全投票一覧(日時順)

第21期決勝時の投票状況です。13票を頂きました。

#題名作者得票数
23馬切茂作紺詠志6
22言いたいこと朽木花織3
18「月刊キレイ」5月号 巻頭特別インタビュー MUROIメイクの提唱者・室井みち子さん妄言王2
21むかし語り五月決算1
24釜の中曠野反次郎1

2004年5月22日 23時18分16秒

推薦作品
馬切茂作(紺詠志)
感想
意中の作が予選落ちしてしまった後、「釜の中」「馬切茂作」いずれかしかない、とまでは思い決めていたが、さて、どちらにしたものか、この評を書く直前まで迷った。読み進めるにつれ、一見古風な「馬切茂作」に同時代的な共感を抱くようになり、逆に現代的な曖昧な不安を描いているかに見える「釜の中」にあきたりなさを感じ始めた。「馬切茂作」は、中盤から主人公の視座が不思議に達観した、鳥瞰的な位置に上昇していくのに違和感があったが、それも尿意を回避しようとした結果だと考えれば、むしろおかしみがわく。高みから見下ろすような視座自体が相対化されている、と読みたい。失禁を気に病むほどのプライドは持ち合わせ、さりとて戦争に加担する気もなく、敵さんもかわいそうに、などとうそぶき、それでもいつか死は身近に及び、自らの手を血に(たとえ死体の血であれ)汚さなければいけない、−われわれとは畢竟、そんな生き物ではないのか、という声が、この作品から聞こえた。とはいえ、「釜の中」が「馬切茂作」に劣っているとも思わない。この投票は暫定的なものでしかない。(この票の参照用リンク

2004年5月22日 20時59分33秒

推薦作品
言いたいこと(朽木花織)
感想
千字小説のやり方の一つに「ワンシーンを切り取って出す」というのがあると思う。「言いたいこと」はその見本のような作品ではないかと。やや弱いかなと思わなくもないんですが、内容の爽やかさに一票です。
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2004年5月22日 19時13分22秒

推薦作品
「月刊キレイ」5月号 巻頭特別インタビュー MUROIメイクの提唱者・室井みち子さん(妄言王)
感想
「言いたいこと」と「オープンカーも音楽も、そして花束も」は、どちらも私の頭の中の同じ位置にある。どちらも少女漫画だ。
 怒りらしい怒りの描写も伏線もなく最後に味方を殺し人血にけがれた「馬切茂作」と、孤独の中で人生を悔い、偶然現われた坊主に殺されながらも母と共に埋めてくれと頼む「むかし語り」、どちらが物語としておもしろいかといえば「むかし語り」だ。突然現われたなぞの坊主に殺されるなど、この作品は最後まで筋の通ったファンタジーであり、一向の一揆における百姓という存在が曖昧である「馬切茂作」よりも評価している。だが、散文詩調に書いたためにか、さほどおもしろさを感じないのがもったいない。

 「月刊キレイ」の室井みち子さんは、あの方がモデルと思われる。確かに彼女は、自分はナチュラルメークをしているのにも関わらず、テレビで見るメイク実践では視聴者モデルに(NHKにも関わらず)ものすごいシャドウをいれている。室井さんは普段からこの作品のようなことを考えているのかもしれない。でもそれを実践することができないでいるのかもしれない。作品自体は、正論といえば正論で、前向きな説教かと思えば、ラストに妙なねじれがあり、編集の女性がマヌケでかわいらしい。(この票の参照用リンク

2004年5月22日 18時51分14秒

推薦作品
むかし語り(五月決算)
感想
大男の悲しさが、テンポよく迫ってきます。最後の坊様の行動は、やっぱり腑に落ちませんが。(この票の参照用リンク

2004年5月22日 18時28分42秒

推薦作品
馬切茂作(紺詠志)
感想
なんかもう、ねぇ、この中じゃこれが一番なんじゃないでしょうか。(この票の参照用リンク

2004年5月22日 17時6分1秒

推薦作品
馬切茂作(紺詠志)
感想
第一段落の、ホックの差で決めました。(この票の参照用リンク

2004年5月22日 10時45分24秒

推薦作品
言いたいこと(朽木花織)
感想
今回はお流れという感じ。予選の票がすくなかったのは、全体のクオリティがひくかったからだろう。
該当作品「なし」という票をあえて投票しようとする意味合いもあまり感じられなかった。前回がわりによかった反動かもしれない。
以下一言、感想など。

