第190期予選時の投票状況です。3人より9票を頂きました。
# | 題名 | 作者 | 得票数 |
---|---|---|---|
3 | 感情泥棒 | テックスロー | 2 |
5 | 雨ニモマケヌ | 岩西 健治 | 2 |
7 | スピーチの草案 | qbc | 2 |
8 | 繋がれた男 | 塩むすび | 2 |
4 | 夏の夢 | 霧野楢人 | 1 |
最後の主人公の言い方にはすごく不満はあるが、それ以外の人間的な感情の書き方には読者の感情を奪う効果が含まれている。(この票の参照用リンク)
すごく身近な話に感じたから、現実逃避を求める読者としては読みたくなかったというのが正直な感想。そのくらい、人あるいは大人とか社会とかの卑しさ、哀しさがよく描かれている作品のように思う。この部下も上司も好きにはなれないが、どちらにも感情移入していまう。そういう魅力のある文章だった。(この票の参照用リンク)
前半はひたすら死について書き、後半は生について書くという構成。世の中には死があふれているが、それと同じぐらい生もあふれていて、その死と生という、どうにもならないものをいつも受け取りながら自分は存在しているといったことを書きたかったのだろうか。
書き方は少し雑だし、まだまだ工夫する余地が残されている気もするが、じわじわと伝わってくるものはあるなと思う。死や生のようなどうにもならないものがあるからこそ、小説を書く必要が出てくるのだろう。(euReka)(この票の参照用リンク)
平凡な人生を生きる幸せな男が、無闇矢鱈に人の死に思いを馳せ、好き好んで死に怯えている、と考えることもできるけれど、別に死というものを嘆く作品ではないのだろう。当たり前のような人生の周り、あるいはすぐ前か後ろに、当たり前のように死が溢れているということ。それを大前提として、作品はうまい具合に死の匂いを引き立てているように思う。情感がある。(この票の参照用リンク)
嫌な面を読ませることにより、そうではない面も読ませることになっいる。(この票の参照用リンク)
何度も読み返して結局自分の恋のくだりは全カットするところまで想像した。絶対人に話さないだろうことを文章に起こしてみたくなる衝動。そこには並々ならない想いがあるのかもしれない。歳がいっている分この先生の(多分語られない)言葉には寂しさを感じる。それが祝いの席のスピーチの草案というのも切ない。(この票の参照用リンク)
復讐心というものは、どうやったら満たされるのかや、そもそも満たされることがあるのかといった問題提起がなされている点はいいと思う。しかし主人公も、復讐を受ける囚人の側も、どちらもただ復讐や狂気の泥沼でもがいているだけであり、物語が閉じていくだけという印象しか持てない。問題の解決策を見つけるというところまでは行かなくても、何か突き抜けていくものが欲しい。(euReka)(この票の参照用リンク)
最初全然理解できなかったが、同一人物だとすることで、全体が見えてきた。(この票の参照用リンク)
とても丁寧に書かれた文章で、それはいいと思うのだけど、表現に文学臭が漂っていて、それが少し鼻に付く。なぜ文学臭が悪いのかというと、その書き方は本当にその人の表現なのかなと思ってしまうからだ。この作品の場合は、半分はオリジナルで、もう半分は何かの文学的な表現のイメージを借りてきているように感じる。
内容については、夢の中に出てくるようなとりとめのない出来事に過ぎないのだが(実際に夢というオチだったが)、そのフワフワとした感覚がよく表現されていると思う。ただし、少女の意味ありげな言葉(「あなたのお嫁さんなんだよ」と「あなたが子供の頃に会っておきたかった」)だけを残して、そのまま放り投げてしまった感じがして、いったい何だったのだろうと首をかしげたくなった。(euReka)(この票の参照用リンク)