第245期 #2

即席小説

 まず、カップのふたを開けて下さい。
「何だコラア!」
 いきなり、中から怒声が飛んできました。
 中には、男性がひとり入っています。とても心が乾いていて、カリカリしています。
 それでは、子猫を一匹、渡してあげて下さい。
「何のつもりだオイ? そんなもの寄越すんじゃねえ!」
 険しい声にめげず、ミューミューと鳴く、人なつっこい、愛らしい子猫を渡してあげて下さい。
 そしてふたを閉じて、三分待ちましょう。

 ……はい。三分経ちましたので、ふたを開けましょう。
 面(めん)がやわらかくなりました。

(了)



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