「言いたいこと」
予選作のなかで、一番、心にとどく作品ではあった。といっても、今回の予選作のなかでは、という限定があってのことだが。
会話にしても、登場人物二人の行動にしても退屈で、読んでいるのがつらかった。二人に特徴がほとんどなく、どっちがどっちだかまったく区別がつかない。二人の関係には過去にさまざまなエピソードがあるはずだが、そういうことも見えてこない。「友達が転勤するのがさびしい」と直接書くよりはマシという程度で、かろうじて小説になっている作品。ただ、冒頭「高いところに登ると遥か遠くまで見渡せてしまう。実際はそうではないというのに、何となくその光景が全て自分のものだと勘違いしてしまうなあ」というところは印象的だった。

「馬切茂作」
読ませるという点において、うまいとおもった。けれども、話は中途半端におわり、トボケた文章が最後一転して「このとき初めて馬切は、人血にけがれた」と、まじめな時代小説になってしまうチグハグ感があった。さらりと読ませるが、小便をもらす、という下品なところしか印象にのこらない作品。

「「月刊キレイ」5月号 巻頭特別インタビュー MUROIメイクの提唱者・室井みち子さん」
これも読ませるが、会話だけで構成しているため、さあ、これからどうなるのかな、というところでおわる。今回の予選作のなかではもっともおもしろくなりえた可能性があると思うものの、序盤のさらに序盤だけのような作品では、評価のしようがない。千文字というのは、こういう作品が一番苦手なんだということがよくわかる。タイトルが一番おもしろかった。まったく残念。
余談だが、「キレイ」という女性向け雑誌は存在していて、エロ雑誌だったりする。

「オープンカーも音楽も、そして花束も」
個性という意味ではこれが一番で、「三十枚ほど絵を描いて彼は自殺してしまうだろう」といっておいて、六十枚かいてしまったりするあたりのうまさは、読み手よりは書き手受けするという気がする。とはいえ、ところどころ再読に耐えない部分があり、手ばなしで良いとはいいがたい。イメージは鮮烈であっても、語り手にも画家にも人格が感じられないのが問題か(それがいいのかもしれないが)

「むかし語り」
「畑仕事を任せれば、一昼一夜で十反の/荒地を開墾したそうな」とかいたすぐあとに、「おいら」と一人称になる。前者は伝聞であり一人称の語りとは矛盾するが、この矛盾は作者の意図ではないだろう。坊主がでてきて、首をしめる、といった展開は安易としかおもえない。物語のおわりが主人公の死というありがちな展開にたいして、唐突に坊主をだして理由もなく殺させる。作者の御都合がみえるよう。前半は寓話のパターンをなぞったもの(これは「馬切茂作」も同様)。これがこの作品の売りだ!個性だ!といえるものが、短かく改行していること以外にない。

「釜の中」
釡の中には頭がはいっているというように解釈すると、正解!といってもらえるのだろうか? それとも、そんな風に考えるのは読みが浅い、もっとこの作品の深さを考えて、といわれるのだろうか?
こちらとしては、どうでもいいんだけど。
ごはんを沢山たいて、ほったらかしにして、うじうじなやむ。誕生日に彼女とご飯たべようとおもったけど、直前にふられたんだろう。内容にも表現にも、とりたててなにかがあるとおもえなかった。もうしわけないが、なんの感想もない。


「なし」にするかどうかまよったが、相対的にみて、「言いたいこと」に投票することにする。(この票の参照用リンク

2004年5月22日 6時17分47秒

推薦作品
言いたいこと(朽木花織)
感想
 『オープンカーも音楽も、そして花束も』とで迷う。
 細かく見ると、『言いたいこと』には小さな不審点がある。述者の言葉として「風の神様」はいささかメルヘンがすぎないか。また「名前も知らない鳥」はだれが知らないのか不明(主人公の里子だろうとは憶測できるが)だとか、これらには三人称的叙述に一人称的それがあやまって混入している気配がある。
 一方『オープンカーも〜』は、作風が個性的だからキズもキズに見えない無敵の世界。独得の言語感覚に酔わせながら、主人公と画家との距離(画家は絵を描きつづけることで主人公の先をゆき、主人公は描かれる側としてなんら画家に追いつけないこと)と、そんな画家へのむなしい対抗(そして敗北の自認)が表現してあっておもしろい。しかし最終段落の脱字をおぎなうと字数オーバーになるという事実を発見してしまった。ルールはないから失格とは言わないが大減点。
 『オープンカーも〜』の大減点により小減点の『言いたいこと』が勝ち。(この票の参照用リンク

