全投票一覧(日時順)
第245期決勝時の投票状況です。7票を頂きました。
2023年3月8日 10時42分41秒
- 推薦作品
- 降霊夜(蝸牛)
- 感想
- 1000字の小説を書くとき、自分は起承転結をきれいに収めようと試行錯誤し、きれいに収まりすぎて逆に違和感を覚えたりもするのだけど、この作品にはそのような違和感がなく、自然に流れていく描写に好感を持った。(この票の参照用リンク)
2023年3月6日 12時13分17秒
- 推薦作品
- なし
- 感想
- 『はじめての料理教室』は、小ざっぱりとした清潔な文章で書かれてはいるが、平板で、自他の死について、惜別について、何ら読み手に印象を残さない。かつ構成に難があり、一読して何が書かれているのか分かりにくい。この程度の文章は新聞の投書欄にあふれており、本作は小説未満とするほかない。
『家庭教師とソラと雪』を推すかどうか迷ったが、こじんまりと丁寧にまとまったこの小説に、飽き足りない思いが最後まで残った。小説を書きなれた方だとは思うが、手高眼低とでもいうか、このくらいの力があれば、目指す地点はもっと高くていい。
『降霊夜』は、最初の数パラグラフを読んですぐわかるとおり、原稿用紙20〜30枚の呼吸で書かれていて、この文体を1000字の掌編に収めるのにそもそもの無理がある。死んだ女の部屋に充満する「気配」が書きたいなら、前半部は思い切って苅り込み、その「気配」に肉薄しなければならない。そうでなければ、読者を置き去りにし、誤読も生むだろう。例えば「死体は腐乱臭を放つのではないか」という感想があった。部屋には死体などなく、ただ「気配」だけがあるのだが、必ずしもこの感想を誤読と呼べないのは、そうした読みを排するほど丁寧に書かれていないからだ。鍵を捨てる行為や合鍵の音についても疑義が寄せられたが、いくら書き手に言い分があろうと、そうした疑義を払拭するほど丹念に小説が書かれていないのだから、仕方ない。作者は、1000字には1000字の呼吸があることをまず学びなおさねばなるまい。(この票の参照用リンク)
2023年3月5日 16時42分12秒
- 推薦作品
- なし
- 感想
- 『はじめての料理教室』は、最後まで読めたし、雰囲気も悪くなかったが、分かりにくい部分がいくつかあったので、すんなり読めなかった。(この票の参照用リンク)
2023年3月4日 18時58分11秒
- 推薦作品
- 家庭教師とソラと雪(霧野楢人)
- 感想
- 恋のガワをした、恋じゃない何かを書こうとしてる。そこが良いと思って、推薦します。
家庭教師の携帯を盗み見てしまう。いそいそと出迎えてしまう。ミルクを飲む顎の静脈に見入ってしまう。見送ってしまう。抱きついてしまう。ひとり、雪の中を何時間も歩いてしまう。
想いは死んだ猫にあり、再会の喜びと喪失の失望を行き来する。
背景を支える雪は、この作品に貢献している。雪がそうさせた、ワンシーンと言える。(この票の参照用リンク)
2023年3月3日 16時32分27秒
- 推薦作品
- なし
- 感想
- 『除霊夜』は不条理や理屈に合わない人間の行動を描きたかったのかもしれないが、それなら土台となる現実の描写をもっと詰めてほしい。特にラストシーンの「鍵は鈴のように鳴る」が雰囲気優先で情景が見えてこず、しまりのない話に思えてしまった。鍵が鈴のように鳴るには硬いものにぶつかるはずだが、定期入れを出し入れしている間中鍵がずっとポケットに入ったままなら揺れて何かにぶつかることもなさそうだし、ポケットで他の鍵と一緒くたになって音を立てたとしても鈴の音のような音が響くかは疑問。
『家庭教師とソラと雪』は「気持ちばかりが溢れる」「あてもなく歩く」と少女の心理描写が陳腐に書き飛ばされている印象が勿体無い。この作者の人物描写に魅力を感じている一ファンとしては、心中をそのまま書くより行動から心理状態を想起させる書き方の方が向いている作家なのだろうかとも感じた。
『はじめての料理教室』への投稿コメントを見たが、予選での投票が本戦の投票に影響するというのは何かが違うように思えてならない。作品単体で勝負するべき物を「予選ではこっちの方が票数が多かったから本戦ではこっちに投票」がまかり通るのなら予選での投票に余計な計算が生まれないか気になる。(この票の参照用リンク)
2023年3月3日 15時50分29秒
- 推薦作品
- はじめての料理教室(吟硝子)
- 感想
- この美しい作品が 500字に纏まっていることに感動を覚えます。遺された妻君の残された日々が安らかでありますように。
『家庭教師とソラと雪』は最後まで迷いましたが、”予選ではこちらの票が多かったし”という理由でごめんなさい。決勝でも多くの票を獲得することでしょう。こちらも、どこまでも美しい雪の日の物語でしたね。
家庭教師の契約の解除を申し出たのは家庭教師自身では、とも思いました。不自然な態度で勉強に集中できてない思春期の少女に危うさを感じてしまったのだとしたら…ファンタジーではない、普通の小説としても読めるのですね。愛猫は単なるきっかけであり、年上の青年に、言ってしまえばよくある形の、ほのかな情を感じてしまった少女の、ありきたりであるがゆえに共感を抱かれやすい物語。そうだとしても、心情と情景の描写の美しさはやはり素晴らしいものでありました。(この票の参照用リンク)
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