第181期決勝時の投票状況です。8票を頂きました。
# | 題名 | 作者 | 得票数 |
---|---|---|---|
5 | ヒト、ですから…… | わがまま娘 | 3 |
7 | 江口君のこと | テックスロー | 3 |
1 | 見える子 | イリト | 1 |
8 | 彼方の入道雲はもういない | 岩西 健治 | 1 |
家と巣、ヒトと鳥。小鳥のさえずりのような姉との会話がコミカルで、家族の関係性を上手く浮き上がらせていると思います。(この票の参照用リンク)
家を買ってしまう前に母親と子供で、結婚しない(できない)理由の話は出なかったのか、とコミュニケーションのなさに驚かされるが、案外親子なんてそんなものかもなあと妙なリアリティに納得させられる。姉の一言で母が家の購入に至ったようにも見えるが、当然それだけが理由ではなく、背後にある母親の強い思いがあるはず。それを最後まで感じさせないコミカルなタッチがよかった。(この票の参照用リンク)
#1
圧倒的に言葉がたりない。
#5
じわじわと面白い。テンポのよい会話と、透けて見える人柄とか関係性。その見せ方と文章のバランスがよかった。かろうじて内向きになっておらず安心感がある。短所は結末が弱いところ。一読者として次も楽しみにしております。
#7
色々な「ぐっと来たのだろうか」ポイントを語り手に想像させる構成は面白い。自然とリズムができる。そこから回想に繋ぐのもうまいと思います。
ただ、くどい。濃い味は嫌いではないけど食傷気味です。あと尻すぼみ。
#8
こちらも#7と同じ反復系ですが、音を繰り返すのは悪手だったのでは。単語は広げたり裏から見たりと応用が効くけれど、音は意味が薄いからか反復すればするほど物語がすかすかになってしまう。最後の描写は好みでした。
というわけで、今期は目立たないけどじわじわと面白い#5を推します。(この票の参照用リンク)
少しくどくて読みづらさがありましたが、話としては面白かったです。予選で読んだとき、現在の主人公を中高生ぐらいでイメージしてたんですが、実家に帰るなら大人なんでしょうか?江口くんに偏りすぎてる気がするので、主人公の描写ももう少し欲しかったです。(この票の参照用リンク)
さて、決勝であるが「彼方の入道雲はもういない」は自作なのではずす。「見える子」は予選で入れなかったのではずす。シンプルで軽く読める作品ということで、私はそれを否定して票を入れなかった訳であるが、第一印象は良かった。こういったシンプルなものも一回書いてみよう(読者はライトなものを求めているのか)と思わせた作品ではあった。
「江口君のこと」と「ヒト、ですから……」から今回は選出することになるが、個人的な思考に刺激を与えてくれたのは「江口君のこと」である。言葉の繰り返しがうるさく思える部分もあるが、読者に理解してもらおうとする姿勢が見えてきた(と、勝手に判断した)ので、今後の期待も込めて今回はこちらに入れたい。
「ヒト、ですから……」は、予選で書いた現実感のなさが気になっている。それと、作者の書きたいことが1000文字におさまりきらなくて、長い文章をあえて切っている印象がある。だから、私は尻切れとんぼのような読後感を持ってしまう。不必要な助走が長く、肝心な最後が書かれていないとも感じる。やはり、連作にしたほうが伝わるのではないかと思ってしまう。(この票の参照用リンク)
一番ぐっときたのがこれだった。
こういう、なぜか忘れられないエピソードは誰にでも一つや二つあるのだとは思うが、取り上げ方と、主人公の時間を無駄にした感じが本当にちょうどよかった。(この票の参照用リンク)
始めからオチは予測が付くけど、こういうのは安定のオチでいいのかな、と思う。
正直、ぐっとこねーが口癖の江口君も捨てがたい。確かに、若いときは「ぐっとくる」っていうのが大半を占めていたような気がする。でも、そのまま犯罪に走ってしまうのはどうかな? と。それも若気の至りなのかもしれないが。
後は、もう好みの問題で、単に好きになれなかった。むしろ、苦手な方。(この票の参照用リンク)
予選のときはあまり気にしなかったが、偏頭痛のときに聞こえるさまざまな音?を聞き分けるという発想が独特で、想像力や言葉の向こう側にある何かを捉えようとしているように思う。それから、話が終わりに近づくあたりで、「うん、だんだんとウエルさんが私の中に溶け込んでくる」となっているが、先ほどの、音を聞き分けるという段階で既に二人は溶け合っているように思えるので、「うん、〜」を含めた終わり部分は、もっと別の表現や展開のほうが良かったのではないかという気がする。(euReka)(この票の参照用リンク)