと安易な手段でもある。安易な手段に頼れば、おのずと小説を書く腕は鈍る。一行空けに頼らず、文章それ自体の力で、構成を整える修練を積むことは、よいトレーニングになると思う。(この票の参照用リンク)
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