第184期予選時の、#11森を統べる(たなかなつみ)への投票です(2票)。
〈毒=知恵〉というと、旧約聖書に出てくるアダムとイブが食べた禁断の果実がある。旧約聖書では禁断の果実を食べたことにより、人が生まれながらにして持っている罪である〈原罪〉を抱えてしまうという話になっている。http://european-style.net/adam-eve-story/
一方の『森を統べる』のほうでは、毒のある樹皮を食べることは決して禁じられているわけではなく(毒が強いので食べ方には注意を要するみたいだが)、むしろ知恵をつけるために代々食べ続けているといった話になっている。旧約聖書の〈原罪(=毒)〉は、信仰により克服されなければならないものとされているが、『森を統べる』のほうは、毒も一つの重要な糧として受け入れており、〈毒〉に対する捉え方が決定的に違う。あるいは旧約聖書の話が西洋的だとすれば、『森を統べる』の話は東洋的だとも言えるだろう。
こうした旧約聖書との対比を考えるととても興味深い内容ではあるけれど、作品としては、物語の設定を書いただけで終わっており、物語の肉付けのようなものがほとんどなされていないため少し物足りない感じがしてしまう。(euReka)
参照用リンク: #date20180131-210349