第226期決勝時の投票状況です。7票を頂きました。
# | 題名 | 作者 | 得票数 |
---|---|---|---|
4 | 夏の住人 | euReka | 3 |
5 | 狩人 | 霧野楢人 | 3 |
1 | 二日目 | テックスロー | 1 |
予選投票の機会を逃し悔しいのでひととおり感想を。全作面白かったです、に加えて少し。
「二日目」
読んでいて駄々をこねる子供に恐ろしさを感じたのは自分に何かしらの後ろめたさがあるからでしょうか。無垢のようでいて、(本当に無垢でも)全てお見通しの上で父親を糾弾しているかのような攻撃性を感じました。
「何より大事なことなので」
過去に囚われすぎると前に進めなくなる、という命題(ど真ん中のニュアンスではないと思いますが)は身に覚えがありました。それってもう死んでると同じやんみたいな。
「鬼」
亡き娘を求める思いが繰り返されるうちに変容しながら焼きついていくように感じました。鬼というのはそのようにして生まれるのかもしれませんね。淡々としているのに情念がすごい。
「夏の住人」
詩的な響きがあるタイトルに対して内容がしょうもないけど、たぶんこのテーマには誰しも思うところがあるんでしょう。結局一番印象に残ったのと、自分なら何円だろうか、と考えることができる開かれた感じが良かったのでこちらに投票します。(この票の参照用リンク)
夏と冬は、ほかの季節と比べて好き嫌いがはっきりしていると思った。とりわけ夏は、その暑さと開放感から、青春と親和性が高く、はまる人にはとことんはまるし、そうでない人はただただ本当に嫌な季節だと思う。冬が嫌いな人は夏が好きな人が多そうだけど、夏が嫌いな人が必ずしも冬が好きというわけではないような。夏に輝ける人もそうでない人も、せめて麦茶くらいは飲んで、少し涼しくなる権利はある、という意味で、麦茶ゼロ円は良心的だと思った。(この票の参照用リンク)
”夏という季節に青春のすべてを捧げた”ことに一億円の価値が見出されていることは素晴らしいと思います。…評者は夏は部活で、炎天下のグラウンドにいた記憶しかありませんが、それも言うなれば“夏という季節に青春の全てを捧げた”と言えるのかもしれません。
『狩人』は、もし対象が熊であるのなら、“逃がしちゃ駄目だろう”、猟友会の数人がかりで確実に仕留めます。獲物との生死を賭けた”対決”であるのなら、ヘリからの情報に頼るのは邪道です。それらの点で、どっちつかずの中途半端さを感じてしまいました。(この票の参照用リンク)
今期殴られたのはこの作品だけだった。
一文目から緊張感に溢れ、それが死と隣り合わせの感覚に繋がり、いったん森や生命へと広がってから再び死へと収束する。私は実際の猟師についての知識を持たないが、小説における面白さは知識の正しさとは別の次元にあると考える(もちろん限度はあるが)。本作は何度読んでも息を飲み、猟師の目と獲物の目がまっすぐに合う瞬間に居合わせることができる、優れた作品だと思う。(この票の参照用リンク)
実在するとある狩猟民族の狩人の歌とでも言われたら信じてしまう。
獲物との絆や、命に向き合うことで練り上げられた精神の高尚さに、虚構の臭みがない。(この票の参照用リンク)
表現に最も熱と力を感じました。内容自体は個人的に好みではないはずなのですが、
読んでいるあいだ、こちらの気持ちを離そうとしない、畳みかけるような言葉に引かれるように、
目を離すことなく、最後までじっとその場を見守っていたような気にさせられました。(この票の参照用リンク)
人間には、清濁併せ呑む、いろいろな思いや感情があるのだと思うが、子どもの存在は、自分がどんな状況に置かれていても、理想や正しさを思い起こさせてくれる光のようなものかもしれない。
そういうことを少し考えさせられた。(この票の参照用リンク)