第176期予選時の投票状況です。6人より14票を頂きました。
# | 題名 | 作者 | 得票数 |
---|---|---|---|
1 | 遠い過去に存在したはずの街について | たなかなつみ | 2 |
5 | 観光客らしき青年 | 岩西 健治 | 2 |
6 | 後ろ姿の女と桜 | Masahiro kase | 2 |
8 | 鈍色のナイフ | 塩むすび | 2 |
9 | つながり | わがまま娘 | 2 |
10 | すてきな三毛猫 | euReka | 2 |
4 | 授業 | かんざしトイレ | 1 |
11 | フォーレ「エレジー」 | 宇加谷 研一郎 | 1 |
前期の作品にも漂っていた、ある種のおもむき。それが今作にも感じられました。この作者さんの作風なんですかね?
前期の作品は、ちょっと神学みたいでとっつきにくかったですけど、今作は物書きというアプローチのあるおかげか、ついていけました。
物書きと削除屋。同質なんじゃないの? いや、わたしそのものが二つの存在と同じなのか? 興味深いです。
私は内容を十二分に理解したとまでは言えませんけど、他の方(特に物書き)なら味わえることが多いのではないでしょうか。
根底にあるのは分かりにくい世界観でも、分かり易い設定を込めてバランスよく読ませられる、というのは参考にしたいと思いました。
というわけで、一票☆(弥生 灯火)(この票の参照用リンク)
好み。淡々としていながらも、やや冗長さが感じられる語りが一定のリズムを生んでいる。誰かが作者さんの他の作品を詩だと評していたのもわからなくもない。書き手の透明性みたいなものが抜きん出ていて、読みながら静かな心地になれた。唐突に現れる「没した」は繰り返されると可愛らしいという発見があった。(この票の参照用リンク)
かっちりとした丁寧な文章で、丁寧な物語が語られているという印象です。
読みながら頭のなかで転がっていたのは、この物語の世界についてでした。
文字に記されていない世界について考えながら、丁寧な文章を読む。楽しい時間でした。(この票の参照用リンク)
言語、文化、性別、年齢、そもそもの個々人の隔たりについて意識させられる。違和感の正体は他者と自己が消しきれておらずに残っているためで、そこが面白くもある。(この票の参照用リンク)
言葉をただなぞるって、面白いなあと思った。会話の中で言葉をなぞるのは、相手の言葉を確認する意味があるのだと思うが、何回も同じ言葉をなぞると、その意味が何だったのか分からなくなるというか、意味なんて初めからなかったのではないかという感覚になる。それは空虚なことだけれど、「意味」の重みから解放されたような心地よさもある。
作品自体については、前半が退屈。途中で飽きられてしまうかもしれない。(euReka)(この票の参照用リンク)
何でもないことを奇麗に書いている作品です。だから、全作品を通して読むと、少し沈む印象を持つ。これは奇をてらってないということで、悪いことではない。いや、単体で見ればちゃんと書いてあるんですけれど、平凡、とでも言うのかな。悪くはないけれど、もう一癖ほしいところはあるのも事実。(この票の参照用リンク)
今のわたしには遠くなってしまった感覚ですが、
こういう物語に惹かれた時期というのが確かにありました。ひとつひとつのエピソードが、
当時のわたしの痛みを思い起こさせます。味わい深く読みました。(この票の参照用リンク)
作者の生臭さ、色々なワードが別々の展開を想像させるよう書かれてあるのが面白いとわたしは思う。作者固有のドロドロとしたものも、ここへきて良く中和されている感じだ。あまりギラギラしているものも受け入れられないから、このくらいがちょうどいい、ただ、もう少し読者に歩み寄ってもいいように思う。(この票の参照用リンク)
まいった・・・。
ある存在が、いらない物を家に持ってくるというところや、ある日その存在が人間を連れてくるという展開が、自分の書いた今回の作品(『すてきな三毛猫』)と同じでちょっと(かなり)ビックリした。最後のほうが少し違うぐらいで、話の展開はほぼ同じだ。もちろん、お互いに意図したわけではなく、奇妙な偶然でそうなっただけなのだが・・・。
そういうわけで、似たものを書いてしまった自分としては、この作品に対する評価が難しい。でも、問題になっている「類似した話の展開」にとらわれずに読むと、この話は友情を描いたものであり、色々なことがあっても何となく続いていく友情の温かさみたいなものが表現されているんじゃないかと思う。そして最後は、話の舞台になっている部屋から誰もいなくなって思い出だけが残るという、余韻を残すようないい終わり方だなと思う。
ただし、主人公が少し優しすぎるというか、状況に振り回され過ぎかなという気もする。もう少し抵抗があったほうが、物語にメリハリが出るかもしれない。(euReka)(この票の参照用リンク)
読者はわがままでどん欲である。次を望んでいて、それは当然読者の望んでいるものであるという思いから読み進め、なんか違ったなぁ、という感想を持ってしまう。
乾いた感じがするということ、作品はそれなりに良くできているということ、でも、何かが足りないということ。小野や横山を思ってしまうので、作品に入り込めなかったのも事実だが、置きにいった感じがする。(この票の参照用リンク)
すてきな三毛猫、って響きがまず気に入りました。すてきな三毛猫が幻想的です。
自分の中ではそれは矛盾していませんか? と思ったりもする部分があるのですが、作品の優しくて幻想的な雰囲気がとにかく好きです。(この票の参照用リンク)
とてもすてきな三毛猫でした。すてきな三毛猫だと羅列してあるだけあります(笑)
導入部からの前半、特に良いと感じました。説明が難しいですけど、興味を惹きつける書き方というか、お手本のような感じ。
流れるように読めました。日常の中でちょっと変わった感じを出す作品を、私が好むからかもしれません。
ただ、でもすてきな三毛猫〜からの後半は、前半に負けてると思います。差し替えを希望(笑)
女性との出会いを三毛猫がもってきた、ということなんでしょうけど、なんだろう、パワー不足?
三毛猫の不思議な拾い癖と、地雷の謎も掛かってませんし、勿体ない感じでした。
今期はピンと来る作品が少なかったため、今作に一票入れます。でも決勝に残っても票入れはしないかなあ。(弥生 灯火)(この票の参照用リンク)
まず、「電気椅子」という言葉の選択がいいです。
そして、設定も展開も綺麗に組まれていて、どきどきしますし、続きが読みたくなります。
最終段落をどう捉えるかで評価が分かれるのかなと思いました。(この票の参照用リンク)
タイトルを見て、またウンチクを披露する話なのかと思ったが、読んでみるとそういうわけでもなかった。割と自然な流れの中で「フォーレ「エレジー」」が出てきたなあと。それから話も上手くまとめられていて、読みやすかった。
前半は主人公と河村さんとの男同士の話で、後半はその男同士の空間に「若い女の子」が入ってきてその空間にちょっとした緊張感や高揚感を与える。しかし最後に「キャバクラ的なノリ」になってしまい夢から覚めたような感じで終わる。
話の中で特に何かが起こるわけではないが、それがかえって良くて、中年のオジサンの落ち着いた心境が上手く表現されていると思う。(euReka)(この票の参照用リンク)