第195期予選時の投票状況です。9人より23票を頂きました。
# | 題名 | 作者 | 得票数 |
---|---|---|---|
5 | %窶ヲ | 塩むすび | 4 |
8 | 若気の至り | 志菩龍彦 | 4 |
3 | それは多分、罪悪感かな。 | ウワノソラ。 | 3 |
7 | ポストアポカリプス | qbc | 3 |
9 | 私が私であることに気づく前と後の話 | euReka | 3 |
1 | 馬鹿 | トマト | 2 |
4 | JOY | テックスロー | 2 |
2 | Kise won today! | 宇加谷 研一郎 | 1 |
6 | 贅沢な時間 | 霧野楢人 | 1 |
相変わらず残酷な話なのだけど、読んでいると不思議と心が静かになる。この作者の作品はいくつも読んでいるので、今更驚かないということもあるのだけど、それだけではなく、残酷な物語によるカタルシスのようなものもあるのかもしれない。あるいは子供の頃、昔話や怖い話を聞いた時の感覚に似ているような気もする。
ただし、一番最後の「窶は鉞に目をやった。姉はそれを追うように鉞を見た。」という部分がよく分からなかった。(euReka)(この票の参照用リンク)
感情を示す文字は並んでいるが、それ自体が訴えるのではなく、家族という牢獄で呪いの言葉が人の行いを頑なに定め、ひたすらに人が殺されて崩壊し、また身勝手な牢獄が出現すると読みました。酷な話なのに感情が揺れずに読めてしまう作りが面白く感じました。(この票の参照用リンク)
血筋の因縁という背景が、僅かな読書経験の中から枯木灘を思い出させた。次いで感じたのは人間の弱さ。適当に話を切り上げるよりはこのくらいの暗さまで書き切った方が潔いんだろうな。タイトルと名前の正確な読みはわかりません。(この票の参照用リンク)
奇妙な光景が、ありありと表されている。(この票の参照用リンク)
病院で赤ん坊を入れ替えるいたずらをしたが、それは夢だったかもしれない、という話をしたところまでは面白いと思った。普段は控えめなのにとんでもないことをやる爺さんだし、そんな重大なことをやったのに、夢か現実か分からないとはどういうことかと。
しかし、最後の「俺の娘も……その病院にいたんだよ」というオチが、あまりにもカッチリはまり過ぎていて、なんだか冷めてしまう。もっと別の展開や終わらせ方はなかったのだろうか。(euReka)(この票の参照用リンク)
柔らかな時間とぞっとするような悪戯が対照的で面白い。(この票の参照用リンク)
つくりが丁寧だったので。(この票の参照用リンク)
あれは、冗談だったのか本当だったのか。
その後を気にさせる終わり方だった。(この票の参照用リンク)
最後の一文のための振りを延々書くという構成。たしかに最後は、なるほど、と思うのだけど、ちょっと狙いすぎな気もする。そして最後の方で突然「今までに見せた事もないような悲しみを湛えた表情が浮かんでいるように見えた。」と、脈略のないことが語られるのは、つまり一番最後のオチのためなのだけど、やはり少し不自然じゃないかなと思う。
あと、恋人同士のやり取りの描写は、上手いとは思うが、なんだか甘ったるいというか、読んでいて入り込めない感じがした(他人がいちゃついている姿を見せられると居たたまれなくなる感覚?)。あくまでも好みの問題かもしれないが。(euReka)(この票の参照用リンク)
幸せそうな「日常」の中に確かな終わりの予感がある。その感じがうまく描かれているような気がした。ちなみに女にそんな曖昧なことを言われたら、自分は良い方にだけ解釈し受け流してしまいそうである。(この票の参照用リンク)
9作品の中では一番分り易く普遍的、感情移入できる。変な小細工も無し。恋愛ものが好きといふのもあるが。はつきりと言はないところが憎い。(この票の参照用リンク)
バッティングセンター、ママレード作り、仕事上の確執、これらのモチーフはすべてゲームの世界の殺し合いと同じだという結末に向かって進められていて、「自分の経験と、友達の話してくれた友達の経験と、本で読んだ話、どれを一番信頼する?」の一文がそれぞれのモチーフを繋いでいる。(この票の参照用リンク)
「がめつい女」という表現がとてもざらっとしていて、よかった。俯瞰しているほかの登場人物の中で、昔の彼女だけが正直に見えた。(この票の参照用リンク)
「分り易い」話。オチてはゐないけど。科白主体で読み易く、主人公の気持も何となく分る。会話の運びが好きで、1000字以上で読んでみたいと思つた。(この票の参照用リンク)
分かったような分からないような、ぐにゃぐにゃした感じ。(この票の参照用リンク)
「柔らかい感じのもの」と「トゲ」とが何に当たるのかは、わかりやすそうでいて単純なものではないように思う。とにかく、芽が歩きだしてラジオ体操を始めた瞬間に、好きだ、と思ってしまった。学校や村をつくってにやにやする主人公を想像するだけで楽しい。(この票の参照用リンク)
昔読んだ『ショートショートの広場』にありさうな話。この話そのものが“柔らかい”。やさしい。やさしいが、稚拙な表現は無く「ほつと」できる不思議な話。(この票の参照用リンク)
B級映画のような語り口と、突如現れる大鹿の威厳との間に生じるギャップが鹿の姿を浮き彫りにし、臨場感を読者に与えるのだろう。(この票の参照用リンク)
リアルな描写、冗長な描写を蹴散らすほどリアルな鹿が面白かった。
がらがらどんを思い出した。(この票の参照用リンク)
感情のあり方が他者と異なる人間の具象的な人生を追うという、ストーリーとしてはよくありそうなパターンを踏襲しながら、人が豊かな感情をなくしたときに機械的な喜びが希望となるという抽象的な流れを描いた話に読め、そのふたつの流れを面白く読みました。(この票の参照用リンク)
それでいいのか、と違和感が残る余韻がいい。(この票の参照用リンク)
カイゼ? カイゼル? と思って読むと稀勢の里ということが分かった。"Kise is a sumo wrestler"を読んでぱっとそれまでの文章にも意味が与えられ、鮮やかに感じた。(この票の参照用リンク)
鬱蒼とした、狭苦しい命の中で、一人贅沢に果実を摘んで食べる人間の大きな欲と命を感じた。(この票の参照用リンク)