第184期予選時の投票状況です。4人より11票を頂きました。
# | 題名 | 作者 | 得票数 |
---|---|---|---|
11 | 森を統べる | たなかなつみ | 2 |
14 | 家 | qbc | 2 |
1 | 小野くんは芥川賞をとる | 青沢いり | 1 |
2 | ポタージュ | テックスロー | 1 |
4 | ホットケーキ | 5895 | 1 |
5 | そんな君。そんな私。 | ウワノソラ。 | 1 |
9 | 粃 | 塩むすび | 1 |
12 | いないいない | Y.田中 崖 | 1 |
13 | 神様とスパイ | euReka | 1 |
〈毒=知恵〉というと、旧約聖書に出てくるアダムとイブが食べた禁断の果実がある。旧約聖書では禁断の果実を食べたことにより、人が生まれながらにして持っている罪である〈原罪〉を抱えてしまうという話になっている。http://european-style.net/adam-eve-story/
一方の『森を統べる』のほうでは、毒のある樹皮を食べることは決して禁じられているわけではなく(毒が強いので食べ方には注意を要するみたいだが)、むしろ知恵をつけるために代々食べ続けているといった話になっている。旧約聖書の〈原罪(=毒)〉は、信仰により克服されなければならないものとされているが、『森を統べる』のほうは、毒も一つの重要な糧として受け入れており、〈毒〉に対する捉え方が決定的に違う。あるいは旧約聖書の話が西洋的だとすれば、『森を統べる』の話は東洋的だとも言えるだろう。
こうした旧約聖書との対比を考えるととても興味深い内容ではあるけれど、作品としては、物語の設定を書いただけで終わっており、物語の肉付けのようなものがほとんどなされていないため少し物足りない感じがしてしまう。(euReka)(この票の参照用リンク)
世界が広がっていると感じたのはこの作品だけだった。(この票の参照用リンク)
所詮は他人なんです。すれ違いながら、それでも一緒に住むのが、いいのだと思います。(この票の参照用リンク)
安定して面白いし、形式もバリエーションに富んでいる。そして、馬鹿げたことを書く。でも、票を入れたいと思わないのは何故なのであろうか。(この票の参照用リンク)
機微。丁寧に描かれていると感じた。(この票の参照用リンク)
結婚相手の女性を、世間への体裁のためのものとしか考えないという話は、戦前とか明治時代の話みたいだなと思ったが、後半はゲームの話に突入して急に現代的になってしまう。そのギャップが少し面白いなと思ったし、ゲームの中の世界という、現実とは別の世界が途中から展開されるという構成も面白いと思う。
それから、主人公とその夫はどちらも愛することに不器用で、お互いにお互いのことを貶めるようなことばかりするのだけれど、最後に落ちるところまで落ちたところでやっと気持ちが通じ合うという――お決まりの流れではあるけれど、焼け野原に花が咲いたような気分になれて、悪くないなと思う。
あと、「豆腐を噛むような気持ちで金を使い」という表現がよく分からない。歯ごたえの無い→実感のない金の使い方?(euReka)(この票の参照用リンク)
ホットケーキのもつイメージとバランスが上手いと思いました。(この票の参照用リンク)
希薄な付き合いが細々と続いていくというのが通信制ならでは、ということなのだろうか。しかしそんな中でも、誕生日が偶然同じだったり、不意に性行為のお願いされるといった、突発的に火が燃え上がるような瞬間が描かれていて面白い。野生動物が交尾の機会を逃さないよう必死になる姿を思わせる。
しかし、最後の終わり方がいまいちだった。1000文字まで来てしまったからとりあえず終わらせた、というふうに見えてしまう。
あと、岩西さんの感想を読んで気づいたのだが、たしかに途中から古川が市川変わっている。私は気づかなかったので普通に読めたが、気づいていたら少し気分が冷めてしまっただろうなと思う。(euReka)(この票の参照用リンク)
獣みたいなえろさと、途中の唄うみたいな言葉遊びと、タイトルの含み。(この票の参照用リンク)
行ってきます。とは言うが、ただいま。とは言っていない。何かを書こうとして何となくイメージだけが通り過ぎて行く。謎が尽きない作品である。(この票の参照用リンク)
存在の不確実性。あるいは名前を与えられた時点で物は存在を証明されるということ。少なくとも人間は存在を証明したがるものなのだ(この票の参照用リンク)