2004年5月21日 21時8分56秒

推薦作品
「月刊キレイ」5月号 巻頭特別インタビュー MUROIメイクの提唱者・室井みち子さん(妄言王)
感想
今期、これを読んでほっとした。(この票の参照用リンク

2004年5月18日 17時42分42秒

推薦作品
馬切茂作(紺詠志)
感想
 残った作品はどれも読みごたえがあったが、『馬切茂作』か『釜の中』のいずれか、とおもった。この二作は、傾向としては全くちがう雑誌に載るものだろう。元来くらべるのが無理だということにもなるが、それを比べてしまうのが『短編』のおもしろさでもある。
 『馬切茂作』は、とにかく完成度の高さを評価した。お話としてよくできていると思う。さらには、坊主の率いる百姓が武士に対抗するという話は、考えようによっては、現在のイスラム自爆主義とアメリカの対決を諷しているようでもある。私は常々、あれは信長と一向一揆みたいなものだと思っているが、宗教の名のもとに命のやりとりをするというのはいかにも空しいことであると言わねばならない。(海)(この票の参照用リンク

2004年5月15日 13時54分8秒

推薦作品
馬切茂作(紺詠志)
感想
予選前にさらっと全作品を読んだ時には、印象に残るお話はありませんでした。
というより読んでいて、つらくなるものが多かったように思います。
基本的な文章作法については人のことが言えないのでさておいて、
作品の末尾で「こういう風に読んでほしいんだけど」というような
読者の読み方を決める文章があるのには正直萎えました。

決勝前に全作品を読み直し、予選通過作にもう一度目を通しました。
そこで、はなはだ消極的ではありますが、技術的に何の問題もなく
舞台設定に興味の持てるこの作品に一票を投じます。(この票の参照用リンク

2004年5月11日 12時49分36秒

推薦作品
釜の中(曠野反次郎)
感想
『馬切茂作』そんなに悪くはないと思う。なんとなくだが”子連れ狼の斬馬刀ってあるよなあ、あれを弱いやつが持ったらどうなるかな”って程度(ってこの程度って表現は悪い意味ではないのだが)で書いたようなそんな感じがする。これが偶々斬鉄剣だったら斬鉄剣で「鍋割茂作」になっていただろうというような。要はナラティブの水準は比較的他界のだがテーマ性というかメッセージ性というか、こう、ふだんいう「モティーフ」の意味のモティーフではなくもっと素の意味ででのモティーフ、イイタイコト、自体が極めて希薄。ってか皆無。って感じ。『釜の中』は上手い下手は兎も角、自我意識への懐疑ってよりもっと根源的な自己存在への懐疑ってような、なんか存在論的不安感が通奏低音っぽくこうながれていて、読み返す価値があるように思う。ってか思った。ってか比較的よく書けていて
【自分 の 炊いた 米】、【そんなに沢山炊くはずがない また 仮に炊いたとしてもほっとく自分ではない】と米と自分との間にアンビバレントな関係をきづき、一方、「首なし死体」「誕生日」と生と死とを対照させる。そして冒頭から最後まで一貫して「生気」の感じられない主人公。それは「死」を暗示しているのかそれとも「存在への不安」の強さを表しているのか? ともかく、何事か「書かずには居れなかった」何事かのあったことをかなり強く感じさせる。
というわけで、これ。(この票の参照用リンク

2004年5月9日 12時48分8秒

推薦作品
馬切茂作(紺詠志)
感想
 消極的に、ああ、消極的に。この中から選ぶとすれば。どれもこれもつまらないので、一番肌に合うものを選ぶしかあるまい。(この票の参照用リンク

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