第92期決勝時の投票状況です。10票を頂きました。
# | 題名 | 作者 | 得票数 |
---|---|---|---|
15 | ふとん幻想 | 彼岸堂 | 3 |
18 | 水面下の夢 | 壱倉柊 | 2 |
21 | 海辺の六助 | 宇加谷 研一郎 | 2 |
8 | せざく | 金武宗基 | 1 |
25 | 輪 | 高橋唯 | 1 |
26 | ビームズ | るるるぶ☆どっぐちゃん | 1 |
最も楽しみました。(この票の参照用リンク)
安心して楽しめる作品が多かったと感じます。決勝進出作品を、何となく飲食物にたとえてみます。
『ふとん幻想 』焼きイカ(そのままだけど)。自分は魚介類(食感・旨み)が一番好き。
『せざく 』わたパチ。爆ぜる。
『水面下の夢 』カップ麺。まとまり良好、もちろん美味しい。食後は胸やけ。
『海辺の六助 』幕の内弁当。栄養・ボリューム・見目麗しさ。
『輪 』ゆで卵(8分ボイル)。滋養と完成度。寛容さに欠ける。
『ビームズ 』各種アルコール。楽しい。(この票の参照用リンク)
自分の中に根付いているふかふかふとんの幸せ感を
うまいこと喚起させられました。
(この票の参照用リンク)
「水面下の夢」が一番読んで面白いと思えたのでそれに投票。
以下、決勝作の短い感想。
「ふとん幻想」
情景がよく書けてると思う。ほのぼのする。
だが終わり方が、きっちり区切りがついてないように見えて、あまり好きな傾向じゃない。
「せざく」
この作者は投稿するごとにどんどんレベルアップしている。これからが楽しみ。
言葉のセンスはすごいものがあるというのに、即興詩人的なところが少し残念。
「水面下の夢」
無難に面白い。そう言ったら作者は怒るだろうか。
冒険や実験などせず、基本のものだけで丁寧にまとめてよい作品を作ってるイメージ。
「海辺の六助」
作者のいつもの作品ほどの後味が感じられないのでがっかり。
話がひどく駆け足で、それが作風とマッチしてない印象がある。
「輪」
文章がひっかかる。序盤の語尾が単調で、それが魅力を損ねる方向なのが残念。
「ビームズ」
言葉で絵を描いていると思った。
とても真似できない技量だけど、もっと読ませてという気分にはならない。(この票の参照用リンク)
まにあえ(この票の参照用リンク)
洗練されている印象。予選投票で「これを書けるかと言われて書ける人はそうそういない」と評している方がいましたが、ああ、その通りだろうなと思います。さらにいえば、量を書かいて量を反省しないと、こういうものはできないのではと最近実感しています。
「ふとん幻想」も、試みとしては面白いし、五感に訴えてくるものは確かにあるのですが、どうにも洗練されていない印象が拭えませんでした。経験値が足りてない感じ。それでもいつかこういう作品を乗りこなせるだろうとは思うので、これからに期待したいです。
「輪」はある意味洗練されていると感じるのですが、少しばかり窮屈な印象を受けました。このあたりが難しいところですね。
「ビームズ」「せざく」は少し上記作品と比較するのは難しいのですが(いまさらですが)、物語性を圧倒するような衝撃までは受けなかったので、今回は物語を推薦させていただきました。
予選の段階では作品を通読できていなかったので、投票には参加できなかったのですが、いくつか「これは」と思うものがありました。このまま来期にいってしまうのは少し惜しい気がするので、羅列させていただきます。#2、#10、#12、#24 です。
以上、簡単かつ抽象的にすぎる票感想でした。(この票の参照用リンク)
何と言っていいのかわからないくらいに好きな作品です。「水面下の夢」「ふとん幻想」も本当に一つもケチをつけるところがないくらい好きな作品なのですが、本作を読んだときの高揚感には今ひとつ及ばないので本作を推します。「せざく」は何がどうおもしろいのか一つもわかりません。「輪」は完成度は高いしとても巧いと思いますが、999文字で999文字の物語を紡いだという印象で、広がりが好きな僕には推せませんでした。「ビームズ」は作品自体からは「ノイズ」が出ていないように思えて、こうした作品にはそう感じさせることこそ求めたかったので推しませんでした。(この票の参照用リンク)
予選でも投票しましたし、この作品が優勝したら面白いだろうな、というのが素直な理由です。(この票の参照用リンク)
予選に引き続き、この小説に投票する。終盤、「乳白色の弱々しい生き物が震えながら現れ」る瞬間の緊張、むきだしの暴力性に、目をみはった。描写の力だけが召喚できる、異形の存在である。(でんでん)
(この票の参照用リンク)
以下三つから迷いました。
水面下の夢
前半部が非常によかったので途中まで投票するつもりの勢いで読んでいましたが、最後の落とし所がすこしありきたりすぎたように思います。釣りのアイデアが素敵だったので、なにか惜しいなと思ってしまいました。
海辺の六助
もう全部が面白いのですが、逆に全体的に漫然と面白い(?)ので、最終的に不思議とパワーが感じられなくなってしまっているように思いました。私としては緩急があった方が好みです。
ビームズ
るるるぶさんはもう、小説家というより詩人で、詩人というより音楽家で、だから、こんなの小説じゃあないだろうと私は思っていて、でも大好きだから、小説を書くものとしてはとっても悔しいの、悔しいのだけれど、やっぱり、るるるぶさんの作品には満足してしまいます。悔しいぞ、と思いながら、この作品の優勝を期待して、票を投じます。(この票の参照用リンク)