第181期予選時の投票状況です。10人より21票を頂きました。
# | 題名 | 作者 | 得票数 |
---|---|---|---|
7 | 江口君のこと | テックスロー | 4 |
8 | 彼方の入道雲はもういない | 岩西 健治 | 4 |
1 | 見える子 | イリト | 3 |
5 | ヒト、ですから…… | わがまま娘 | 3 |
9 | 超能力カップル | euReka | 2 |
2 | カルーアミルク | かささぎ | 1 |
3 | 或る町の夕暮れ | といと | 1 |
4 | スイート・マリー | 宇加谷 研一郎 | 1 |
6 | すいかのにょうさんち | ハギワラシンジ | 1 |
10 | 積み石のアーチ | 塩むすび | 1 |
一見しつこいような言葉の繰り返しであるが、最後まで読むとそれは必然的なものかとも思わされる。良い意味での一貫性もある作品。(この票の参照用リンク)
主人公の行き場のない感情に共感できました。小中学校の頃、こういう子いましたね。リアルさが良かったです。(この票の参照用リンク)
繰り返される口癖が、語り手の心の揺らぎに一本芯を通していて、心地よい読後感を与えてくれた。(この票の参照用リンク)
クラスにいた、ちょっと癖のある子が、ああ、やっぱりね、と思わせるどこか腑に落ちた感じ、江口が捕まったことは直接、樫村に害は及ぼさないが、納得がいってしまった樫村の、それでも、考えさせられた時間の消失は消えることはない。そのような心の動き、考えさせられてしまったことへの感情を表さないことで樫村は自身の消失に決着をつけようとするが、それは、きっと、消えることはなく、何かの折りに「ぐっとこねー」と共に万引きした樫村のことを思い起こすのであろう。そして、消失は、たぶん、ほぼ、永遠に繰り返される。(この票の参照用リンク)
これもまたキーワードになるフレーズが多様されているが、趣は違うものである。個人的にはタイトルと全体の雰囲気、最後の締め括りに纏まりを感じられた作品。(この票の参照用リンク)
熱さと、田園ののどかさと、機械の轟音による意識の混濁が上手く表現されているし、魅力的だと思う。作品の中では、「だって、わたしはあなただから」という、自我や自己同一性の問題が出てくるが、その問題が追求されることなく、意識の混濁を表現するためにのみ語られているように見える。そのやり方は、意識の混濁を表現する上では効果的だと思うが、欲を言えば、そこで終わらずに、もう一歩先に進んだ何かを表現すべきだったのではないかと思う。(euReka)(この票の参照用リンク)
偏頭痛を擬音で考えたことがなかったから面白いと思った。
中盤の・・・音が段々静かになっていき「小さな水音」を聞く・・・ところが良かった。
ただ「そんなこと聞けないよ」は「ん?」と思った。
想像してた性別と違ってて、もう一度読み直した。(この票の参照用リンク)
グワンゴッドドはしつこく感じたが、印象に残ったし、結局話も最後まで読んでしまった。(この票の参照用リンク)
文章トリックが面白かったです。幽霊視点の感情をもう少し読んで見たかったですね。(この票の参照用リンク)
遠く離れていたせいか、これ以外自分の理解が追い付いていかなかった。
こういうベタな話、ここで読めたことが良かった。(この票の参照用リンク)
短くて読みやすい。にもかかわらず視点が一瞬では分からず、複雑さがあり、良い読後感。(この票の参照用リンク)
特別な何かが描かれているわけではないのにじわじわと面白い。母親の猪突猛進さや、姉の語り手に対する評価がさりげなく透けて見える、語りの奥行きの効果だろうか。(この票の参照用リンク)
不条理過ぎない設定が、家族の関係を柔らかく浮き上がらせてくれている。(この票の参照用リンク)
作者はテーマを「家」としたことで、「家」に引っ張られ、「家」に支配されてしまっている。「家」を主張し過ぎて、その先にある心裏を逃しているように感じる。「家」は刺身のツマでも良いと思う。「家」を書かないことで「家」を感じさせることができれば、それは、作者の勝ちであるとも思う。主人公と姉の会話は面白いので、その内容、設定、背景をもっと詳細にすれば、読んでいる側の充実感が増すのではないか。(この票の参照用リンク)
読後に考えさせる余韻や主張がある所が良いと思えた。何度か読む方が味が出てくると思う作品。(この票の参照用リンク)
私は曲に言葉をのせた方(こちらの方が感覚的に作業がしやすいと思う)がしっくりくるのであるが、この小説は、たぶん、詩に曲をつける感じ(ジグソーパズルのように整然と作業する行為)に近いように思う。そんなこと勝手に考えて、作者の創作に私はいつも脱帽している。ただ、その作意的行為が私の心に響き過ぎることもある。(この票の参照用リンク)
読みやすい。五感に訴えかける言葉がちりばめられており、何も考えずに読め、その甘さに浸れるところがよかった。構成もわかりやすくてすんなりしていて、段落あけも含め、読者に余計なことを考えさせないように配慮されているように思えた。だから「優しく穏やかに愛してる」とか、「ショックだった」とかそういう一見陳腐な言葉がストレートに届く。(この票の参照用リンク)
やまなしおちなしに見える。が、逆にそれがいい。(この票の参照用リンク)
わざわざ「ボブディラン」や「カミュ」を入れ込まなくても話は十分成立するし、それらの固有名詞を入れ込むことによる効果や趣もよく伝わってこない。その固有名詞を知らない人にも、それをあえて使う意図や、魅力が伝わるような書き方をすべきではないのか。
物語そのものについては、マリーの衝動的な行動にモームが引っ張られていって、なんとなく二人で幸せに暮らしてくという内容であり、特に何かが起こるわけではない。しかし二人のとりとめのない、可愛さすら感じさせる行動に、どこかほっとするような穏やかな雰囲気が漂っているように思える。
なので作品の雰囲気は好きだが、固有名詞の使い方がマイナスになる。(euReka)(この票の参照用リンク)
あ、SAN値ね……と懐かしい単語に思い当たったりして楽しかった。静かに歪んでいく言語感覚、その到達点である「内側に、神を置いて」までの運びが秀逸だと思う。ぞっとした。自動改札がかわいい。(この票の参照用リンク)
蜘蛛の、蝶に対する嫉妬から生まれた妄想が、もう一つの別の世界を作っているという話だろうか。蜘蛛の嫉妬が深いほど、別の世界の出来事も醜く残酷なものになってしまうという発想は面白いと思う。しかし、話の構成が少し分かりにくいし、表現が回りくどくて文章が頭に入ってこないという点がマイナスになる。(euReka)(この票の参照用リンク)