第72期決勝時の投票状況です。10票を頂きました。
# | 題名 | 作者 | 得票数 |
---|---|---|---|
9 | 丘 | サカヅキイヅミ | 4 |
3 | ラブストーリーは突然に | リバー | 3 |
6 | マルボロ女 | 森下紅己 | 1 |
16 | 隣人からのメッセージ | 壱カヲル | 1 |
- | なし | 1 |
前期作品は、私にはもう一つ読み取れなくて推せなかったのですが、この作品に至って作者の表現したいことがわかったような気がしました。間違っていたら申し訳ないけれども、作者は前期の作品を踏み台にして、さらに考えを深めて、この作品を書かれたのではないかという気がします。千字で完結させて、さらに先を考えた努力に敬意を表したいと思います。
他の作品も興味深く読みました。『マルボロ女』よかったです。類型的な人物造形とも見えますが、主人公の語りに作者がしっかり憑依しているように感じられました。『ラブストーリーは突然に』爽快でした。文字表現を意識的に詰めていくと、ともすると低体温みたいな虚弱さになりがちなんですが、この作品は「熱さ」をうまく表現していると思います。『外は大降りの雨だった』掲示板のスピンオフと併せて読むとよくわかります。ということはこの作品だけでは今一つだということにもなりますが、『短編』の良さはこういう自由さにもあると思うんです。ちなみにあれを書いているのは作者さんでしょうか? 『隣人からのメッセージ』形而上的な書き方で、私には実は未だよくわかったとはいえないのですが、読み返さざるをえない難解な表現に意味があるのかもしれません。(海)(この票の参照用リンク)
勝ち残った作品の中ではずば抜けていると思います。あまりいい態度とも思えませんが、それぞれ再読するまでもなくこの作品に投票します。(この票の参照用リンク)
6 マルボロ女 ありがち。10代の子が好んで書くテーマ。散漫。
3 ラブストーリーは突然に ロナウジーニョのほうがよかったと、私も思った。
15 外は大降りの雨だった 余計な情報が多すぎる。これから10000文字書くならそういう背景は必要かもしれないけど、1000字だぜ。いちいち、これは何故だろうこれは意味があるのだろうかと立ち止まらせるのに、全然意味が無くて、関係ないじゃんと腹立たしくなる。
16 隣人からのメッセージ 若さって美しいなあ。うらやましいぜ。
というわけで「丘」に決めました。
物語る、ということがきちんとしていて読後感がよかった。
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あら探しをしても思い浮かぶものがないのはこれひとつだと思ったため。(黒田皐月)(この票の参照用リンク)
笑えた。笑えるお話というのはそれだけで難しいので評価できるが、この短さで外面的ではない女の可愛らしさや男の心の変化を描ききったのがいい。
オチの爽やかさも素晴らしい。(この票の参照用リンク)
この作品は、ずばぬけて素晴らしい! という作品・・・・・・つまりどこを歩いていても誰もが注目してしまう美人のような、そんな作品ではないと思う。文学的な雰囲気だけでいえば、「丘」の方がなんとなくブンガクしているようなところがあるし、現代をリアルに描いていそうなのは、なんとなく「マルボロ女」であるように思える。
私がこの作品を推すのは、表面的な雰囲気や時代感覚ではなく、物語っている話の背骨の部分、つまり物語の性格が今期で一番いいなと思ったからだ。物語の主人公はちょっとバカっぽいな、と思わされるものの、いい女と出会いたいのは男の本能であるだろうし、周りが美人相手にしているなかでもめげずに「女ロナウド」からなんとか長所を探しだそうとする努力に感動を覚える。
「155キロと同じぐらいのスピードで眼球を直撃し、脊髄を通っておれの股間を刺激」するほどの乳房というのを見てみたいものだ、と比喩の力が迫ってくる。見事なオチのあとに、結局この主人公が女を本当に好きになった、という結末が、読んでいて気持ちいい。
なにも作者は読者に媚びろ、というようなことは思っていないし、それどころかむしろ媚びた話ほど不快なものはないと思っているが、この作品の始まり、オチ、ラストのどれをとっても嫌な気持ちになることなく、まるで良い接客でも受けているような、「してやられた」という読後感であった。こういった話をもっと読みたいです。
ちなみに表面的な、と失礼なことを書いてしまった「丘」であるけれども、この話を本当に理解しようとすると、実は差別について、とても深いことが語られていると思う。そして私は作者のテーマへの捉え方に共感できない。でも、ということは、はまった人ははまるだろうな、と思いました。
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他の作品よりよいと思うので。女の子が魅力的。
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あと必要なのは文章のきれいさなんじゃないのかなあと思う。
なんかもっとかっこよく書いてほしい。なんかもっとなあ。
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(qbc)(この票の参照用リンク)
ラブストーリーは突然に、もいい作品だと思ったけど、心の中をあらわしていたこの作品が1番今回の中では好きだったので。(この票の参照用リンク)
読んで面白いと思えるものがなかった、というのは単に、僕の価値観に照らし合わせての話だから、たとえばサカヅキイヅミさんの『丘』は普遍性もあって高評価を受けるだろうなと思う。優勝作品はこれがいい。自分はこの作者のような巧さを持ち合わせていないから非常に羨ましくもある。但し、小説とは何か、文章をもって表現するとは何かと考えたときに、構成や文体の巧さといったものが必ずしも重要事項ではなく、自分の裡から涌き出る言葉をできるかぎり正確な綴りで書き表したもののほうが、より本質に近いのではないかと考える。「小説を小説足らしめるのに必ずしも物語は必要でない」。短編というサイトは創作小説を競い合わせるところだが、創作とは何かと考えたとき、それは存在しない全くの嘘を作り上げることではなくて、ある程度は自分の裡に存在するモヤモヤした思念から吐き出される言葉ではないのかなと思う。とは言ってみたものの作者全員にそれを強要するわけにもいかない。嘘を上手く書ける人は、書いていればいいと思うし、時には面白いものがあるかもしれない。本当に読みたいものは自分で書けばいいだけのことだ。(この票の参照用リンク)