第231期決勝時の投票状況です。6票を頂きました。
# | 題名 | 作者 | 得票数 |
---|---|---|---|
1 | ひばりのや | 瓶八 | 1 |
2 | クリスマスプレゼント | いぶき | 1 |
3 | PINK MOON | テックスロー | 1 |
6 | サンタクロースへの手紙 | 朝飯抜太郎 | 1 |
7 | 双子のダンス | euReka | 1 |
- | なし | 1 |
あけましておめでとうございます。
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双子のダンスと悩んだけど、凧がいいなと思ったのでこちらにします。(この票の参照用リンク)
今期、話の完成度としては飛び抜けていたと思います。目を惹きつけられて離せなくなってしまう、またその想いを掬い上げてくれる特別な出会いを持てたことは幸運ですね。素敵なクリスマスプレゼントだったと思います。
『正しい!』は…、言葉はその人が“正しい”と思うことを発するために用いるものではなく、相手との意思疎通・心の交流のために用いるものでしょう。配慮なく発した言葉は相手を傷つけるだけ、つまりは自己満足に過ぎないものとなります。さらに、相手が自信を持てないでいる身体的特徴について、傷をえぐるような言葉を発することは、相手を傷つけるだけではなく、回り回って自分にも不利益をもたらすことでしょう。この作品に票が入ったことを残念に感じました。(この票の参照用リンク)
#3 PINK MOONを推します
月と女性が結びつけられる文化は多いが、おっぱいというよりは月経を介してる印象がある。月はひとつであり、おっぱいはふたつであるというのがその原因かもしれない。本文に出てこなかった月が、タイトルに英語の大文字となって現れるのは、MOONのOOをおっぱいとして見立てているからと思われる。英語でなくてはならないし、大文字でなければならない。
PINKは撫子のことであるが、日本人の女性はピンクを撫子の花の色とは認識していないし、撫子色という表現を使う気もない。ピンクはピンクである。それは、ブラジャーや、働いて自分の好きなものを買う女性像、と同様に欧米から輸入されたものであり、ファッション雑誌がすり込む言葉であり、自分から恋人に下着を見せて挑発を試みる女性と同様に、オフェンシブな女性美の形であるはずだ。だからPINK表記もしっくりくるし積極的な主人公とも相性がよい。
美人であり、おしゃれを楽しみ、同姓の盟友と秘密を共有し、恋人がいて、彼を気に入っている。まだ知らぬ母性も満たしている。「可愛い、可愛い。愛してる」は幸せ宣言に近い。
しかしその幸せはもしかしたら絶頂かもしれない。男女に関わらず、持って生まれたジェンダーが己を呪うことがある。ちょうど今期の#9でも書かれたような、全てが反転するような激しいジェンダーへの憎しみも起こり得る。
そうであるからこそ、人生の満月のような瞬間は書かれるべきだし、あまり書かれないものだと思う。(この票の参照用リンク)
千字のなかにSF要素と謎解き?要素を含めて、やや強引ではあるが丸く収めたところがよかった。「26kgはある」という台詞が絶妙な伏線になっている点(これが例えば25や30では全く伏線として機能しない)、「旧式のドローン」で近未来を端的に表す点など、短い語句での表現の幅に驚かされる。難点としては、電子天秤をプレゼントに頼む子どもへの違和感と、謎解きの答えが超能力というのが「そんなのあり?」となることだろうか。あとこれはひとりの親としての勝手な読みだが、「大人たちがこの日にかける努力をまだ知らない。」に社会全体で子どもの夢を守る姿勢が見え、私たちが属する社会を省みると同時に、作者の祈りのようなものを感じた。
シーンの美しさ、先生に対する心境の変化の明暗がよかった#2と迷ったが、千字小説の可能性に驚かされた#6に票を投じる。(この票の参照用リンク)
何度読み返しても、最後のエピソードで笑ってしまう。双子の存在から始まって、実は宇宙人でしたという流れまでは、
確かに突拍子のないエピソードの繰り返しではあるのだけど、話の流れとしてありうるものとして、
予想できる範囲の違和感なのだけど、「ピストル使いの教授」は完全に虚を突かれました。最後まで楽しく読みました。(この票の参照用リンク)
予選で票無しにしたので、決勝も票無しになるけど、今年も面白い作品を期待したい。
昨年(2021年)、一番面白いなと思ったのは、223期の、たなかなつみさんの『仏』かな。(この票の参照用リンク)