第21期決勝時の、#24釜の中(曠野反次郎)への投票です(1票)。
『馬切茂作』そんなに悪くはないと思う。なんとなくだが”子連れ狼の斬馬刀ってあるよなあ、あれを弱いやつが持ったらどうなるかな”って程度(ってこの程度って表現は悪い意味ではないのだが)で書いたようなそんな感じがする。これが偶々斬鉄剣だったら斬鉄剣で「鍋割茂作」になっていただろうというような。要はナラティブの水準は比較的他界のだがテーマ性というかメッセージ性というか、こう、ふだんいう「モティーフ」の意味のモティーフではなくもっと素の意味ででのモティーフ、イイタイコト、自体が極めて希薄。ってか皆無。って感じ。『釜の中』は上手い下手は兎も角、自我意識への懐疑ってよりもっと根源的な自己存在への懐疑ってような、なんか存在論的不安感が通奏低音っぽくこうながれていて、読み返す価値があるように思う。ってか思った。ってか比較的よく書けていて
【自分 の 炊いた 米】、【そんなに沢山炊くはずがない また 仮に炊いたとしてもほっとく自分ではない】と米と自分との間にアンビバレントな関係をきづき、一方、「首なし死体」「誕生日」と生と死とを対照させる。そして冒頭から最後まで一貫して「生気」の感じられない主人公。それは「死」を暗示しているのかそれとも「存在への不安」の強さを表しているのか? ともかく、何事か「書かずには居れなかった」何事かのあったことをかなり強く感じさせる。
というわけで、これ。
参照用リンク: #date20040511-124936