第275期予選時の、#4砂漠に隠された財宝(三浦)への投票です(3票)。
一文ごとに段落をつけて、規則的に文章を並べたような構成だが、中盤からその規則が微妙に崩れる箇所があるから、いったい何なのだろうという気分になったりして、物語の内容より文章の構成のほうが気になってしまうという変な作品。
参照用リンク: #date20250825-191348
結果は分かっているのについつい読まされてしまうのは作者の筆力によるのでしょう。興味を持った人を案内してガイド料をせしめるのが良いと思います。
『「野球帽」』はあまりに素敵な話がそのまま終わってしまって「あれっ?」と思わされました。note のブログも拝見しましたが、真面目な方なのでしょうね。継続的にはできないことをやっぱりしてしまうのが、優しい方の心の動きなのでしょう。ただ、それで終わってしまうのなら、今期の優秀な作品たちには敵わなかったのだと思います。
参照用リンク: #date20250816-213547
初めの二行でオチは読めます。しかし、何度も笑いました。
"少年には理解できない言葉を歌のように口にした"→なぜ呪文としない "キツネの尾のような房がついた一本の茎"→虎を撫でるだけかい "おれが編み出した魔法だ"→習性やろ "友人の呪文で開く"→ここは呪文かい "崩れ落ちたのだった"→学習せんかい(友達あほ過ぎんか)
冒頭の友達が一度失敗する伏線を最後回収し、倒叙形式の作品と後で気づく。読めていたのではなく私の突っ込みも、全て三浦さんの手のひらだったのかとお見事です。
『野球帽』
爽やかなお話でした。自己満足かと逡巡する主人公は心が優しく、細部まで他者を思いやれる方ですね。行動力もあり、自分の方が贈り物を頂いたと謙虚な姿勢で、心が温かくなり希望を感じました。文体にも清潔感がありますね。
『宇宙人』
面白かったです。蘇泉さんは今のツールから物語を広げるのが本当に上手で、発想力が豊かですね。宇宙人の意図など、せっかくだからもう一ひねりがあっていいかなと思いました。美人局的な侵略とか面白怖い。論理的で洗練された文章力ですね美しい。
参照用リンク: #date20250816-212739