投票参照

第21期決勝時の、#22言いたいこと(朽木花織)への投票です(3票)。

2004年5月22日 20時59分33秒

千字小説のやり方の一つに「ワンシーンを切り取って出す」というのがあると思う。「言いたいこと」はその見本のような作品ではないかと。やや弱いかなと思わなくもないんですが、内容の爽やかさに一票です。

参照用リンク: #date20040522-205933

2004年5月22日 10時45分24秒

今回はお流れという感じ。予選の票がすくなかったのは、全体のクオリティがひくかったからだろう。
該当作品「なし」という票をあえて投票しようとする意味合いもあまり感じられなかった。前回がわりによかった反動かもしれない。
以下一言、感想など。

「言いたいこと」
予選作のなかで、一番、心にとどく作品ではあった。といっても、今回の予選作のなかでは、という限定があってのことだが。
会話にしても、登場人物二人の行動にしても退屈で、読んでいるのがつらかった。二人に特徴がほとんどなく、どっちがどっちだかまったく区別がつかない。二人の関係には過去にさまざまなエピソードがあるはずだが、そういうことも見えてこない。「友達が転勤するのがさびしい」と直接書くよりはマシという程度で、かろうじて小説になっている作品。ただ、冒頭「高いところに登ると遥か遠くまで見渡せてしまう。実際はそうではないというのに、何となくその光景が全て自分のものだと勘違いしてしまうなあ」というところは印象的だった。

「馬切茂作」
読ませるという点において、うまいとおもった。けれども、話は中途半端におわり、トボケた文章が最後一転して「このとき初めて馬切は、人血にけがれた」と、まじめな時代小説になってしまうチグハグ感があった。さらりと読ませるが、小便をもらす、という下品なところしか印象にのこらない作品。

「「月刊キレイ」5月号 巻頭特別インタビュー MUROIメイクの提唱者・室井みち子さん」
これも読ませるが、会話だけで構成しているため、さあ、これからどうなるのかな、というところでおわる。今回の予選作のなかではもっともおもしろくなりえた可能性があると思うものの、序盤のさらに序盤だけのような作品では、評価のしようがない。千文字というのは、こういう作品が一番苦手なんだということがよくわかる。タイトルが一番おもしろかった。まったく残念。
余談だが、「キレイ」という女性向け雑誌は存在していて、エロ雑誌だったりする。

「オープンカーも音楽も、そして花束も」
個性という意味ではこれが一番で、「三十枚ほど絵を描いて彼は自殺してしまうだろう」といっておいて、六十枚かいてしまったりするあたりのうまさは、読み手よりは書き手受けするという気がする。とはいえ、ところどころ再読に耐えない部分があり、手ばなしで良いとはいいがたい。イメージは鮮烈であっても、語り手にも画家にも人格が感じられないのが問題か(それがいいのかもしれないが)

「むかし語り」
「畑仕事を任せれば、一昼一夜で十反の/荒地を開墾したそうな」とかいたすぐあとに、「おいら」と一人称になる。前者は伝聞であり一人称の語りとは矛盾するが、この矛盾は作者の意図ではないだろう。坊主がでてきて、首をしめる、といった展開は安易としかおもえない。物語のおわりが主人公の死というありがちな展開にたいして、唐突に坊主をだして理由もなく殺させる。作者の御都合がみえるよう。前半は寓話のパターンをなぞったもの(これは「馬切茂作」も同様)。これがこの作品の売りだ!個性だ!といえるものが、短かく改行していること以外にない。

「釜の中」
釡の中には頭がはいっているというように解釈すると、正解!といってもらえるのだろうか? それとも、そんな風に考えるのは読みが浅い、もっとこの作品の深さを考えて、といわれるのだろうか?
こちらとしては、どうでもいいんだけど。
ごはんを沢山たいて、ほったらかしにして、うじうじなやむ。誕生日に彼女とご飯たべようとおもったけど、直前にふられたんだろう。内容にも表現にも、とりたててなにかがあるとおもえなかった。もうしわけないが、なんの感想もない。


「なし」にするかどうかまよったが、相対的にみて、「言いたいこと」に投票することにする。

参照用リンク: #date20040522-104524

2004年5月22日 6時17分47秒

 『オープンカーも音楽も、そして花束も』とで迷う。
 細かく見ると、『言いたいこと』には小さな不審点がある。述者の言葉として「風の神様」はいささかメルヘンがすぎないか。また「名前も知らない鳥」はだれが知らないのか不明(主人公の里子だろうとは憶測できるが)だとか、これらには三人称的叙述に一人称的それがあやまって混入している気配がある。
 一方『オープンカーも〜』は、作風が個性的だからキズもキズに見えない無敵の世界。独得の言語感覚に酔わせながら、主人公と画家との距離(画家は絵を描きつづけることで主人公の先をゆき、主人公は描かれる側としてなんら画家に追いつけないこと)と、そんな画家へのむなしい対抗(そして敗北の自認)が表現してあっておもしろい。しかし最終段落の脱字をおぎなうと字数オーバーになるという事実を発見してしまった。ルールはないから失格とは言わないが大減点。
 『オープンカーも〜』の大減点により小減点の『言いたいこと』が勝ち。

参照用リンク: #date20040522-061747


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