第245期 #5

ホットケーキ忍者

ホットケーキ忍者はホットケーキを手裏剣みたいに投げるんでござるよ
って、なんでこっちまでござる口調になってるんだか…(汗)
気を取り直して!
とにかく、ホットケーキ忍者はホットケーキを手裏剣みたいに投げるんでござる!
ってなんで同じ失敗を繰り返すかね〜
これじゃ無限ループだよ無限ループ〜
よし、三度目の正直!
って、ちょっと〜?
いま二度あることは三度あるなんて思ったのは誰だ〜?
お見通しだぞー!
あ〜あ、まったく!
それじゃ、いきますかね
って、あ〜もう変なこと言うから緊張してきちゃったじゃん〜
落ち着け落ち着けいつも通りいつも通り
ホットケーキ侍は
って、ちょっと待って!
今のは違う違う違う!
もうー ござるに引っ張られちゃったよー!
もう最悪ー
侍は手裏剣なんか投げないじゃんね!
やだー

通された部屋では何者かの声が爆音で響いており、鼓膜を劈かれそうになった私は反射的に耳腔に人差し指を押し込んだ。そして振り返ると、先程まで入り口としてあったはずのドアは忽然と消えており、現在私を取り囲んでいるのはコンクリート打ちっぱなしの壁、床、天井、そして左右に二基並ぶ巨大なスピーカーのみであった。まったく意味不明で凄惨な仕打ちであったが、しかし私自身、それだけのことはされて然るべき心当たりがいくつかあったため、まあしょうがないかなという感じはあった。



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