全投票一覧(日時順)

第275期予選時の投票状況です。4人より10票を頂きました。

#題名作者得票数
1宇宙人蘇泉3
2坂の下の中華屋OS3
4砂漠に隠された財宝三浦3
3「野球帽」飯島和男1

2025年8月30日 12時37分52秒

推薦作品
宇宙人(蘇泉)
感想
 語り手が「ちょっと頭のおかしいタイプの美少女」と思っていた相手が「警官」にも認知されている「本物の宇宙人」だった、というお話です。
 「Google翻訳」は「本物の宇宙人」側の言語も翻訳できる、という考えオチが面白いです。
(三浦)(この票の参照用リンク
推薦作品
坂の下の中華屋(OS)
感想
 「小さな中華屋」を訪れた語り手は実は「ゴキブリ」で、「小さな中華屋」は「ゴキブリホイホイ」だった。さらに、「ゴキブリホイホイ」を仕掛けた「親子」もまた「箱」の中に入っていて、その「箱」の外には「透明な手」を持つ「巨大な」何かがいる、というお話です。
 実は「ゴキブリ」だった語り手ですが、あまりに人間らしい描写をするので、おそらくフランツ・カフカの小説『変身』の主人公グレゴール・ザムザのように、ある日突然「ゴキブリ」に変わってしまった人間なのでしょう。とするならば、語り手のその不条理な境遇が、この話の不条理な展開に説得力を持たせていると言えると思います。
(三浦)(この票の参照用リンク
推薦作品
「野球帽」(飯島和男)
感想
 上野駅のガード下にいた「ホームレス」の「野球帽のおばあさん」を気にかけていた「私」が、「冬いちばんの寒さがやってきた日」に「段ボールと毛布にくるまった多くの人たち」(ホームレス)に「温かい飲み物と使い捨てカイロ」を配るが、それ以来「野球帽のおばあさん」の姿を上野駅で見かけなくなる。「私」は「「何かできるかもしれない」と思えたあの日の気持ち」は「おばあさんが、私の人生にそっと残していった、忘れられない贈りものだった」と思う、というお話です。
 上野駅、という言葉にさそわれたのか、吉野弘の詩『夕焼け』を思い出しました。あの詩と、この作品とでは、主人公がとる行動の順序が正反対で、なんだか大人になった『夕焼け』の主人公(「娘」)の話のように読んでいました。
(三浦)(この票の参照用リンク

2025年8月25日 19時13分48秒

推薦作品
宇宙人(蘇泉)
感想
その女の子がクレイジーなだけなのか、それとも本物の宇宙人なのかを読者に想像させようとする書き方がいいなと思った。
ただし個人的には、女の子がクレイジー少女か宇宙人か、というとが最後まで分からないような終わり方をしたほうが面白いかもなと。(この票の参照用リンク
推薦作品
坂の下の中華屋(OS)
感想
ゴキブリが人間の夢を見ている設定のようだが、逆に人間がゴキブリの夢を見ているようにも受け取れるという曖昧さや、存在が不安定な感じが面白いなと思った。(この票の参照用リンク
推薦作品
砂漠に隠された財宝(三浦)
感想
一文ごとに段落をつけて、規則的に文章を並べたような構成だが、中盤からその規則が微妙に崩れる箇所があるから、いったい何なのだろうという気分になったりして、物語の内容より文章の構成のほうが気になってしまうという変な作品。(この票の参照用リンク

2025年8月16日 21時35分47秒

推薦作品
宇宙人(蘇泉)
感想
これはやられました、「えっ?!」と驚かされたら、もう敵いませんね。文法が間違っている敬語を操る異星人と言えば、最近では『Dr. STONE』が思い出されますが、やはり『GANTZ』でしょうね。あの作品を思い出すと、美少女がかわいらしいと言っている場合ではありませんね。(この票の参照用リンク
推薦作品
坂の下の中華屋(OS)
感想
これも読者の予想を覆す秀作でしたが、地震、ゴーストタウン、店主のいないラーメン屋、という流れからは、もうちょっと違う展開にもできた気がしました。仲間と一緒に来て、片方が状況を怪しんだり、とか。巨大生物に観察される状況はこちらも『GANTZ』を彷彿(ほうふつ)とさせましたね。(この票の参照用リンク
推薦作品
砂漠に隠された財宝(三浦)
感想
結果は分かっているのについつい読まされてしまうのは作者の筆力によるのでしょう。興味を持った人を案内してガイド料をせしめるのが良いと思います。

『「野球帽」』はあまりに素敵な話がそのまま終わってしまって「あれっ?」と思わされました。note のブログも拝見しましたが、真面目な方なのでしょうね。継続的にはできないことをやっぱりしてしまうのが、優しい方の心の動きなのでしょう。ただ、それで終わってしまうのなら、今期の優秀な作品たちには敵わなかったのだと思います。
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2025年8月16日 21時27分39秒

推薦作品
砂漠に隠された財宝(三浦)
感想
初めの二行でオチは読めます。しかし、何度も笑いました。
"少年には理解できない言葉を歌のように口にした"→なぜ呪文としない "キツネの尾のような房がついた一本の茎"→虎を撫でるだけかい "おれが編み出した魔法だ"→習性やろ "友人の呪文で開く"→ここは呪文かい "崩れ落ちたのだった"→学習せんかい(友達あほ過ぎんか) 
冒頭の友達が一度失敗する伏線を最後回収し、倒叙形式の作品と後で気づく。読めていたのではなく私の突っ込みも、全て三浦さんの手のひらだったのかとお見事です。

『野球帽』
爽やかなお話でした。自己満足かと逡巡する主人公は心が優しく、細部まで他者を思いやれる方ですね。行動力もあり、自分の方が贈り物を頂いたと謙虚な姿勢で、心が温かくなり希望を感じました。文体にも清潔感がありますね。

『宇宙人』
面白かったです。蘇泉さんは今のツールから物語を広げるのが本当に上手で、発想力が豊かですね。宇宙人の意図など、せっかくだからもう一ひねりがあっていいかなと思いました。美人局的な侵略とか面白怖い。論理的で洗練された文章力ですね美しい。(この票の参照用リンク

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