第189期予選時の投票状況です。6人より18票を頂きました。
# | 題名 | 作者 | 得票数 |
---|---|---|---|
11 | 一人暮らし | euReka | 5 |
5 | 森のくまさん | 岩西 健治 | 3 |
9 | テラリウム | 塩むすび | 3 |
1 | 途中で有名な金魚屋がある | なゆら | 2 |
6 | 問. | テックスロー | 2 |
7 | だるまさんになる | 宇加谷 研一郎 | 1 |
8 | 叫んでいいんだよ | qbc | 1 |
10 | 正直者の世界 | 志菩龍彦 | 1 |
前半部分だけなら、割とよく見るエピソードのバリエーションではないかと思います。
後半部分がこの話の真骨頂だと思いました。ひとりがふたりになることで、
容赦なく世界が広がっていくが暗闇もある。良い話でも怖い話でもあるように思いました。(この票の参照用リンク)
自分が認知する世界は実際のところ己の干渉圏、あるいは頭の中に限られる、と考えたら、これは重度の引きこもりが少しずつ外に踏み出していく話のようにも感じました。まぁそうだとしたら主人公の語り方がしっかりし過ぎていて怖いですが、そういう不気味さも含めて楽しく想像しながら読みました。(この票の参照用リンク)
変な設定だけれども面白い、興味深い内容です。
「まだ暗闇の部分も多いので、うっかり落ちないように気を付けている。」
こんな最後も象徴的で、宗教勧誘の女性も、10年ほどこのような環境(外部との途絶環境?)で暮らして、ようやく宗教に勧誘されるだけの権利が生じたみたいな宗教勧誘側の思い上がった部分も隠れて居る様にとれる点が、この小説の美質を盛り上げて居るようにも感じられました。(この票の参照用リンク)
越してきた近所や商店街のように全然知らぬ方向からの広がりとが絡み合って地を作る。地は編み目のような二次元状のものから、膜状の三次元に広がって暗闇を埋め、それが、そこかしこで繰り広げられ、爽快感さえ感じる。(この票の参照用リンク)
最後がとても面白い。視野を外に向けることで自分以外のものに色がついていく感覚がとてもよく表現されている。(この票の参照用リンク)
話の筋はかなり初っ端からほぼ読めるので、特に目新しいというわけではないのですが、
個人的にこういう系の話が好きという気持ちには抗えないので、投票いたします。
細かい日常のエピソードが丁寧に書かれていることで、前景が際立つように思いました。(この票の参照用リンク)
数字の不気味な一致もさることながら、熊さんを撃ち抜くと言う対戦ゲームのシンプルさも好ましい。戦車隊、飛行隊、戦艦隊が出て来る。これなら人が相手なのではと思ってしまうが、そう行ったちょっとした突っ込みたくなるような綻びは、この小説全体の構成や、雰囲気、描写などが補って居ると思う。(この票の参照用リンク)
読みやすくてほっとする。最後の一文は、駆られている感じが出ていてとてもいい。ゲーセンも、戦争も、義務感で。(この票の参照用リンク)
途中で断絶する文章はよっぽどの思惑がなきゃ未完成品に過ぎないと思います。ただ、コデマリとオダマキがどうも頭に残りました。いずれも植物の名前です。それで興味を持ち、よく読むと色や比喩の繰り返しが独特の雰囲気を作っていることに気づきました。淡々とした文体が雰囲気を引き立てていて、最後の一文以外は良い印象が残りました。(この票の参照用リンク)
この話で言うところの「皮」とは、他人や社会の中で生きていくために必要な何かということか。宇宙飛行士にとっての宇宙服とも少し違うような、もっと複雑な意味が込められているように思えて興味深い。
しかし分かりにくい部分も多い気がする。
まず冒頭部分の、母がいなくなったことに対して「被っていた母の皮を脱いだようなものだ」と喩える部分や、「無価値な物を着ると透明に近づける」という部分の「透明」とはどういうことなのかがよく分からない。
そして後半に出てくる「でもそのときの僕には気が付きようもなかったし、選択肢などなかった。」という部分は、なぜ選択肢がないのかが分からない。さらに「織田さんの手の中で携帯が震え続けていた。」という部分も何を言いたいのかよく分からなかった。
あと、最後の段落の「織田さんと小出さんの捌け口として、彼女らに被られる皮として。異物が呼吸をするための皮。」という部分は、分かりにくいというより、イメージだけが先行していて言葉が足りない気がする。(euReka)(この票の参照用リンク)
面白かった。よく読めば気になるところもあると思うけど、そう思わせない勢いがあった。物語に勢いがあるのはいいことだと思った。(この票の参照用リンク)
男も不気味だが母親も不気味。私の運命や如何に(WW)。タイトルとの連関的な内容が最後のスタンザだけにしか出て来ないので主題?である筈の「金魚」が浮いて居る様な気もしましたが、ひどい目に合う自分(私)は鑑賞される性質の「金魚」であると言う位置付けなのか、であるならば、この作品全般にわたって「金魚」は出て来て居る事になる。(この票の参照用リンク)
意識を失った後に、なぜかラブドールになって、なぜか父(主人公の父か?)の相手をさせられ、3時間後に再び人間に戻ったということか。いろいろと謎が多すぎて、読んでいる間中「?」マークが頭に浮かんだままだった。意図的にそうしたのだろうとは思うのだけど、無駄に謎が多いというか、書き方が乱暴すぎるような気もする。
内容については、ラブドールにもし心があったらという、ある意味で深いテーマがあるようにも思えるし、よりによって自分の父(?)の相手をさせられるという最悪の状況を描くことで、ラブドールの抱く嫌悪感や絶望感がより残酷に表現されているように見える。そして性欲という、どうしようもないものの最終処分の風景を見せられているようで、とてもいたたまれない気持ちになった。(euReka)(この票の参照用リンク)
原則的にはどんな回答をしても試験の点数には影響しないが、本当の回答をすると落とされるという、奇妙な矛盾というか逆転に、カフカ的な面白さがあるなと思う。どこまで行っても「本当」のことに辿りつけず、ただぐるぐると物事が回転し続けて、結局よく分からない場所に放り出されてしまうような、そういう奇妙さ。
なので、この作品のアイデアや意図するとことは面白いと思うのだが、途中の回答例の説明(言葉遊び的と数学的)がちょっと退屈。話の展開のために仕方なく書いた文章のように見える。(euReka)(この票の参照用リンク)
ほかの籠には、ほかじゃない籠に入っているもの以外が入っている。リンゴ、またはリンゴ以外のもの、またはリンゴとリンゴ以外のもの以外。(この票の参照用リンク)
2 段落目の細かい描写で、登場人物 2 人の人となりを浮き立たせるのが、
巧みだと思いました。そこまででかなり期待度が上がったのですが、
その後の展開についてはうまく咀嚼できませんでした。序の部分への投票です。(この票の参照用リンク)
たわいのない会話ではあるけれど、そこに立ち上がってくる人間像のようなものはすごく良く書けていて、ただ、「僕は嫌だ」というセリフが何故、僕なのかが何度読んでも分からなかった。(この票の参照用リンク)
ショートショートとしてしっかり整っていると感じました。登場人物は誰も好きになれませんが、オチがしっくりきたので一票入れさせていただきます。(この票の参照用リンク)