第54期決勝時の投票状況です。11票を頂きました。
# | 題名 | 作者 | 得票数 |
---|---|---|---|
20 | スウィートサワー | 夕月 朱 | 5 |
22 | 贋僕、贋冒険小説を書く | qbc | 3 |
16 | 擬装☆少女 千字一時物語9 | 黒田皐月 | 2 |
- | なし | 1 |
しっかり物語になっているからという、正道の評価。
蜜柑がなくなるという設定はあるいは奇道かも知れないが、それを奇道と見せないだけの作りになっているのか、あるいは予選通過作品に奇道を行くものが多かったせいか。多分、前者なのだろう。(黒田皐月)
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最初に全作品を一通り読んだ時は正直マークしていませんでした。でもその時は忙しさもあって、今思うと全作品を流して読んでいたような気がする。
決勝が始まり改めてじっくり読んでみるたら……おお、これはいいんじゃないの、と思いました。個人的に最後はちょっと違う終わり方をしてほしかったのですが、蜜柑というのが何だか昔の恋人を表しているようで(というか作者さんはそういう狙いなのだろうが)、そういう部分も含め面白かった。
それにしても、今度全作品を読む時は、もうちょっとしっかり読むことにします。反省。そういうことも教えてくれた(関係ない)。(この票の参照用リンク)
『擬装☆少女 千字一時物語9』
女の子が僕のものになったらなっていつだって思ってるからネグリジェを着て寝る、というのは変わっている行為ではあるけれど、主人公はとにかく幸せそうだし、眠ってしまったし、そういう楽しみを持つ人も世の中にはいるのだろうなあというのが第一印象で、何度読んでもその印象は変わりませんでした。
『嘘を吐いているのは誰だ?』
ちゃんとしていそうでちゃんとしていないのが計算されている事だったらすごいなあと思います。これはにやにやしながら読み返しました。
『贋僕、贋冒険小説を書く』
「贋」と「本物」を入れ替えて書かれてあったら面白かったなと思いました。
こういう文章を読むと、るるるぶ☆どっぐちゃんさんはすごいのだなあと改めて感じ入ります。
『スウィートサワー』
最後の「甘いだけのキスをした」がちょっと恥ずかしくて、こういう感じのくささがあと少しでも増えるときっと読んでも面白くないのですが、ぎりぎりのところで踏み止まっているという感じで、それがなかなかスリリングでもあります。
(三浦)(この票の参照用リンク)
みかんの話なのに、こんなに切ない(この票の参照用リンク)
この四つの中で改めて読んでみると、この作品が一番良い。
テンポが良く、とりあえず最後まで読め、その後に笑えます。
最後の一文が歯切れの良さを出してると思います。(この票の参照用リンク)
内容も面白かったですが、何より文体が良かったです。トリッキーなのにきちんと読ませる。(この票の参照用リンク)
この世のもろもろを片端から、贋、贋と切ってまわるシニシズムは目新しくないけれど、贋と知っている心臓をあえて高鳴らせる、その滑稽で痛々しいふるまいには、胸を衝かれた。
あらゆる物事に注意深く「贋」を冠しながら、贋の彼女の笑顔を前にして「芯から」可愛い、と嘆息してしまう、そんな主人公のナイーブさに、つい微笑んだ。その「贋彼女」には、戯画的なタッチながら、したたかなリアリティがある。上手いものだと思う。枯れ枝をパキパキ折っていくような文体も成功している。
もぐらさんも言うように、結末にはいまひとつ、物足りなさを感じないでもない。終焉も贋、来世もまた贋ではないか。しかし、贋に贋を重ねた果てに、「来世があればの話ですが、どうか次は良い時代が築けますように」というナイーブなつぶやきが洩れる時、思わずはっとしてしまうことも事実である。(でんでん)(この票の参照用リンク)
ここまで贋贋連呼されると心地いい。(この票の参照用リンク)
18
タイトルにだまされて矛盾を楽しんだ。
作者の意図的ではない矛盾が目に付いた。
とはいうものの、すばらしい嘘だと思う。作者の個性はよく出ていると思う。
今後に期待。
20
完成度は高いと思う。
きちんと書かれているし、構成もしっかりしていると思う。
でも、そのきちんとさ加減がいささか面白みにかける。
他のサイトなら一番になるかもしれないけれど
このサイトでずっと1000字小説を読んでいると、もう一歩を期待してしまう。内容も題材も展開も、ありきたり。
22
この作品はもう、このサイトでしか読めないと思われるほど個性的。最後の三行、もっと違う物があってもよかったかもしれない。
というわけで16にしました。
鬼気迫る感じのようでいて一歩引いている。
そこにちゃんと客観があるのが面白いと思いました。(この票の参照用リンク)
初読の印象どおり、今になって読み返しても味がある一遍だな、と思う。はじめはフランス映画の主人公の独り言のように読んだけど、今読むと映画の淀川長治がベッドで言ってそうだ、と思った。個人的嗜好を読み手に共感させるのは難しいと思うけれど、この作品では主人公の陶酔が主観的でありながらある意味では冷めていて、それで見事に読ませられた。よかったです。
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敢えて四作品の中から選ぶとするなら『スウィートサワー』になるのですが積極的に推したいとは思えないのでやはり「無し」票を投じることにします。(この票の参照用リンク)